ソフトバンク2017年度上期決算、営業収益は4~9月期として過去最高を更新「スプリントが明確に伸びている」

2017年11月7日 16時03分更新

 ソフトバンクグループ株式会社は2017年11月6日、2017年4~9月期の決算を発表した。売上高が前年同期比3.3%増の4兆4111億円。営業利益が前年同期比35.1%増の8748億円で大きく伸び、4~9月期としての過去最高を更新した。好業績を牽引したのは米通信子会社のスプリントで、収益が改善し、前年同期比でほぼ倍増の2022億円を計上。国内の通信事業や子会社ヤフーは減益だったが、今期から連結を開始した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の株評価益1862億円が新たに乗った。当期純利益は前年同期比87%減の1026億円。当期純利益については、前年同期のアリババとスーパーセルの売却益およびデリバティブ損失を除いた場合、“実質42%増”の4491億円になるとしている。

連結業績

営業利益

調整後EBITDA

調整後EBITDA-2

 内訳は黄色い部分がスプリントで、スプリントが明確に伸びていることがよくわかる。

ソフトバンクグループ営業利益

ソフトバンクグループ営業利益-2

 営業利益は何がどう伸びているのかというと、上から「SoftBank Vision Fund」が1,800億円以上利益に貢献。今は、NVIDIAの株式を保有しているが、とくにここの利益が着実に増えている。ある意味一時的な益かもしれないが「SoftBank Vision Fund」の幸先の良いスタートだと捉えていいとのこと。

 「スプリントはソフトバンクの足を引っ張るお荷物だ」「疫病神のように背中に取り付いている」と思っている人が、今でもたくさんいるが、この色分けを見ると、営業利益が本業の利益を表す利益だとするならば、その営業利益で一番伸びているのがスプリント。国内のある意味成熟した市場の中に比べると、一番伸びているのがスプリントである。1,000億円の営業利益が2,000億円になっている。「みなさんもそろそろイメージを新たにしていただきたいなと思うところであります。」と孫氏は語った。

当期純利益

 当期純利益は87パーセント減。

当期純利益-2

 昨年(2016年度上期)の(グラフの)白い部分は、一部アリババの株の売却益があった。それからスーパーセルの売却益も大きく入っている。その部分は去年の一時益だ。その部分を外して考え、かつアリババ株資金化に係るデリバティブ損失が3,465億円あったため、「また孫正義がペテン師のように上手に言い訳しているなとインターネットでは書かれそうですけれども」といいつつ、もしデリバティブ損失がなかったら、会計は色々なみかたがあるので、孫氏は実質的に42パーセントの増益であったと捉えているとのこと。

デリバティブ損益

 デリバティブ損失については、去年、アリババの株の一部を売却したときに、先売りのようなかたちになっており、2019年の6月に決済されて、正式に売れたことになる。それまでの間は先売り予約のようなもので、会計上はデリバティブというかたちで、2019年6月のときの株価によって、それまでの間に、去年売ったときから株価が上がっていれば上がっているほど、一時的にデリバティブ負債というかたちで、マイナスで計上される。しかし(デリバティブ負債と)まったく同額の6,587億円が、2019年6月に(デリバティブ利益として)プラスで計上される。つまりアリババの株が値上がりすればするほど、こちらの赤い部分が増える。アリババ関連だけで合計1.2兆円の益が、すでに2019年6月に確定しているということだ。今から1年半の後の2019年6月には、同額が(プラスで)上がってくる。

アリババ株の状況

アリババ株の状況-2

国内通信営業利益

 国内通信事業について、営業利益は4340億円で、前年同期比で7%減。その要因については、順調に進んでいるという新規顧客の拡大のための費用が先行投資としてかかったとし、具体的には「おうち割 光セット」の顧客獲得費用や、「Yahoo!ショッピング」におけるポイント10倍といった施策の費用を挙げている。
その甲斐あってか現在は、新規顧客の獲得が非常に順調に進んでいるという。

国内通信フリーキャッシュフロー

 会計上、キャッシュ・フローは順調で、この6ヶ月間で3,300億円のフリー・キャッシュ・フローが出ている。

国内通信スマホ純増数

 スマホの純増数も着実に増えている。
 孫氏は「ソフトバンクモバイルのユーザーとYahoo!モバイルのユーザーの両方を足し算して、来年には増収増益になれるだろう」とし、理由の1つとして、下の表でも分かる通り、SoftBank 光のユーザーがこの2年間で、430万世帯ということで急激に増えているのが自信となっているようだ。

SoftBank光累計契約数

 SoftBank 光に入ると、一時的に値引きがある。これが顧客獲得コストになってはいるが、利用者は着実に増えており、この結果、今、解約率もどんどん減っているということだ。

 
 

■質疑応答

◇米スプリントとTモバイルの合併交渉停止について

――経営権を持たなくても、一定の株を保有することで影響力をある程度確保したり、IoTの時代のインフラとして活用するということも可能だったのではないかと思うが、そのあたりについてどうか。

