auの「上り」実行速度は他社の1/3以下――ドコモの決算説明会で明らかに

2016年2月2日 12時21分更新


 昨年末、携帯キャリア3社は総務省が定めた方法で通信速度を計測し、ベストエフォートではない「実効速度」を公表した。しかし公表方法は3社ともバラバラであり、特にKDDIは上り実効速度の集計値を掲載しておらず問題視されていた。ところが先月末にドコモが開催した決算説明会にて、その数値が明らかになっている。

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 ドコモの決算説明会資料によるとauの「上り」の実効速度は6Mbpsとなっており、ドコモの21Mbps、ソフトバンクの22Mbpsと比較して1/3以下の数値であることが判明した。元々auの上り最大速度は25Mbpsで、ドコモの50Mbps、ソフトバンクの37.5Mbpsとベストエフォートの数値で比較しても遅いといえるが、実効速度がより遅くなってしまった具体的理由としては2点が挙げられる。

 1点目はWiMAX2+だ。現在auのスマートフォンはFDD-LTE方式の「au 4G LTE」とTD-LTE方式の「WiMAX2+」の2つの通信サービスに対応しており、都市部エリアなどではWiMAX2+を利用するようになっている。このWiMAX2+の上り速度は最大でも10Mbpsに過ぎず、実効速度もドコモが明らかにした数値程度しか出すことはできない。
 2つ目の理由は「au 4G LTE」で利用している周波数帯にある。auは「au 4G LTE」においてBand1とband18をメインに使用しているが、Band1の上りに使う帯域はPHSで利用する帯域と隣接しており、干渉を避けるため制限して使わざるをえない。そのためBnad1を掴んでいる状況ではアップロード速度はどうしても落ち込んでしまう。
 
 こうした技術的制約もありauの上り実効速度は他社と比較して落ち込んでしまっていると推察できるが、実効速度の公開にあたって集計値を自ら公表しなかった理由にはならないだろう。下り速度よりも重視されない数字ではあるものの、SNSによく写真を投稿するユーザーなどにとっては見過ごせない項目でもある。総務省が実効速度の公表をキャリアに求めた意図を考えれば、その姿勢は批判されるべきだろう。

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