【NTT Communications Forum 2014】NTT comが提供する最先端クラウド――基調講演「NTTコミュニケーションズのグリーバルクラウドビジョン2014」

2014年10月20日 17時45分更新

10月9日、10日と2日間にわたってザ・プリンスパークタワー東京にて法人向けイベント「NTT Communications Forum 2014」が開催され、ICTビジネスに関わる多くの講演、セミナー、展示によって賑わいをみせていた。本記事においてはNTTコミュニケーションズ代表取締役社長 有馬彰氏による、10日に行われた基調講演を取り上げたい。基調講演では同社のクラウド戦略「Global Cloud Vision」に基づく「シームレスICTソリューション」が紹介され、如何なるクラウドサービスが求められ、またそれを提供していくのがか語られた。

NTTコミュニケーションズのグリーバルクラウドビジョン2014 〜進化したクラウド〜
NTTコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 有馬 彰氏

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まず始めに有馬氏は国内のICT市場の動向を紹介した。経営者が今後のICTに期待する項目としては、効率化の他に市場変化への対応や意思決定の迅速化、新規顧客の獲得など様々な需要が生まれてきており、国内のクラウド導入状況もそれを反映してか年々加速ししてきているという。クラウドの選定基準もそれに伴い多くのものを求められるようになってきており、多様な機能、強固なセキュリティ、連携性、信頼性等が挙げられるようになってきた。またグローバル展開に伴い、海外でも国内と同様のシステムが求められるようになってきていると有馬氏は話す。

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NTTコミュニケーションズが掲げるコンセプト「Global Cloud Vision」はちょうど3年前に発表され、低コストかつ柔軟な、グローバル環境で統一された、安心安全なICT環境を提供することで顧客の経営改革に貢献することを目標としている。また拠点・サービスごとに分散していたユーザーのサーバーやネットワークを一括してまとめあげることをコンセプトに「シームレスICTソリューション」も提供している。そのために海外の十数社の企業にM&Aも行って事業を拡大し、「Global Cloud Vision」実現を図っていると有馬氏は語る。今年2014年には世界でも30ヶ国くらいでテレカンファレンスを展開している「arkadin」や、北米のデータセンターの事業社である「RaiginWire」、グローバルにデータベンダーのサービスをしている「Virtela」等を買収したという。

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次に顧客の事例が紹介された。NTTコミュニケーションズのソリューションにより、大日本印刷は世界各国からNTTのネットワークを通して基幹システムを利用を実現させ、伊藤忠商事は社内メールシステムの統合により、国内、海外、外出先でも同じメールシステムが使えるようにし、ワークスタイルの変革を成し遂げた。ANAでは電話交換機のない電話システムであるNTTのクラウド型音声基盤(Arcstar UCaaS)を導入することで、クラウド上で全世界共通での内線利用が可能に。ホンダの事例では世界各地の1万を越える開発拠点とのCADデータの流通においてNTTコミュニケーションズのクラウドを使用していると紹介された。

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アナリストからも高く評価されている実績も紹介され、IDCからはAPACの地域におけるデータセンター・クラウドサービスの評価で昨年度初めてリーダーのポジションに選ばれ、Gartnerからもグローバルレベルのプロパイダーサービスとして今年3月に初めてリーダーのポジションに選ばれた他、国内外で複数の賞を受賞している。

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NTTコミュニケーションズの今後の展開としては次の3つのポイントを強化していく予定だと有馬氏は説明する。1つ目はネットワーク事業社が展開するクラウドということで、ネットワークと一体的に提供する「キャリアクラウド」の強化だ。クラウドとネットワークを一体的に運用・保守されたサービスというニーズに応える他、セキュリティの安全を図る。2つ目は仮想化・ソフトウェア化。ネットワークのオンデマンド利用、ネットワーク機器の仮想化といったニーズに対応していくためだ。3つ目はAPI機能の拡充。こちらもユーザーが持つ運用監視システムとNTTのサービスをシステム間接続をして利用したい、NTTのサービスを利用してアプリの開発やサービスの提供がスムーズにしたい、といったニーズに対応してくためだという。