孫氏: ほぼ同格ぐらいの経営権ということであれば、それも1つの選択肢としてあったと思う。しかし、やる以上は自らが意思決定に非常に大きな影響力を与えられるかたちでいくほうが、戦略的には良いのではないかと。革命とか改革ということでいくと、非常に大きな腹をくくった経営の決定をしないといけない局面が、非常にたくさん出てくる。
将来のビジョンに対する強い思い込みとか、思い入れとか、決断とか、正しい・間違っているは置いておいて、決断をしなければいけないということになると、やはり経営権をしっかりと持っていたほうがいいだろうというのが、今回の判断だった。

――合併交渉が終わって「晴れやか」というポイントもあったが、「交渉は今後もない」という感じにも聞こえた。携帯キャリア以外の、ケーブルテレビ会社や、別の会社と経営権を握る前提で交渉していくということは、これからも探っていくことになるのか。

孫氏: なんでもあり。時と場合と条件と相手と、いろんなことがある。ただ少なくとも、Sprintは単独でも半期で2,000億円の営業利益を出せるところまできている。
6ヵ月で2,000億円。悪くない。単独でもそうやっていけるんだから、あせって物事を判断する必要はない。

◇来日中のトランプ大統領との対話

――現在来日中のトランプ大統領について、同席した会合の中で、日本経済界に対する要望や意見など、何か孫社長から見て印象に残ったトランプ大統領の発言はあったか。

孫氏: 大変なトップ営業と言うか、さすがビジネスマン出身の初の大統領ということで、その意気込みを感じた。
雇用も伸び、GDPも最初予想したよりもはるかに大きく伸びている。そして株価も史上最高になっているということで、大変上機嫌であった。また、北朝鮮問題については、大変懸念しているということで、我が国の安倍首相と、非常にうまく連携をして、密接に情報のやりとりをしながら、意思の疎通をしっかりと図りながら行なっていると感じた。

――日本の経済界に対する要望とか意見とか、そういうものは、何か印象に残ったものはあったか。

孫氏: もっとアメリカに積極的に雇用や工場、そのような投資をやってほしいという印象。

――IoTの時代に携帯電話が必要とSprintの話であったと思うが、アジアや欧州などでも携帯電話会社を買収する予定はあるのか。

孫氏: なんでもあり。ただ順番や重要性、あるいはその投資の機会、そのようなことがあるので、今すぐ何か具体的な案件があるとかではない。

◇情報革命における電力事業の位置づけ

――情報革命企業であるという話ったが、情報革命の中で電力の位置づけというのは、どのような位置づけなのか。IoT、AIを使ってということだったが、もっとできることがあるということなのか。

孫氏: もともときっかけは、3.11で大きな停電をしたこと。電気が足りないということで、日本中で電力危機があった。そのときに、実は我々の携帯事業者も全部電話がつながらなくなった。電気がないと電話はつながらないということを、あらためてそこで認識し、また原子力発電がどれほど危険なことなのかと、危機感を持った。
 そこで一時、ソフトバンクの社長をやめてでも、福島の問題を解決にいきたいと。電力についていきたいということで、役員会でも喧々諤々、大げんかになるようなことで。「社長をやめたい」「やめちゃいけない」「いや、やめるんだ。俺は行くぞ、止めないでくれ」「いや、だめだ」と。大変な勢いで止められました。そのときに、「じゃあ本業はあくまでも情報革命だけど、一部電力について、自然エネルギーについてやっていいか?」ということで、許可をもらって始めた。
 やってみると、やったなりにノウハウができてきて、これはちゃんと事業としても成り立つということがわかってきて、これは地球に生きている人間の1人として、また事業を行っている者の1人として、我々がノウハウを得た以上は、地球規模の問題解決に貢献したいということである。メインの事業ではないけれども、それでもやる以上は世界一をやりたいということ。どうせやるのであればAIを使って、IoTを使って、従来の単なる電力会社とは違う、もっと最先端の、人に優しい、知恵を使った、自然に優しいものを、もっと今までよりも一番安い価格でできるようにということで、今、解決策が見えたと思っている。それをサウジアラビアから積極的に広げていきたいと思っている。

――今おっしゃられたように、サウジアラビアから積極的に広げていくということは、他の地域でもここで培ったノウハウをまた広げていく、あるいは日本で、日本は電力会社が独占しているが、どこかに出資することもあるのか。

