2014年国内WANサービス市場は前年比成長率マイナス0.3%に、今後は回線によって成長率に大きな差

2015年3月19日 16時51分更新


 3月18日、IDC Jpanは国内法人向けWAN(Wide Area Network)サービス市場予測を発表した。IDCによると、国内法人向けWANサービス市場は全体としては成熟傾向を強めているものの、クラウドやモバイルなどに関連する分野においては堅調な成長がみられることが明らかになっているという。

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 2014年の国内WANサービス市場規模は前年比成長率マイナス0.3%の6,931億円。成長率がほぼ横ばいになっていることの要因としては、企業の複数拠点を接続するWAN回線需要の飽和、通信機器などの大容量化によって大量のトラフィックを効率よく安価に運ぶことができるようになってきたこと、高価な専用線からより安価な回線への移行が進んでいることなどが挙げられている。このトレンドは今後も継続するとしており、2019年の市場規模は6,794億円、2014年~2019年の年間平均成長率はマイナス0.4%になると予測されている。。

 一方では回線の種類によって市場成長率に差があることも明らかになったとIDCは指摘。イーサネット専用線とベストエフォートL2/L3回線などは成熟した市場でも成長を継続しているという。ISPやクラウドサービス事業者、コンテンツサービス事業者などの「サービスプロバイダー」に多く利用されているイーサネット専用線は特に成長を続けており、サービスプロバイダーの設備投資の活発化や、その背景としてスマートデバイスの普及によるモバイルトラフィックの増加が大きな要因として挙げられている。
 一方でベストエフォートL2/L3回線の成長は、中堅中小企業のクラウドサービス利用の伸びが大きく影響しているという。

 IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野陽子氏は「WANサービス市場においても、クラウドとモバイルの影響が鮮明になっている。また通信事業者の直接の顧客として、エンドユーザーではなくサービスプロバイダーが台頭しつつある。これはNTT東日本/西日本のフレッツ光の卸モデルへの移行や、モバイル通信におけるMVNOの増加と同じ構図である」と分析している。

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