【SoftBank World 2014】孫正義が見据える日本復活の方程式――基調講演「情報革命の舞台は、世界へ」

2014年7月18日 14時25分更新

7月15日、16日にザ・プリンス パークタワー東京にて法人向けイベント「Softbank World 2014」が開催された。本イベントは2012年から始まって今年で3回目となり、基調講演の他にソフトバンクグループからだけでなく多数の企業によるモバイルやクラウドサービスに関するセッションやサービス・製品の展示が行われ、のべ聴講人数は18000人に達するなど賑わいをみせた。
本記事においては15日に行われたソフトバンクグループ会長、孫正義氏による基調講演について取り上げたい。3400人もの人が聴講した、本イベントにおいて最も注目された講演だろう。

まず孫氏は冒頭で日本の衰退について憂いた。日本は今、経済は衰退しつつあり、人口減少という大きな問題を抱えている。しかし孫氏は日本は必ず復活すると信じており、そうしなければならないという。単に嘆くだけでなく、どのように復活させていくのか、孫氏の考える方程式、意見を述べた。

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生産性と労働力を挙げ、これを掛けあわせれば日本の競争力を取りもどせるとし、日本復活の方程式と述べた。

まず生産性に関してだ。この20年間で日本の生産性は海外に後れを取っており、これを向上させる鍵は情報武装だと主張する。情報のビッグバンは今まさにITテクノロジーの進化により世界中に押し寄せてきており、2018年にはCPUのトランジスタが300億を超え、人の大脳にあるニューロンの数を越える。またトランジスタの数だけでなく、メモリ容量も劇的に増え、通信の高速化も劇的に伸びており、この3つの基礎的要素が情報のビッグバンを加速度的に進化させる。ソフトバンクは通信実験で1Gbpsを世界で初めて達成したことにも触れ、もうすぐ一般の人々のスマートフォンでも可能になるという。

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これまでの30年間と同じように、次の30年も同じように進化する。これからは計算力、容量、通信速度が無限大が当たり前の時代になるだろう。そしてこれらのデータはすべてクラウドへ格納される。そうなればワークスタイルは決定的に変わると孫氏は強調する。ソフトバンクはいち早くiPhoneを、iPadを全社員に渡し、クラウドにつなげている。全社員がこうした情報武装する必要があり、スマートフォン、タブレット、クラウド、この3点こそが生産性アップの基礎的な鍵となる。まずは使うということから始まり、そこから便利さがだんだんわかってくる。他社よりも先に、その時代の新しい武器を最も速く、最大限に使うべきであり、日本の企業全てが使うべきだと主張した。

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ソフトバンクは情報武装により何ができたか。日本経済が停滞していた2009からの5年間で、1人あたりの生産性を倍にすることができたという。決して社員を倍に増やしたわけではない。経費、社員をそのままに倍にすることができたが、生産性を上げるというのはそういうことである。しかし未だに日本ではビジネスの場でタブレットなどは普及していない、それによって如何に競争力が失われているかを憂いた。

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また孫氏はクラウドとビッグデータの重要性についても強調した。ソフトバンクはクラウドにおいて全世界で50万社が活用しているVMwareと提携していることを述べ、従来のようにサーバーを自社の中に置くというのは無駄な手間であるとする。素人がそのようなことをやるよりも、それに特化した専門の会社に任せるほうが理にかない、安く、高性能に、安心に使える。

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そしてこれからは家電、メガネ、シューズあらゆるものがネットワークに繋がることでデータがクラウドへ、ビッグデータとして集積される。クラウドに蓄積された情報が我々にとって最大の財産になる。2020年には全世界で500億のものがネットにつながるようになるからこそ、これからの鍵はビッグデータだと主張する。

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ソフトバンクではビッグデータを徹底的に経営に活用している。CMでつながりやすさNo.1と宣伝しているが、これはビッグデータにより、電波がつながらないところをピンポイントで徹底的に調べ、改善した結果である。日本全国あらゆるところを調べ、機種別、時間別、企業別に把握できるようにした。少ない資本で他社を超すことができ、このようにインテリジェントに問題解決できるようになる。
ビッグデータはこれからどのように進化していくのか。ソフトバンクはGEとの業務提携を始めている。ビッグデータを集めるためにセンサーをGEのあらゆる生産物につけ、製品の状態のデータを集めて分析することを始めた。例えば自動車であれば各部品のデータを解析し、現在のメンテナンス状況を顧客にリアルタイムで知らせられるようなサービスを考えている。このような形でビッグデータを活用し、売上を伸ばし、顧客の来店を促し、安全につなげたいという。

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以上のように、最先端テクノロジーが生産性向上につながる。テクノロジーは自らが発明しなくても使えるもの。当時の最先端の武器であった鉄砲をいち早く取り入れて天下をとった織田信長を例に挙げ、スマートフォン、タブレット、クラウドという三種の神器をいち早く取り入れ、100%駆使すべきだと強調する。最先端の情報機器は何であるかは誰でも知っている、あとは実行するだけ、思い立ったらすぐやるべきだと述べた。

次は労働人口問題に関してだ。日本の労働人口は減る一方であり、少子高齢化も加わって難しい話である。
製造業において日本の高い人件費はネックとなっている。しかしそこで諦めてしまい、仕方がないと納得してしまったらお終いであり、もう一度日本の製造業を復活させるんだという強い思いこそが重要だと孫氏は強調する。だが製造業の労働人口は現在は中国が圧倒的であり、人件費が安く、労働人口も多い国に製造業においてあっという間に抜かれるのは当然の話だ。果たして解決策はあるのだろうか。

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孫氏はここで、自身の特有の表現である「嘘のようなホラを吹きたい」と述べた。9割以上の人には笑って聞き逃してもらいたい、しかし残りの1%の人に信じてもらえれば大成功。聞いて忘れてくださいと前置きした上で、解決策としてロボットを挙げた。ソフトバンクがロボットの「pepper」を発表したのはまだ記憶に新しいが、今回の講演では孫氏のロボット事業に参加した考えを改めて聞くことができた。

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単純生産型のロボットでは日本は既に世界一だが、それだけでなく汎用型の生産ロボットの普及を孫氏は目指す。安く、高性能で、ありとあらゆる作業をこなせるロボットを、それも100%クラウドに接続され、100%人口AIを搭載したものだという。これがあればもう一度世界最先端に立てるはずだと主張する。

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孫氏は製造業の労働人口を1000万人から1億人に増やしたいという。3000万台の生産ロボットを導入すれば24時間働けるので3人分働くと換算し、既存の1000万人に足すと製造業で1億人確保でき、世界でナンバーワンになれると述べる。賃金の問題も、100万円で生産したと考えれば5年で割ると月額1.7万円となり賃金も抑えられる計算になり、世界最安となる。以上のように、ロボットで労働人口問題を解決できるという。

製造業においてだけではなく、個人でもロボットを買える時代が来て、一家に一台のパーソナルロボットが置かれる日が来る。pepperはパーソナルロボットの第一号だ。
パソコンと同じようにどんどん進化していき、これからありとあらゆるシーンでロボットが活躍する日が来ると信じている、100年以内にロボットと共存する世界が来るはず。今はデジタルネイティブという子供が出てきてるが、ロボットネイティブの子どもたちがそのうち出てくる、その時に新しい時代が来るという。

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人間とロボットの共存、そのような国を目指して、世界一の競争力を取り戻して、もう一度日本は復活する。孫氏は、そうするためにも宜しくお願いしますと頭を下げ、講演を終えた。

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