阪神ケーブルエンジニアリング、街づくりへの5G活用に向け実証実験へ

2021年8月20日 13時10分更新


 阪神ケーブルエンジニアリング株式会社は8月16日、2021年7月15日にローカル5G(*1)のSub6帯(*2)における実験試験局免許を取得し、7月末から新たな実証実験を開始したと発表した。

■実験試験局について
ローカル5GのSub6帯では初となるマクロセル型の基地局で、工場等の建物内で利用する小規模エリア向けのスモールセル型とは異なり、屋外で広範囲なエリア構築を可能とする設備。

ローカル5Gの免許制度では、Sub6帯・ミリ波帯(*3)のいずれにおいても、自分の敷地や建物内での利用に限定した「自己土地利用」を基本としており、現状では、自己土地を大きく越えて他者土地まで電波エリアを広げて利用する「広域利用」は認められていない。
一方で、ローカル5Gが想定する2大ユースケースである『産業利用』と『地域利用』のうち、特に「街づくり」に係わる『地域利用』については、「自己土地利用」と同等に「他者土地利用」も認める「広域利用」の要望が高まっており、総務省の『デジタル変革時代の電波政策懇談会』においても「広域利用」に向けた検討が必要との考えが示されたところだ。

阪神ケーブルエンジニアリングでは、昨年7月にローカル5Gのミリ波帯における実験試験局免許を取得し、弊社の地域無線事業である地域BWA(※4)を4GアンカーとしたNSA方式でローカル5G実証実験を始めているが、今回のSub6実験試験局ではローカル5G単体で稼働可能なSA方式を採用する。

■実証実験について
今後は、Sub6実験試験局も加えて、ローカル5Gを街づくりに活かす「広域利用」ユースケースを想定した実証実験を進め、鉄道や商業施設などを手掛ける阪急阪神ホールディングスグループの各社と連携し、取り組みを拡大する。

■今後の展望について
地域BWA事業で提携する全国60社余りの事業者とも連携し、各地域の課題解決に向けた街づくりに資する「広域利用」想定の実証実験にも取り組んでいくことで、来年度以降のローカル5Gの「広域利用」制度緩和と合わせて本格的な商用化を目指す。

5年余りの地域無線事業で培ったノウハウや経験を活かし、ニューノーマル時代においても、地域を元気にするためのローカル5G活用を、本実証実験を通して提案していくとともに、ローカル5Gの更なる普及や、今後のローカル5G制度におけるより良い発展に向けて、引き続き貢献するとした。

*1:ローカル5G。地域限定の高速通信規格
*2:Sub6帯(サブ・シックス帯)。4.6GHz~4.9GHzの周波数で、ローカル5Gの無線局に使用される周波数。
*3:ミリ波帯。波長1mm~10mm、周波数30GHz~300GHzの電波の総称。直進性が極めて高い特性を持つ。ローカル5Gでは、28.2GHz~29.1GHzが対象。
※4:地域BWA(Broadband Wireless Access(広帯域移動無線アクセス))。LTEと同等の通信速度を有する高速無線通信の一種。

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