日経BP社の日経BPイノベーションICT研究所は3月6日、「全国『道の駅』iPhoneのLTE接続調査」の結果を発表した。全国47都道府県の「道の駅」1004ヶ所をiPhone5Sで計測し、LTE接続率とデータ通信速度の実態を調査したものである。
調査期間は2014年2月7日から2月27日にかけて行われ、現在開業している全国47都道府県の「道の駅」1004カ所が対象となっている。携帯電話事業の主要3社であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルのLTE接続率とデータ通信速度の実態を調査した。
「道の駅」は近年、地元の農産物の直売や、その食材を使ったレストランなどで人気を博し、観光振興や地域活性化の切り札として注目を集めている。しかしその立地は過疎地が多く、これまで通信環境は決して良好とは言えない状況にあった。LTEが全国に普及しつつある現在、そんな立地にある「道の駅」の通信環境の把握するために調査を実施したという。
測定場所は各「道の駅」の中心となる商業施設の入口前、もしくはその周辺。調査方法としては「RBB TODAY SPEED TEST」アプリを用いて同地点でデータ通信を各3回計測し、平均値、接続通信方式について記録。使用端末は3社とも「iPhone5S」が使用されている。計測調査結果は、47都道府県および11エリアに分割し、集計・分析された。
・4G/LTE接続率
最も4G/LTEの接続率が高かったのは921カ所とつながったKDDIで、91.7%と高い数字を残した。ドコモが745カ所で74.2%、ソフトバンクが527カ所で52.5%となった。エリア別で見るとKDDIは「首都圏」「北陸」では100%の接続率をほこり、ほかの地域でも「中国」を除いてKDDIが上回っている。KDDIは遠くまで電波が届く性質を持っている800MHz帯のLTE基地局の設置数が多く、「道の駅」は山間部などに設置されているところが多いために、その特徴が好結果につながったものと日経BP社は分析している。
4G/LTEと3Gを合わせた接続率は、NTTドコモが99.9%、KDDIが99.6%とほぼ100%に近かったのに対し、ソフトバンクは97.7%とやや数字を落としている。圏外だった「道の駅」の数はNTTドコモが1、KDDIが4、ソフトバンクが23となった。
都道府県内のすべての道の駅でLTEがつながるかどうかを見ると、東京都、福井県、山口県、沖縄県では3社のLTEがすべてつながっている。逆に最もつながりにくかった県は和歌山県で、KDDIが64.0%、ソフトバンクが32.0%、NTTドコモが20.0%と非常に低い数字となってしまっている。
・通信速度
LTEデータ通信の平均ダウンロード速度が最も速かったのはKDDIで、26.41Mbpsとなった。ドコモは19.88Mbps、ソフトバンクは14.01Mbpsで、KDDIが大きく突き放している。平均アップロード速度はKDDIが7.20Mbps、ソフトバンクモバイルが5.18Mbps、NTTドコモが4.13Mbpsとなった。
4G/LTE、3Gを合わせた全体の平均データ通信速度もみてみよう。ダウンロード速度ではKDDIが24.44Mbps、ドコモが15.27Mbps、ソフトバンクが8.63Mbpsの順となった。アップロード速度はKDDIが 6.69Mbps、ドコモが3.16Mbps、ソフトバンクが3.11Mbpsとなった。
都道府県別にデータ通信速度をみてみてもほぼ全地域でKDDIが優勢となっており、平均速度での順位結果が反映されていた。
各社がLTEの基地局整備を進めていく中、キャリアごとの通信環境に差がなくなってきていると思われたが、今回の「道の駅」での調査結果では大きく差が出た。特にKDDIが圧倒的優勢を残した一方、ソフトバンクはLTE接続率が約5割しかないというのは印象的だ。端末のラインナップやプランもキャリア選びにおいて重要だが、自身の通信環境こそよく考慮してキャリア選びをするべきだと改めて考えさせられるデータとなった。
もちろん事業社には今回の結果を基に、サービスの改善に努めてもらいたい。