ICT総研、都心部オフィスビルでの電波状況実測調査結果を発表

2014年5月15日 15時18分更新


・ビル1階は4社平均のLTE比率が96%だが、ビル上階では86%と差があり。
・NTTドコモはビル上階でLTE比率85%と苦戦も、1階と上階の速度差は少ない。
・auは、ビル上階で下り速度19.0Mbpsとトップ。LTE比率は全体で100%。
・ソフトバンクは、ビル1階での下り速度19.3Mbpsでトップ。上り速度でも強み。

 
 
 ICT総研は5月2日、都心部オフィスビルにおけるスマートフォン電波状況実測調査の結果を発表した。今回の調査では東京都心部のオフィスビル(主に高層ビル)を対象とし、調査期間は4月10日から23日まで。東京都心部の40箇所のオフィスビルの「1階」と「上階」(一般人が入れる、可能な限り上階)それぞれ40地点ずつ合計80地点で測定した。通信速度は測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を利用。下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定する形式とした。測定端末はNTTドコモ、au、ソフトバンクは「iPhone5c」を、イー・モバイルは「EM01F」を使用した。

 調査の結果、ビルの1階での下り平均速度はソフトバンクが19.27Mbpsの速度でトップ。次いでau、ドコモ、イー・モバイルの順。上り速度でもソフトバンクが10.56Mbpsと他社の倍近い速度でトップとなっている。2位がau、3位ドコモ、4位イー・モバイルの順番となっている。

 ビルの上階での下り平均速度はauが18.99Mbpsでトップ。僅差でソフトバンクが2位となり、ドコモ、イー・モバイルの順となった。一方上り速度では上階でもソフトバンクが9.31Mbpsで1位に。順位は1階と同じで2位がau、3位ドコモ、4位イー・モバイルである。

 LTEの受信比率だが、auが1階、上階共に100%と4社唯一の結果を出した。ソフトバンクはビル1階では100%であるものの、上階では90%となった。ドコモは1階では90%、上階では85%と他社と比べてやや数字が落ち込んでいる。イー・モバイルは1階では95%とドコモを上回る結果を出してが、上階では67.5%と大きく落ち込んでしまった。

都心部オフィスビルLTE比率

都心部オフィスビルLTE比率

都心部オフィスビル下り平均通信速度

都心部オフィスビル下り平均通信速度

都心部オフィスビル上り平均通信速度

都心部オフィスビル上り平均通信速度

 全体としてみると、ビル1階のLTE受信比率が4社平均で96.3%なのに対し、ビル上階では85.6%とやや差が付いている。しかし今回の調査対象であるオフィスビルは遮蔽物だらけのため、電波状況を測定するには悪条件と言える。そんなビル上階においても4社平均で85.6%のLTE受信比率を記録しているのはLTEの普及が進んでいる証左だろう。

 各社の評価だが、ドコモは全体的にau、ソフトバンクより低い数字であるため差が付けられてしまっている印象だ。auは1階、上階共に受信比率100%の結果を出した他、全体的に高い数字を残している。ソフトバンクは上りの平均速度が1階、上階共に他社の倍の数字を残しているのが目を引く。また下り平均速度も高い数字を出しているため通信速度の面では最も評価できるだろう。最後にイー・モバイルだが、使用した「EM01F」はソフトバンクがMVNOにて提供している「SoftBank 4G」の電波を使用できる端末であり、「SoftBank 4G LTE」の電波が使用できるiPhone5Cと差が付けられてしまっているのは、「SoftBank 4G」の電波はまだまだ普及の余地があるということだろう。

調査の詳細はICT総研のプレスリリースを参照
都心部オフィスビル 電波状況実測調査

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