業界3位へ転落、新料金プランが裏目に――NTTドコモ決算発表会

2014年11月5日 17時23分更新

10月31日、NTTドコモは2014年度第2四半期の決算説明会を行なった。営業収益は前年同期比1.2%減の2兆1729億7600万円、営業利益は同15.5%減の3995億8600万となった。利益額は大手3キャリア中で最下位となっており、厳しい数字となっている。この数字に伴って業績予想を見直し、営業収益で1900億円、営業利益で1200億円の下方修正を発表。代表取締役社長である加藤薫氏は決算の数字について「大変申し訳無く思っている」と述べ、下期からは「チャレンジャーであるという意識」をもって改善に取り組んでいく姿勢を示した。

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営業収益・利益が落ち込んだ理由については、6月より開始した新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」と「月々サポート」とが主な理由であると説明された。新料金プランは契約数が1000万件を突破するなど好調な一方、通話コストが大きかったユーザーがプラン開始と共に一気に移行したために、音声通話での利益が前年同期と比べマイナス524億円と一気に悪化した。ただしそうしたユーザーは既に移行しきったとみて、新料金プランの収支影響は徐々に減っていき、来年度には黒字化する見通しだという。「月々サポート」に関しては前年同期比マイナス809億円と音声通話以上に悪化しており、端末の値下げは大きく影響しているようだ。

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一方オペレーション数値に関しては改善が継続していると強調する。契約の純増数は前年同期比約5倍の119万件、解約率も0.62%、MNPの転出も低水準を維持し、改善傾向が続いている。端末販売に関しても好調がみられる。新規販売台数は前年同期比7%増加、タブレット販売数では同60%増となっている他、LTEも順調に普及しており、スマートフォンのLTE比率は87%、契約数は2600万台を突破した。VoLTEの普及も拡大しており、対応機種は約130万台、そのうち9割がVoLTE対応可能状態になっているという。基地局も年度末内に95,300局に増加、キャリアアグリケーションも年度内スタート予定だ。
また成長部門と位置づける新領域事業も年間目標に向け順調に拡大しており、dマガジン、dヒッツ、dトラベルの3つを軸にdマーケットも取扱高が前年同期比で約30%増、契約数も成長トレンドが継続しているという。

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業績予想の見直しに関して、上述した通り新料金プランの収支影響は徐々に回復の見通しだとしている。音声通話の利益が悪化した一方、パケット収入は拡大の傾向にある。新料金プランは元々パケット収入の拡大が狙いの1つであり、新料金プランへの移行層がこれから変化していくことで、パケットの上位パックの選択率が向上し、減収額が縮小していくとしている。

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下期重点施策ではNTT東西の光回線卸を受けたドコモのブロードバンドサービス「ドコモ光」の導入が特筆すべき点だろう。現時点では詳しい料金・サービスメニューは発表されず2015年2月スタート予定とのことだが、最大速度1Gbpsの回線に、多様なIPSが選べる一体型料金を提供予定。また新料金プランとの組み合わせで割引され、特にパケット上位プランほど割引される仕組みを考えているようだ。ドコモとしては、ユーザーの家庭・モバイルのネットワーク環境を全てまとめて提供することで、簡単、便利、リーズナブルな環境をユーザーへ提供することが狙いだという。

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最後に中期目標だが、2017年度までに営業利益は2013年度水準に、新領域事業については営業利益1,000億円以上を、コスト削減については2013年度比4,000億円以上の削減を予定。設備投資額もこれまでLTE基地局を集中的に増やしてきたので、2015年~2017年度には6,500億円以下になる見通しだ。

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今後の取り組み姿勢について、これから3年間はドコモの真価が問われる3年間だと加藤社長は話す。利益額は3キャリア中最下位になったことも踏まえ、ドコモがナンバー1であるときの意識を払拭し、チャレンジャーの精神をもって取り組んでいくと意気込みを語った。

質疑応答

Q.iPhone6の販売状況でMNPへの純増への影響はあるのか。
A.詳しい内容はまだ分析していない。他者の古いiPhoneの人、1年前からの買い替えの人も多い。順調に増えており、改善傾向に続いている。