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またグローバル環境ににおいてシームレスに提供するための社内の取り組みも紹介された。これまで各国の現地法人にまかせていたサービスの製造機能・販売機能を持たせていたが、サービスに差が出て非効率であった。そのため製造機能を1つに集約し、そこで製造された均一的なサービスを均一的なオペレーションで各国で販売する形態に変えつつあり、これを「ファクトリーモデル」と呼んでいる。ファクトリーモデルの例として、システムセキュリティ、アプリケーション、クラウド、ネットワークの事例が紹介されたが、いずれも先に紹介したM&Aでグループ化した会社の技術を利用して、オペレーションを統合していっている。

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次に紹介されたのクラウドビジネスにおける9つごとの取り組みだ

1.インフラストラクチャー
現在NTTコミュニケーションズはデータセンターの拡張をかなり急速に進めていおり、現在建築中のものも含めて、グローバルで130拠点を所持している。サーバールームの面積で見ると25.1万m2もの面積を誇り、この規模は世界最大のデータセンター事業社であるエクイニクス社の半分ほどの規模まできたという。その割合を見てみると海外が約6割を占めており、現在開設予定のデータセンターとしてはアメリカ、イギリス、上海、香港、インド、タイ、大阪がある。データセンターを結ぶ海底ケーブルも日本、アメリカ、アジア主要都市を業界最低遅延で接続しているといるという。

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2.ネットワーク
NTTコミュニケーションズが提供するVPNサービス「Arcstar Universal One」は顧客の割合ではまだまだ日本企業が多く占めているが、接続先はVirtela社の買収により従来の160ヶ国から196カ国へと拡大しており、VPN契約回線数は順調に伸びてきていると有馬氏は語る。
「Arcstar Universal One」でクラウドを使う上での特徴点として有馬氏は3点挙げた。1点目は新たな回線料の負担やデータ転送量が無い点、この辺りはネットワーク事業社ではないクラウド事業者との大きな違いであると言えると語る。2点目としてはクラウドとVPNの接続が従来は人手でやっていたが、この10月からユーザーがオンデマンドで接続できるようになった点。3点目は仮想化の1例となるが、Vertela社のサービスを活用することで、ユーザーの拠点内にネットワーク機器を設置することなく、ファイアウォールなどの機能をクラウド型サービスとして利用可能になる点だ。こちらは日本では12月に開始予定。更に「Arcstar Universal One Virtual オプション」を使用すれば、取引先などと共用システムを構築する際、異なるネットワーク間でもオーバーレイ通信が可能になるSDNサービスも提供していると話す。

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3.クラウド
2011年に「Global Cloud Vision」を発表して以来、各国にて提供しているサービスがバラバラだった状況から世界統一のクラウドシステムを作成。現在は企業の基幹システム用の「BizホスティングEnterprise Cloud」と「Bizホスティング Cloud」の2つを提供している。
「BizホスティングEnterprise Cloud」は現時点では9ヶ所11ヶ国のデータセンターにクラウド基盤を置いて使っているが、更に13ヶ国16拠点で提供したいと考えている、また世界各地の仮想サーバーを1つのカスタマーポータルから一元的に管理/運用できるフェデレーション機能も完備している。
クラウド/コロケーションハイブリッドサービスも備え、SDNを活用し、クラウドとクラウドしていないシステムを1つのネットワークセグメントの中で1つのシステムとして使える他、異なるデータセンター間も同様に可能だと有馬氏は語る。
またクラウドに対するDDoS攻撃対策も説明された。NTTコミュニケーションズはインターネットバックボーンで世界第2位という実績を生かし、独自のDDoS攻撃検知装置(SAMURAI)を個別のクラウドの入口に付け、攻撃を検知、対処できるシステムを備えているという。

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4.カスタマーポータルと統合APIゲートウェイ
カスタマーポータルはサービスの状況やセッティング変更は基本的にユーザーがポータルから設定できるようになっており、更に複数のNTTコミュニケーションズのサービスを利用していても、個別のポータルにアクセスすることなく統合されたポータルで一括で管理できるものになっている。
APIも同様に、現在はサービスごとに異なっているが、総合APIゲートウェイを設置することによって各サービスごとのAPIのフォーマットの統一を12月に予定しているという。従来よりもNTTコミュニケーションズのサービス機能、情報を利用したシステム・アプリケーションを容易に開発・運営可能になると話す。

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5.汎用アプリケーション
クラウドを使ったアプリケーションについて述べられた。従来個別の装置を使っていたものをクラウド上のソフトウェアで実現させるコンセプトで開発され、今回の講演では2つだけ紹介された。

