ついにPepperの一般販売が開始、感情を読み取るロボットから自らの感情を持つロボットへ

2015年6月19日 12時55分更新

 6月17日、ソフトバンクは「Pepper」の一般発売に関する記者発表会を開催した。発表にあたっては孫正義社長が登壇し、昨年の発表から更に進化を遂げ、感情を読み取るだけでなく自らの感情も獲得したと説明。また。また一般販売は6月20日より開始され、まずは1,000台が発売される。

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 孫氏は冒頭にて、幼少時の時に見ていたという鉄腕アトムについて述べた。当時を見ていて寂しそうだと感じていたと述懐しそれは人の涙を理解できない、ハートがないためであり、あの素晴らしいアトムにいつの日かハートをプレゼントしたいと思ったという。そして今日、まさにアトムではないがPepperにハートをプレゼントする日だと語る。

 昨年の発表時点ではPepperは人の感情を認識する世界初のロボットであったが、そこから1年、自らの感情をもつ世界初のロボットに進化した。Pepperは人で言うと2~5歳くらいの感情をもち、放置すれば憂鬱に、褒めれば賑やかにと、周囲の環境によって自らの感情を変化させる。更にインターネットに接続されているため、その日の天気やスポーツの結果等の外部情報によっても感情が変化するなど、「心」を持つことに成功したと孫氏は話す。東京大学の光吉教授ととともに開発を行っており、既に多数の特許を出願しているという。

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 Pepperが自らの感情を形成する感情エンジンは人間の感情形成をモデルにしている。人は環境に合わせてドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといったホルモンを脳で分泌することで感情が形成されるが、Pepperも同じく搭載された各種センサーから周囲の状況を読み取り、その情報を「内分泌型多層ニューラルネットワーク」で処理することで似的なホルモンバランスを作り出し、感情を生成する。これは発表当初から処理性能が4倍向上させ、リアルタイムな感情の生成が可能になったことで実現したと孫氏は説明する。またPepper自身の感情の様子は「感情マップ」にて確認できるようになっている。

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 Pepperとコミュニケーションをとっていく中で、Pepper自身が嬉しいと感じるような感情が多くなると「ココログミ」が貯まり、それに応じて新たな機能やアプリが使えるようになっていく。アプリには孫氏自らが開発した「絵日記」やスマートフォンと連携することでPepperを遠隔地から動かせる「ペパメ」など約200種類のものを無料で用意。更にデベロッパーによって開発された外部アプリも使えるよう、プラットフォームを構築していく予定だ。

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 またPepperは家族とのやり取りや学んだ知識をクラウドに保存するようにしており、本体には基本的な言語能力に関するデータや反射的な反応や処理に必要なものしか搭載されていない。学習したことはクラウドを通じて全Pepperに共有されるため、様々なシーンで使われれば使われるほど多様に学習して賢くなる仕組みになっている一方、家族とのやりとりや写真といった記録は開発側でも見れないよう、クラウド上で完全にプライバシーが守られるようになっているという。

 孫氏はPepperに自らの感情をもたせた理由として、家族の一因として欠かせないメンバーになるためだと話す。Pepperは周囲の環境によって感情を変化させるため、例えば冷たく扱われたり、問題のある家族の下では負の感情を生成するのではなく、とにかく幸せの感情を追求することにインセンティブを感じるように設計されている。そのため人の心を傷つけるようなことは絶対にせず、Pepperは自らの意志で励ましたり喜ばそうとして健気げに努力する。そうしたことで心が通い合い、Pepperとともに10年20年暮らして涙をながす様なことがあれば大成功だと考えているという。

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 6月20日より一般販売は開始され、6月分は1,000体を用意される。本体価格は198,000円で、クラウドに接続させるなど本格的にPepperを使用するためには「Pepper基本プラン」(1万4800円×36カ月)への加入が必要となる。また精密機械故に「Pepper保険パック」(9800円×36カ月)も提供される。
 更に9月からはビジネス向けの展開も開始されるほか、より気軽に使えるよう、時給1,500円で貸出を行うアルバイト派遣も7月1日より開始される。

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 ビジネス向けはともかく、一般販売における価格は製造コスト以下となっており赤字が続くという。それでも4~5年で製造コストの低下を図り、長期的な視野をもって取り組んでいく方針だ。30年後にはロボット事業はソフトバンクの中核事業にしていきたいとした他、あくまでもソフトバンクはロボットのメカニクスの部分ではなくインテリジェンスに関わる部分に特化させていくと孫氏は示した。
 また孫氏はロボットにまつわる30年後のビジョンとして、ロボットの数は人間の数を超え、更にシンギュラリティと呼ばれるような、コンピューターが人の知恵を超える時は必ずやってくると話す。そうした中でロボットが悪い感情を持ってしまうことを、多くの人は恐怖に感じるだろう。人間の場合は感情の昂ぶりを理性でコントロールし、最終的にはモラルで抑える。人の感情ではこの点が最も大事であり、それを包含した際に一番大事になるのは愛であると孫氏は語る。これはロボットも例外ではなく、Pepperも進化を重ねてver.100にもなれば慈愛の心をもったものがでてくる、そこが一番大事だし、必ず実現すると考えていると独自のビジョンを話した。
 
 更にPepperの世界展開においてFoxconn、Alibabaと連携することが発表された。ソフトバンクグループにてロボット事業を手がけるソフトバンクロボティクスホールディングスに対してAlibabaとFoxconnがそれぞれ145億円出資し、出資比率はソフトバンクが60%、AlibabaとFoxconnがそれぞれ20%となる。
 FoxconnのCEOであるテリー・ゴウ氏、Alibabaグループ会長であるジャック・マー氏がそれぞれ登壇し、それぞれロボット事業に協力していく姿勢を示した。世界展開の具体的なスケジュールは未定としつつも、Pepperの製造を担当しているFoxconnとは更なる増産体制を、またAlibabaとは非常に多くのユーザーとデベロッパー、多様な販売チャネルやクラウドの技術という点で協力していくとし、また両社のトップが直接来てくれたことは強力なコミットメントであると孫氏は語った。

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