孫氏: 日本は一番規制ががんじがらめでいいとわかっていても、いろんな規制とか、書きものに書かれていない規制までいっぱいあって、なかなか難しい国だ。難しいからといって、愚痴を言っているだけでは進まないので、やれるところからやっていくということで、いずれは日本にも門戸が開かれれば、もっと積極的に関わっていくことになる可能性はある。
 今はやりたくても、電力会社がつないでくれないという意地悪をしている。電力会社が今回経営に参画することによって、改めていかに日本の電力会社が言い訳で意地悪をしているかということは経営の中身からわかる。
 どうして海外でできることが日本でできないのか、それは日本の電力会社が村の意識で、村の理屈で閉め出しているからだと私は思うが、どちらにしても地球に貢献するのにやりやすいところ、たくさんやれるところからやっていく。地球に貢献するのにはどこでやっても同じだ。サウジアラビアやインドから言い訳を言わずに、地球に貢献するということでいきたいと思う。

◇iPhone Xが販売開始

――国内通信事業で、先週11月3日にiPhone Xが発売された。この反響や、今までにない3モデル構成で、(売上)比率がどうなっているか。前年と比べてどうか。iPhone Xに関する受け止め全般はどうか。加えて、主要回線の純増のところで、伸びていることはわかったが、比率としてはやはりY!モバイルが高いのか。

孫氏: 私は非常に伸びている、一瞬で売り切れたと、Appleにもっとたくさん供給してほしいという状況だが、宮内が国内の通信を中心にやっているので、詳細については宮内から。

宮内氏: iPhone Xについては、非常に順調な滑り出し。iPhone8の倍くらいの勢い。ただ、供給が追いついていない状況で、今iPhone7、iPhone8、iPhone Xと、この3つのブランドが足してあげると去年に比べて相当大幅な前年増になっていると思う。主要回線は、実はもうスマホ。スマホが伸びている。Y!モバイルは、当然ご存知のように伸びている。
 一方、ソフトバンクのブランドも、去年からいろんな、ギガモンスターや、大容量の料金プランが非常にじわじわとヒットしてきて、ソフトバンクブランドも非常に伸びている状況。

◇ソフトバンクが有する周波数の強み

――おおむねいろいろな事業の方向性が見えてきていると思うが、今、Sprintの状況はたぶんバランスシートにある周波数の価値と、損益計算書などのキャッシュ・フローの水準がまだ低水準で、バランスがとれていない、ミスマッチが起こっているということだと思う。いつバランスシートの(周波数の)価値がフローで具現化するかということなのですが、転換点が5Gだとすると、例えば2020年とか、2021年くらいのスパンの事業の捉え方なのかどうか。

孫氏: とにかく着実に毎年よくなっていく。ある日突然なにかがよくなるのではなくて、1歩1歩着実によくなっていくということだと思う。逆に言うと、5Gになると、我々は最も有利な周波数である2.5GHz帯を世界のキャリアの中でも圧倒的に一番たくさん持っている。それが大きく活かされるのが5Gだろう。そういう意味では、これから数年の先行きが楽しみであると思っている。

◇米スプリントとTモバイルの合併交渉について

――2月の決算会見で、孫社長自らアメリカのSprintの再編に乗り出していきたいと「具体的に再編相手を」と問われるかたちではあったが、Tモバイルの名前を挙げていた。これまでのソフトバンクの大きなM&Aを研究していくと、孫さんが最初に相手の名前を出したり、これからこういう再編を仕掛けるよと言ったことはなかったと思う。そのあたりの戦術、意図を教えてほしい。

孫氏: Tモバイルだけに限定したわけではなかったが、当然一番の本命としてTモバイルがあった。また、相手も我々と交渉をすると、開始したということを明確に言っていたので、相手も明確にしているという状況の中で、我々もそれをまったくノーコメントという状況よりは、隠していてもしょうがないだろうということもあったということ。ただし、最後まで譲れない線があったということで、今回そのような結論になったということ。

◇Uberへの出資計画

――買えない、独占的なものを持っているものをグループで持っていきたいといっていたが、Uberが持っている技術をどのように評価しているのか。Uberとの交渉が一筋縄ではいかないようなところがあるが、これはアメリカのライドシェアリング市場ではなくてはならないものと考えているからか。

孫氏: Uberは大変いいスタートを切った会社だと思う。もちろん今、経営のゴタゴタで一時的に苦しんでいる部分はあるが、そうはいっても大変すばらしい会社だと思っている。一方、これも価格の問題や、条件の問題だとか、いろいろある。実際最終的に我々が投資するに至るかどうかは最後までわからないということ。今、前向きに検討はしている。
 本当に投資をするのかについては、また「やるやる詐欺」とか言われても困るので、最後までわからない、あくまでも条件次第だ。既存の株主から買う部分が大半になるので、既存の株主がその価格では売りたくないといった時に、それ以上の価格では買いたくないという判断は十分ありえるということ。もちろん、投資に入る前に取締役の数や、議決権、あるいは買うプロセスだとか、そういうものについての条件も今、最終の詰めを行っている。その価格や条件次第においては、もう一方の事業者であるLyft(リフト)に我々の投資先を変更するということも十分ありえる。最後まで、ギリギリまでわからないということ。
 
 
 

 
 
 
 

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