全国LTE/4Gエリア調査、ダウンロードではドコモ、アップロードではソフトバンクが差をつける

2014年5月13日 10時59分更新

 日経BPコンサルティングは5月12日、「第3回全国LTE/4Gエリア調査」の結果を発表した。過去最多の全国約2800ヶ所で計測し、LTE/4G接続のエリア化率、およびデータ通信速度に関する調査をしたもので、前回調査は昨年7月に実施している。

 調査期間は2014年4月10日から5月7日にかけて行われ、公開統計情報等を基に人が多く集まる場所を選定し、全国2818カ所を対象とした。通信事業の主要3社であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルのスマートフォンによるLTE/4G接続のエリア化率、およびデータ通信速度の実態を調査(実調査は1カ所で複数ポイントの調査もあり、全体で3000ポイントの調査を実施)。今回はショッピングモール/複合商業施設、レジャースポットなど行楽エリアを中心に調査したという。
 

調査測定区分

調査測定区分

カテゴリー区分と各カテゴリー調査概要

カテゴリー区分と各カテゴリー調査概要

 調査方法としては同一地点で各3回計測を行い、平均値、接続通信方式について記録している。計測結果は、47都道府県を12の地域エリアに分割し、エリアごとで集計・分析されており、また調査地点に関する観光地、ショッピングモール等の10のカテゴリーでも集計・分析を行なっている。
 計測端末は、NTTドコモは「iPhone 5s」、「Xperia Z1 f」、KDDIは「iPhone 5s」、「isai」、ソフトバンクモバイルは「iPhone 5s」、「AQUOS PHONE Xx」の6機種となっており、「RBB TODAY SPEED TEST」を使用して通信速度を計測した。
 

・ダウンロード速度
平均ダウンロード速度

平均ダウンロード速度

各地域/カテゴリーにおける全体平均ダウンロード速度

各地域/カテゴリーにおける全体平均ダウンロード速度

 調査の結果、ダウンロード平均速度ではiPhone、Androidともドコモが1位となった。平均速度はiPhoneが25.01Mbps、Androidは28.82Mbpsという数字を出しており、他2キャリアに差をつけている。ドコモは地域別においてもダウンロード速度が1位となっており、また調査地点のカテゴリー別でも全10カテゴリーで1位と、ダウンロード速度ではドコモが圧倒的な結果を残している。
 KDDI、ソフトバンクの全国平均速度はiPhone、Androidの両方で平均20Mbps前後を記録しているが、KDDIのAndroidでは平均速度が昨年度の調査より落ちるという結果を出してしまっている。一方、iPhoneの平均速度はKDDI、ソフトバンクの両者とも前回より10Mbpsほど早くなっており、改善を果たした形となっている。
 

・アップロード速度
平均アップロード速度

平均アップロード速度

各地域/カテゴリーにおける全体平均アップロード速度

各地域/カテゴリーにおける全体平均アップロード速度

 アップロード平均速度ではiPhone、Androidともにソフトバンクモバイルが1位となった。iPhoneでは9.64Mbps、Androidは9.18Mbpsという数字を出しており、それぞれ他社より2Mbpsほど速度を上回っている。地域別・カテゴリー別においても、ソフトバンクのアップロード速度はほとんどの地点において1位となっており、アップロード速度においてはソフトバンクが優位な地位にいるといえよう。
 ドコモはiPhoneでのアップロードの速度に苦戦している模様だ。KDDIはiPhoneのアップロード速度は昨年の調査時よりも改善を果たしつつも、Androidのアップロードの平均速度は去年より2Mbpsも低下してしまっている結果となっている。
 

・エリア化率
各地域/カテゴリーにおける全体およびLTE/4Gエリア化率

各地域/カテゴリーにおける全体およびLTE/4Gエリア化率

 通信がつながった測定地点の比率である「エリア化率」は3社とも99%を超え、ドコモは100%のエリア化率となった。LTE/4Gが接続できたエリア化率も各社とも9割を超えており、LTE/4G設備の増強・拡大に取り組んだ結果が出ておると思われる。KDDIのiPhoneのLTE/4Gエリア化率は99.0%に上り、ドコモを僅差で上回り1位となっている。
 

・レジャースポット
レジャースポットでのダウンロード速度測定結果

レジャースポットでのダウンロード速度測定結果

レジャースポットでのアップロード速度測定結果

レジャースポットでのアップロード速度測定結果

 今回の調査ではディズニーリゾート、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど、代表的なレジャースポットにおいても調査しており、10ヶ所程度のポイントで測定している。その結果、ドコモが最も安定して速いダウンロード速度を記録しており、ここでも他2社に差をつけた形となった。またアップロード速度ではソフトバンクモバイルが平均速度で他2者社とは差をつけている。ディズニーリゾートではそこまでの安定感を出せていないが、USJにおいては安定した速度を記録している。話題のスポットである「COREDO」と「あべのハルカス」ではドコモが優位な結果となった。
 KDDIは平均ダウンロード速度、平均アップロード速度の両方でドコモ、ソフトバンクに劣る結果となってしまっており、それぞれ1位の数字とは倍近い差を付けられてしまっている。
 
 
 総括してみると、ダウンロードではドコモ、アップロードではソフトバンクという印象になるだろう。特にドコモの安定感、速さは際立っていた。元々ドコモが展開するLTEサービスは他社のものよりも最大速度が速く、KDDIが最大100Mbps、ソフトバンクは最大110Mbpsなのに対し、ドコモは150Mbpsとなっており、その差が今回の調査で現れたものだと思われる。
 今夏にもKDDIはキャリアアグリケーション、ドコモはVoLTEとLTE-Advancedの技術を使ったさらなるサービスが始まる。LTE/4Gのエリア化率では9割を超えているものの、何処でも安心してそれらサービスが使えるよう、最後の1割を各社ともに頑張ってもらいたい。

 

関連カテゴリー