公衆無線LAN、キャリア3社とキャリア以外の通信速度に大きな差―ICT総研調べ
2018年5月22日 11時50分更新
株式会社ICT総研は、公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fiサービス)の通信速度実測調査の結果をまとめた。公衆無線LANサービスは、携帯電話キャリア3社のスマートフォンのデータオフロードや訪日外国人向けのインフラとして一定の存在感を見せているが、今回の調査は公衆無線LANサービスの事業者ごとの通信速度の実態を把握することを目的としている。
調査期間は5月2日から11日まで。調査対象は、過去に同社のアンケート調査でユーザーの利用率が高かったNTTドコモの「0001docomo」、au(KDDI)の「au_Wi-Fi2」、ソフトバンクの「002softbank」、セブン&アイの「セブンスポット」(7SPOT)、スターバックスの「at_STARBUCKS_Wi2」、羽田空港の「HANEDA-FREE-WIFI」の6種類のアクセスポイント。
測定端末はiPhone 7を利用し、各アクセスポイントで閑散時間帯と繁忙時間帯それぞれ10地点ずつ、通信速度測定アプリ「RBB SPEED TEST」と「Googleスピードテスト」にて、1地点で3回ずつ測定した結果となっている。
キャリア3社平均下り19.7Mbpsに対し、キャリア以外は平均36.3Mbpsと大きな差
調査の結果、携帯電話キャリア3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)の下り速度が平均 19.7Mbps (RBB 22.2Mbps、Google 17.2Mbps)だったのに対し、キャリア以外(セブンスポット、at_STARBUCKS_Wi2、HANEDA-FREE-WIFI)は平均 36.3Mbps (RBB 39.8Mbps、Google 32.9Mbps)と、大きな差を見せた。
特に「セブンスポット」は下り速度平均 59.8Mbps (RBB 59.9Mbps、Google 59.7Mbps)と、他を圧倒する速度を記録。「HANEDA-FREE-WIFI」は、RBBでは下り平均35.7Mbpsを記録するも、Googleでは平均19.4Mbpsという結果となった。また、携帯電話キャリア3社の中では、「au_Wi-Fi2」の下り速度が他2社を上回った。
繁忙時間帯でも、全事業者平均で閑散時間帯の96.7%の下り速度を記録
繁忙時間帯(11時半~13時半)と閑散時間帯(9時半~11時半、13時半~16時半)の速度差を比較すると、携帯電話キャリア3社は繁忙時間帯の下り速度が閑散時間帯の92.8%、キャリア以外は繁忙時間帯の下り速度が閑散時間帯の101.9%となり、全事業者平均でも繁忙時間帯の下り速度は閑散時間帯の96.7%と、繁忙時間帯の速度遅延はほとんど見られなかった。
携帯電話キャリアのLTE回線では、特にMVNO事業者を中心に繁忙時間帯の速度低下が著しい状況が見られるが、公衆無線LANサービスについては、その状況はあまり起きていない様子。
セブンスポットが閑散時 下り61.0Mbps、繁忙時 下り58.6Mbpsと群を抜く速度を記録
中でも、「セブンスポット」は、閑散時間帯の下り平均 61.0Mbpsに対し、繁忙時間帯も 58.6Mbpsと、いずれも群を抜く速度を記録した。また、「at_STARBUCKS_Wi2」は閑散時間帯の下り平均 20.1Mbpsに対し、繁忙時間帯は23.0Mbpsと、繁忙時間帯の方が速いという逆転現象を見せている。
上り速度も、キャリア3社よりもキャリア以外が速いという傾向は下り速度と変わらない
上り通信速度で見ても、携帯電話キャリア3社よりもキャリア以外が速いという全体的な傾向は変わらないが、携帯電話キャリア3社の平均は下り19.7Mbpsに対して上りは22.9Mbpsと、若干速い結果となった。
今回の調査結果を受けて、ICT総研は「調査地点数が多いわけではないが、携帯電話キャリア3社の公衆無線LANサービスは、通信速度という点で必ずしも優勢ではないという点が今回の調査から言えるだろう」としている。
携帯電話キャリア3社は圧倒的なアクセスポイント数がある点で利用者ニーズに応えていると言えるかもしれない。その一方で、品質面(通信速度面)では「つながりにくい」「速度が遅い」といった意見も多い。今後の改善が期待される。