Q.総務省のSIMロック解除の方針の影響について。
A.もともとのSIMロック解除のガイドラインを遂行していく。海外での利用パターンに対応して、ずっとドコモは応対してきている。無償で行うかは端末価格との関係もあり、見通しはまだ不明瞭。

Q.MNPの回復傾向、1Qではプラマイゼロにしたいと言っていたが、どうなのか。
A.改善は続いているが、ヨコバイといえばヨコバイの状況。年間でプラスにするのは難しい課題だが、チャレンジしていきたい。

Q.1200億円の下方修正について、旧料金プランの復活や思い切ったコストダウンなど、これだけ悪かったならもっとやるべきだっとのでは。業界3位になるのにあたってどうなのか。
A.重く受け止めている。新料金プランの減収益は早めに現れ、ここまで急速に増えたのは想定外だった。反面、ユーザーにとっては好意的に受け止められていて、顧客の基板は固められたのでは。また最大限やった結果がコストダウン500億円。ナンバーワン出会った時の気持ちを払拭し、チャレンジャーとしての精神を大きくもってやっていく。

Q. iPhoneについてもSIMロック解除にしっかり応じていくのか。いつでも解除できるというスタンスはそのままなのか。
A.解除の無料化については慎重に、コストもかかるので。iPhone含めて前向きに検討している。

Q。.ドコモ光の料金について。
A.料金は携帯の新料金プランとのセットを予定中。上位プランの人ほど安くなる。KDDIの料金プランとは異なる方向で考えている。

Q.下方修正について、新料金プランの見通しの誤りについて。
A.6月に爆発的に契約数が増えたが、とりあえずという面があったのかなと。またSプランが多かった。スピードモードも含めて、これからユーザー側での再検討も始まるのではと考えている。端末の買い替えによる契約の見直しや、ドコモ光が契機にパケットの増加を狙っていく。

Q.SIMロック解除について、3社が応じた場合はどうなるのか。
A.同じ条件になってユーザーにとっては自由に行き来できるようになっていいのかもしれないが、ドコモの端末で他社のネットワークが使える保証はない。分割払いの件はどうするかは未定。

Q.SIMロック解除は契約後何ヶ月で解除というのは出てないが…
A.前提が定まっていないのでまだ見通しはない。

Q.ドコモ光の導入の狙いと目的、今後の経営における位置付けは。
A.ブロードバンドの環境を全て提供できるのが大きい。ネットによるインフラでユーザーの豊かな環境を、ワンストップでのサービス提供の環境を整えたい。ICTのブロードバンドをワンストップでの提供、対応できるのは経営の大きな転換点となるのではと考えている。

Q.透明性の無さという他社からの批判はどう考えているのか。
A.他社へのコメントはさし控える。NTT東西のフレッツは全て同じ条件で卸されるので、オープンで公平だと認識している。ユーザーの選択肢は増え、B2B2Cについていろんな可能性が増えるはず。

Q.ドコモ光について、多様なISPとは。
A.ドコモが一体的にサービスを提供、これにはドコモがISPとコラボするということ。ユーザーが今使っているISPをそのまま使えるようにしたい。そのためISPから卸してもらう感じになると思われる。ISPはこれから本格的に募集、排他的になることはないはず、いろんなところとやっていきたい。今は詳細に語れないタイミング、目標とあるが決意だと思ってもらいたい。

Q.中期目標ついて
A.あくまで目標、2017年に向けての見直しの目標。4000億円のコスト削減をして20130年並みの利益という点に関し、4000億コストカットしてもそのまま利益になるということにはなっていない。チャレンジャーとしての体質へと会社を、社員を変えようとしている、そのための目標。

Q.下方修正の端末機器収支影響について。
A.定価を従来より低めに設定した影響で、不健全なキャッシュバックしない。たさし下取りによって買いやすくはしたい。iPhone6の時の下取りは、iPhoneで他社へ流れたユーザーを取り戻すため。卸価格を従来より下げており、他社と同じ価格なはず。今年はともかく、来年度には月々サポートの負担は軽くなるはずだと考えている。

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