クラウドストレージサービス利用者は2017年度に4,353万人、市場規模は677億円に拡大―ICT総研調査

2017年4月26日 10時54分更新

表1.個人向けクラウドストレージサービスの市場規模
表1.個人向けクラウドストレージサービスの市場規模

表2.個人向けクラウドストレージサービスの利用率
表2.個人向けクラウドストレージサービスの利用率

表3.個人向けクラウドストレージサービスの利用サービス名
表3.個人向けクラウドストレージサービスの利用サービス名

表4.個人向けクラウドストレージサービス利用者の顧客満足度
表4.個人向けクラウドストレージサービス利用者の顧客満足度

表5.個人向けクラウドストレージサービスの用途
表5.個人向けクラウドストレージサービスの用途

 株式会社 ICT総研 (東京都千代田区)は4月26日、クラウドストレージサービスの市場動向に関する調査結果をまとめた。
 
 同調査は、クラウドストレージサービス運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,292人へのWebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。Webアンケート実施期間は2017年4月10日~4月13日。
 

クラウドストレージサービス利用者は2017年度に4,353万人、市場規模は677億円へ拡大

 個人ユーザーが保有する写真・動画・音楽・文書などのデジタルデータの容量は年々増え続けており、貴重なデータを消失させないために様々な保存方法が模索されてきた。かつては、パソコン上の膨大な電子データを外付けハードディスクなどに保存してバックアップを取る方法が主流だったが、ここ数年でクラウド型オンラインストレージサービスが多くの事業者から無料で提供されるようになり、クラウド上に電子データを保管するユーザーも増えている。
 
表1.クラウドストレージ2017
 
 ICT総研の調査・推計では、2014年度(2015年3月末)に2,788万人だった日本国内の個人向けクラウドストレージサービス利用者は、2017年度に4,353万人となり、2019年度には4,948万人へと増える見込みだ。このうち有料サービスの利用者数は、2017年度で1,157万人に達し、2019年度に1,365万人へと増加する。さらに、有料サービスの利用者が増加することで、個人向けクラウドストレージサービスの市場規模は2017年度で677億円、2019年度には775億円に拡大する見込みである。
 

クラウドストレージ有料サービス利用者は全体の10.9%、無料サービスを含めると約4割が利用

 ICT総研では個人向けクラウドストレージサービスの利用実態を把握するため、2017年4月にインターネットユーザー 4,292人へのWebアンケート調査を実施した。その結果、「現在有料サービスを利用している」と回答した利用者は10.9%に留まった。また、「現在無料サービスを利用している」利用者は28.7%であり、有料サービス利用者の倍以上存在することが判明した。多くのサービス事業者は自社のサービスを優先的に導入してもらうため、1ギガバイト〜10ギガバイト程度までの利用を無料とするサービスを行っており、多くのユーザーがこれらの無料サービスを導入している。
 「有料サービス」「無料サービス」の利用者を合わせると39.7%となるが、まだストレージサービスを利用していない非利用者は全体の60.3%を占めている。今後クラウドストレージ市場を拡大させるためには、まだ利用していない潜在ユーザーを開拓することが必要である。
また、有料サービス利用者のうち、毎月300円〜1,000円までの料金を払っているユーザーが全体の49%を占めており、平均的な月額利用料金は500円程度となっているようだ。
 男女別の利用率で見ると、有料サービスの利用率は男性が13.0%であるのに対して女性は8.7%と少なめである。年齢別では20代の有料サービス利用率が12.7%で他の年代と比べて高く、10代は無料サービスの利用率が42.2%で高い傾向が見られた。
 
表2.クラウドストレージ2017
 

アップル iCloudが利用者数トップ、Dropbox、Google Drive、マイクロソフトOne Driveが続く

 インターネットユーザー4,292人へのアンケート調査の結果、クラウドストレージサービスの中で最も利用者数が多かったのは、iCloud Drive(アップル)で714人、次いでDropboxが579人、3位はGoogle Driveで551人、マイクロソフトOneDriveが4位で470人だった。米国系企業のサービスが上位を占める中で、ヤフージャパンが提供するYahoo!ボックスが299人で5位につけている。この他、Evernoteが6位で219人、Amazon Driveが150人という回答結果となった。多くのユーザーは複数のサービスを併用して使い分けているが、今後はサービスの取捨選択が進み、大手事業者のシェアがさらに高まると思われる。
 
表3.クラウドストレージ2017
 

顧客満足度1位はGoogle Drive、2位以下はAmazon Drive、Dropbox、Evernote

 続いてクラウドストレージサービスの顧客満足度アンケートでは、Google Driveが最も満足度ポイントが高く75.4ポイントを記録した。続いてAmazon Driveが75.0ポイントで2位、Dropboxが72.7ポイントで3位、Evernoteが71.0ポイントで4位となった。5位はマイクロソフトOneDrive で70.0ポイント、以下Yahoo!ボックスが68.2ポイント、iCloud Driveが67.2ポイントと続いている。
 アンケート結果によれば、満足度の高い事業者のサービスは、「データ保管容量が大きい」「ユーザーインターフェースが良い」「データの共有がしやすい」といった点が評価されている。
 サービス利用者がクラウド上に保管しているデータ量を見ると1〜10ギガバイトが全体の47%、1ギガバイト未満が24%となっている。今のところ無料サービス利用者が多いため保管量は少ないが、今後データ量が増えるにしたがって有料サービスに移行するユーザーも増加しそうだ。
 
表4.クラウドストレージ2017
 

クラウドストレージサービスの主用途は写真・動画保管へ、マイクロソフトユーザーは文書保管も

 クラウドストレージサービスの主な用途は、文書の保管や、写真、動画、音楽コンテンツの保管などである。アンケート調査の回答結果では各社とも写真・動画の保管のために利用する傾向が見られる。Dropbox、Google Drive、マイクロソフトOneDriveのユーザーは文書保管としての利用も多く、iCloud Drive、Amazon Drive、Yahoo!ボックスのユーザーは特に写真・動画を多く保管する傾向が見られた。これはDropbox、Google Drive、マイクロソフトOneDriveのユーザーがビジネス利用の頻度が高いのに対して、iCloud Drive、Dropbox、Yahoo!ボックスのユーザーは個人のエンターテイメント利用の度合いが大きいためと思われる。
 また、どのサービスにおいても写真・動画の保管を目的とした利用者が昨年の調査結果と比べて増加しており、容量の大きい写真・動画を保管するためのサービスとしてクラウドストレージサービスのニーズはますます高まってきた。音楽コンテンツは、クラウドストリーミングで利用されることが多くなってきたため保管のニーズが低下するが、写真・動画コンテンツは自分で撮影したものを端末やストレージ上に保管しておく必要がある。そのためクラウドサービス事業者は、写真・動画を無料で保管するサービスの提供に注力しており、写真・動画管理アプリがユーザー囲い込みのための重要な手段として位置付けられている。
 
表5.クラウドストレージ2017
 
 ICT総研は、今後のクラウドストレージサービスの動向について、「写真、動画、重要文書などを安全に保管するツールとしてクラウドストレージのニーズはさらに高まる」として、「様々なクラウドサービスの中で最も重要なサービスの一つとして普及していくことは間違い」と分析している。
 
 
 

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