iPhone6はソフトバンクがダウンロード速度1位に――待ち合わせ場所100地点 iPhone6電波状況実測調査

2014年10月8日 20時30分更新


・下り速度トップはソフトバンク。34.89Mbpsと、高水準の争いの中で頭一つ抜け出す
・auは上り7.37Mbpsと苦戦も、東名阪全てで平均30Mbps以上と下り速度が安定
・NTTドコモは上り速度で優位性を示すも、地域ごとのバラつきが見られる
・下り通信速度はここ3年間で34倍、LTE比率も3社ともに100%に

 
 
 株式会社ICT総研は10月8日、「待ち合わせ場所100地点 iPhone6電波状況実測調査」の結果を発表した。本調査は先月19日に発売されたiPhone6を用いた調査であり、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリアの新型iPhoneでの電波状況の比較を目的としている。
 調査期間は9月26日から29日まで。調査には測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を利用し、1地点あたり下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定し、その平均値を採用する形を採用。東京、大阪、名古屋の主要な「待ち合わせ場所」100地点を測定地点とし、各キャリアのデータ通信速度の実態を調査している。可能な限り繁忙時間帯を除いており、地点ごとの現実的な実効速度のベストエフォート値を測定するよう努めている。

・ダウンロード速度

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 今回の調査ではLTE比率100%、3社のダウンロード平均速度が32.42Mbpsと、各社のネットワーク整備の努力が反映された高水準な結果となった。その中で下り平均速度1位となったのはソフトバンクだ。平均34.89Mbpsと頭一つ抜けた結果を出している。東京で平均32.51Mbps、大阪で40.91Mbps、名古屋で34.35Mbpsと三大都市圏それぞれでトップとなった他、下り平均速度トップの地点数も45地点と3社中最多となり、優秀な結果を残した。下り平均30Mbps超の地点が100地点中54地点、同50Mbps超の地点が17地点といった数字も他2社を上回っている。今回の新型iPhoneからソフトバンクが提供している「AXGP」方式を使ったLTE回線「SoftBank 4G」が初めて対応しており、同社の提供する4つの周波数帯全てが使えるようになったことが、今回の結果の要因だと調査結果では分析している。

 2位は平均32.18Mbpsのau。東京が30.93Mbps、大阪が35.60Mbps、名古屋が31.49Mbpsと、三大都市圏全てで平均30Mbps超を記録して安定感をみせた。ソフトバンクと同じように、auもこの度の新型iPhoneから新たな技術・回線に対応している。2つの周波数帯を束ねることによって下り最大150Mbpsを実現する技術である「キャリアアグリゲーション」と、高速通信サービスWiMAX 2+に新たに対応することで、auが宣伝する「安定した高速通信」を今回の調査でも実現させた結果となった。100地点中、下り平均30Mbps超は43地点、同50Mbps超は12地点となっている。

 3位はドコモで平均30.19Mbps。大阪、名古屋に比べて東京の結果が劣るなど、地域別のバラつきが他社よりも多く見られ、安定感があるとは必ずしも言えないと調査結果では指摘されている。ソフトバンク、auがキャリアの持つ全てのLTE網が新型iPhoneで使えたのに対して、ドコモのみ同社が所有する4つのLTE周波数帯のうち3つしか対応しておらず、その点が明暗を分けたと思われる。100地点中、下り平均30Mbps超は38地点、同50Mbps超は12地点と他2社よりも一歩劣る数字となってしまっている。

・アップロード速度

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 アップロード速度ではドコモが1位となった。ダウンロード速度では譲る形となったが、アップロード速度では平均13.61Mbps、速度トップ地点数も59と他社を圧倒した。大阪、名古屋では他社の平均速度の2倍の数字を残しているのは注目すべきだろう。2位は8.38Mbpsでソフトバンク。ドコモには及ばずも東京、大阪、名古屋で安定した数値を残した。3位は7.37Mbpsでau。速度トップ地点数は辛うじてソフトバンクを上回りつつも、東京、大阪、名古屋の平均速度はそれぞれ最下位となっており、改善が望まれる結果となってしまった。

・3年間の平均ダウンロード速度の推移

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 ICT総研は過去3年間継続して調査してきており、今回の調査では過去の調査結果と比較してその推移を見ることで、ネットワーク網の進化を示している。2011年から調査を開始し、当時は3社平均で0.95Mbpsだったのが今年には平均32.42Mbpsになり、僅か3年間で通信速度が34倍になったことには驚きを隠せない。また2011年当時は主に3Gでの調査だったのが、今年にはLTE比率100%になっている点は各携帯キャリアの努力に敬意を払うべきだろう。

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 ソフトバンク、ドコモがキャリアアグリゲーションの導入を明確にするなど、今後も通信速度の競争は留まることを知らないようだ。これから更にネットワークインフラは快適になっていく反面、過度な広告に惑わされることなく、その技術の進歩を確認するためにも実態を見極めていく必要があるだろう。自らの用途と照らし合わせ、今回のような調査結果を役立てていきたい。

 なお詳細なレポートに関しては以下のリンクを参照してもらいたい。
・ICT総研:「待ち合わせ場所100地点 iPhone6電波状況実測調査」
 http://www.ictr.co.jp/report/20141008000068.html

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