孫社長、「次のアリババ」へインドに注目――ソフトバンク決算説明会

2014年11月7日 10時13分更新

11月4日、ソフトバンクは2015年3月期 第2四半期 決算説明会を開催した。連結業績として、売上高は前年同期比58%増の4兆1044億円で2期連続で過去最高値を更新。営業利益は同19%減の5967億円としつつも、2013年度上期のガンホー、ウィルコムの子会社化に伴う一時益を除くと22%増、純利益は同37%増の5607億円となった。携帯3キャリア中、売上高、EBITDA、営業利益でナンバーワンであることを強調し、好調であることをうかがわせた。

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国内通信事業については、営業利益はボーダフォン買収後から9倍となる4,016億円を計上し、スマホの接続率、スマホ通信速度、iPhone6通信速度、スマホ顧客満足度でナンバーワンの地位を築いたと紹介された。そのため今後は設備投資を大幅削減し、国内通信事業はフリーキャッシュフロー創出のステージ、収穫期が来たと孫正義社長は話す。

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ソフトバンクが買収以降、顧客の純減が続き経営の立て直しに苦しんでいるアメリカのSprintだが、8月にマルセロ・クラウレ氏をCEOに迎えて新体制に移ってからMNPが純増するなどようやく好転の兆しをみせ始めたという。これまではやみくもに目先の顧客を獲得していく方針だったが、プライムカスタマーの獲得にコストをかけていく方針に転換。「1年、2年で極端に良くなることはない」として、中長期的に業績を反転させていく見通しを説明した。そのためソフトバンクの2014年度の業績予想のうち、営業利益を1兆円から9,000億円へと下方修正している。

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今回の決算説明会では海外投資について多くの時間が割かれた。孫社長はイソップ寓話の「金の卵を産むガチョウ」を引用し、ソフトバンクは価値のある「金の卵」ではなく、それを産み出す「ガチョウ」になりたいと話す。
ソフトバンク自身の時価総額に対し、アリババ、ヤフージャパン、ガンホーといったソフトバンクが保有する株式を合計すると、それ以上の額になる。10年前から投資したアリババが今や時価総額が世界10位の企業に成長した例をあげ、こうした「金の卵」を産んで増やしていきたいという。
孫社長が中国の次に注目しているのはインドだ。25歳未満が人口の半分を占め、世界最大級の英語圏であり、更にソフトウェア開発者が世界で最も多いことから、2030年にはアメリカを抜き、中国と2大経済圏になると見込む。既にインドのナンバーワンオンラインマーケットプレイス「snapdeal.com」に6.27億ドルを出資して筆頭株主に、インドの配車サービスプラットフォームで大きなシェアを占める「OLA」にも2.1億円出資して筆頭株主になっている。またインドネシアの最大のeコマース「tokopedia」にも1億ドル投じている。更に今後10年という期間で1兆円規模の投資をインドで行う構えがあると、野心をみせる。

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「金の卵」産む「ガチョウ」として、ソフトバンクの投資実績も併せて紹介された。ソフトバンクはこれまでの累計投資額3,877億円に対して、累計回収額は11兆6,699億円という莫大なリターンを得ている他、ベンチャー投資において失敗の方が少ない点を挙げ、「世界中のベンチャーキャピタルの中で圧倒的に1位かもしれない」と誇る。「金の卵」とそれを産む「ガチョウ」のどちらに価値があるのかを問いかけ、「ガチョウ」の方に価値があると孫社長は話す。それにも関わらず、現在は株式を保有するアリババなどの「金の卵」の合計よりも、「ガチョウ」あるソフトバンクの時価総額が低く見積もられていることに対して、「孫正義のディスカウント」が働いていると不満を表す。しかし「ガチョウ」であると評価されていけば、その評判は「ガチョウプレミアム」に変わると自信を見せた。
ソフトバンクの本業は「情報革命」であり、お金を儲けるだけでなく、「情報革命」によって人々を幸せにしていきたい。そのためにも「金の卵」の数、価値を増やしていと孫社長は語った。

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質疑応答

Q:日本市場について成長産業は、注目している分野は。
A:今後10年、30年を考えるとバラ色のビジョンはどの産業においても見えない。人口減少の中でGDPが伸びるとは考えられないし、マクロでみると、国内だけに頼っている事業は先はないとかんがえる。一方世界を相手に事業を行っていく会社は成長の余地があると思われる。日本の通信事業はソフトバンクの一部であるという認識あり、日本国内の通信事業に依存していない体制は明るい未来があると考えている。

Q:宮川さんがアメリカに行くにあたって、これからの日本のモバイルはどうするのか。
A:接続率ナンバーワンは国内で続けられているので、スプリントのほうが急務である。向こうからも呼ばれて行っている。

Q:ソフトバンクテレコムはどうなっていくのか。
A:日本の通信事業はこれから2倍3倍に増やしていける環境ではない。日本の通信環境は世界で1番厳しい競争下にある。勿論一生懸命にやっていくが、増益、企業価値を増やすためには海外への展開が必要。

Q:来年度以降の利益水準、連結ベースで9000億だけど、来年の業績予想については。
A:良い兆しはでているが、スプリントは簡単に業績がよくなる状況ではない。ソフトバンクのその他のグループは順調に伸びているので、良くなるのではと考えている。

Q:SIMロックについて、競争はどうなるのか。
A:最終的に決まった方針に従う、各社調整中だろう。iPhoneは既にSIMロックフリーがあるのにほとんど売れておらず、売れても中国へ行っているという。日本のユーザーはSIMロックフリーは使っていないのが実情。そのためSIMロックフリーになることで急激には変わらないと考えている。 SIMロックフリーだからといって値段が高い端末は売れないというのが実態だ。しかしソフトバンクは抵抗勢力としてやるつもりはない。

Q:光回線の卸しについて。
A:ソフトバンクも前向きに卸を検討している。しかし光ファイバーの7割以上をNTT東西は占めており、かつドコモはモバイルの最大の会社。そうした会社がアンフェアな形で、その立場を過度に活用して競争を妨げるのは法律でも禁じられている。注意深く見守って脱法行為が行われていないのか、監視しながら管理すべきだと考える。我々が取り扱った場合、ドコモの親会社に利することになってしまうのは悲しいこと。
メタルは1回線ごとに買え、アンバンドルして活用できるのに対し、光ファイバーは8回線ごとにしか買えない、これに疑問をもっている、議論が深まって欲しい。

Q:iPhone6の販売状況は、またMNPの状況は?
A:ソフトバンク、ブライトスター、スプリントを足せば世界最大のiPhoneを取り扱っているグループであり、iPhoneは好調に売れている。MNPはプラスもマイナスもないという状況。もっと台数があれば新規に回せるだろう。

Q:ソニーのXperiaZ3を取り扱うことになった理由は。
A:2年前から交渉、去年了承、今年発売というプロセス。こうしたことには時間がかかる。

Q:インドで数年で1兆円の投資をするというが。
A:我々は10年という規模でみて、1兆円規模の投資をインドでする構えがあるということ。意欲、資金もある、ただし良い投資対象がなければやらない。

Q:インドには外国企業は直接投資できない法律があるが、投資のリスクを考えているのか。
A:例えばAmazonは中国でも展開しているが、数%のシェアしかとれていない、そういう状況。欧米で成長している企業も、中国、インドで成長できるとは限らない。

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