【第19回国際電子出版EXPO】iBeaconに対応した電子雑誌の登場――モリサワブース

2014年7月7日 16時40分更新


 7月2日から5日にかけて、東京ビックサイトにて国内最大の本の展示会「第21回東京国際ブックフェア」が開催された。電子書籍の最新サービスなどを展示する「第19回国際電子出版EXPO」など5つのイベントも併催されており、過去最多の1500を越える出展ブースが並んだ。DenpaNewsでは本イベントにおいて展示されていた電子書籍・出版に関するブースについて紹介していきたい。

 本記事においては、Appleにプリインストールされている雑誌購読アプリ「Newsstand」において、国内の刊行物のおよそ40%で採用されている「モリサワNeswstandアプリ」で有名なモリサワのブースを紹介する。

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 「モリサワNeswstandアプリ」は元データはPDFのみでNeswstandへ配信可能、サーバーも不要で、小さい初期投資で始められる点で人気を博し、今では100誌以上で採用されている実績をもつ。今回のブースではそんな「モリサワNeswstandアプリ」の新機能を紹介していた。
 1つ目はTwitter連動である。雑誌を読みながら、紙面から直接投稿できる機能だ。その投稿を見た人をアプリに誘導することで、新たな読者を増やす狙いがある。
 2点目はiBeaconへの対応だ。正式に実装されれば業界初となるiBeacon対応雑誌アプリとなる。iBeaconとは、ビーコンと呼ばれる電波を発信する機器が、近づいた端末へと様々な情報を配信できる機能のことだ。ビーコンは手のひらよりも小さい大きさなので設置が容易な点や、ユーザーが端末側を操作しなくても自動的に受信しプッシュ通知してくれる手軽さ、クーポンや広告の配信が容易にできるなど、O2Oビジネスから大きな注目を浴びている。使用するにはBluetoothをONにしておく必要がある。
 雑誌にiBeaconが対応することでどのようなことが可能になるか。ある雑誌の読者が雑誌に掲載された店に近づくと、読者のiPhoneが店側が設置したビーコンの電波を自動的に受信し、プッシュ通知してくれる。そこでお店の案内やクーポンを配信することで店舗に誘導することができるようになる画期的な試みだ。
 3つ目は地図表示だ。雑誌に掲載されている店舗を、端末側の地図アプリに表示させることが出来る。
 2点目と3点目が合わされば、読者としては今まで以上に雑誌に掲載された店舗へ足を運びやすくなるし、店側も雑誌に掲載されることで今まで以上に集客に期待できるようになるだろう。他にも音声読み上げ機能や、手書きによるメモ・マーカーなど豊富な機能がついている。

 またモリサワは「MCMagazine」「MCComic」「MCBook」など専門的知識がなくても電子雑誌、電子書籍を作成でき、またInDesignなどの組版データやPDFファイルなどを手軽に電子書籍として出版できるファイルに変換できる制作支援アプリを多数リリースしている。この度のブース出展では、それらで作成したファイルを1度のファイルアップロードで複数の電子書店へ書籍の配信を行えるようにするサービス「MCGate」の参考出品も行われていた。

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 これらサービスはできるだけリソースを割かずに出版できるという点で、大手の出版社だけでなく、中小の出版社の電子出版を支援するものになるだろう。さらなる電子書籍・雑誌の普及に向けて、モリサワの活躍に大きく期待したい。
 また一読者としても、モリサワのサービスによって作られているコンテンツというのが1つの選択肢になる時も来るかもしれない。

 なお7月3日に同イベントにおいて、モリサワは「モリサワNewsstandアプリ」を使用して如何に電子出版を成功させていくのか、「食」の専門誌として60年以上の歴史を持つ柴田書店が10万ダウンロードを達成した例を交えてセミナーを行なった。その様子は以下を参照してもらいたい。
・CSNews:【第19回国際電子出版EXPO】「Newstand アプリで見せる電子公告」
 http://www.csnews.jp/seminar/seminar/20140707_10.html

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