・Arcstar UCaaS(Cisco HCS活用)
クラウド上の内線サービス。これまで内線サービスをする際にIP装置を置く必要があったが、このサービスを使うことによりクラウド上で動くため装置が必要無くなり、世界のどこでも、外出先でも内線が使えるようになる。シスコシステムズのCisco HCSを活用したメッセージング、Web会議や在籍確認を備える他、独自開発したWeb電話帳を利用することで柔軟かつ安心な内線サービスを提供できているという。
・Arcstar UCaaS(Microsoft Lync活用)
こちらはマイクロソフトのExchangeと内線通話の連携を取りたいユーザー向けのソフトになる。Arkadin社のサービス基盤を活用しており、グローバルに提供予定。
・IDフェデレーションサービス(仮称)
ユーザーがNTTのアプリや他社製SaaS、業務アプリなど様々なアプリを利用する際、Active Directoryサーバーと連携したアクセス管理やシングルサインオンが可能になるものだ。年末にサービス開始予定。

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6.クラウドマイグレーション
NTTコミュニケーションズであh3年ほど前に70名ほどのマイグレーションチームを作ったが、今年8月から200名に増員、新たに独立した組織として立ち上げたという。ユーザーのIT環境を全体を調査し、クラウド化した際の費用対効果などを提案、顧客のマイグレーションを図っていくと有馬氏は語る。日本だけの人員では顧客のグローバル展開に対応できないので、現在アメリカ、欧州、APACの3拠点にも現地法人と連携する人員も配置されている。

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7.セキュリティ
NTT コミュニケーションズ セキュリティという会社がグローバル展開しており、コンタクトセンターは世界に7ヶ所配置されている。セキュリティ運用基盤としてSIEMエンジンを使用。これは相関分析により自動的に脅威を発見する装置であり、全てのクラウドのセキュリティ監視を行なっている。
今年の7月から利用したユーザーの例が紹介され、8万台の利用しているパソコンから52日間で170億個のログを抽出し、その中からSIEMエンジンにより22万個の疑わしいログへの絞込、更にリスクアナリストによる判定で35件のセキュリティ脅威を検知した実績が挙げられた。

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8.マネージドICT
「Global Management One」というユーザーに代わってシステム運用をアウトソースするシステムを紹介。従来はユーザーごとにカスタマイズしたオペレーション体制をつくってやるという方針だったが、やはり効率性に劣るため標準的なメニューを作って提供するということで、このシステムが開発された。メリットとしては次の3点が挙げられた。1つ目は豊富なメニューだ。アプリケーションからLAN/端末までの9カテゴリ48以上の豊富なメニューを用意している。2点目はNTT comグループ海外4社も活用することで低コスト/高品質なサービスを実現している点。3点目は自動化だ。オペレーションの自動化プラットフォームにより運用管理業務の最大60%を自動化、これらにより従来より約30%の運用管理コストを削減できるサービスに仕立て上げている。

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9.パートナーシップ
自分たちだけで全てのITを最適化できるわけではないので、国内外事業社とのパートーナーと連携し、ユーザーのITの改善を図っていくという。

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最後に「進化するクラウド」と題して、社内的に検討している次世代のクラウド基盤が紹介された。複数のタイプのサーバーを1つのクラウドサービスとして利用できる新しい基盤を作成中であり、これは共有タイプのパブリッククラウドにおいて、ユーザーが使っているオンプレミスのソフトをそのまま使えるようなクラウドはないのか、という要望を受けたのが開発の契機だという。この新しい基板により、共有タイプのパブリッククラウドと専有タイプのプライベートクラウドといった異なるサーバー間をSDNで接続して1つのシステムとして利用できるようになり、ゆくゆくはサーバーのタイプを変えても同じストレージが使えるようにしたいと考えているという。
APIも2つ出す方向で検討しており、1つはクラウド基盤全体を操作する統合API、もう1つは各ベンダーが提供する固有APIだ。2つを提供することで、ユーザーはシステム環境に合わせた最適なAPIが選べるようになる。
更に統合管理ポータルも紹介された。次世代クラウド基板上のサービスに加えて、既存のクラウド、コロケーションだけでなく、他社のクラウドも含めて管理可能なものになる。これら次世代のサービス展開が述べられ、有馬氏は基調講演を終えた。

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