公衆無線LANサービス、2018年度は5,746万人、2021年度は7,013万人に利用者拡大―ICT総研調査
2018年10月12日 10時18分更新
ICT総研は10月12日、公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fiサービス)市場に関する調査結果をまとめた。同調査は、公衆無線LANサービス事業者、関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,239人へのWebアンケート調査の結果などをまとめて分析したものとなっている。
2018年度の利用者は5,746万人、2021年度には22%増の7,013万人に拡大
公衆無線LANサービスの2018年度の利用者数は、前年比14%増の5,746万人になると推計。内訳は、個人利用者 3,793万人、ビジネス利用者 451万人、訪日外国人利用者 1,502万人となっている。
スマートフォンのパケット料金を抑えるために低価格・小容量のプランを選択するユーザーが増えた結果、公衆無線LANサービスの利用ニーズが高まっていることが増加の要因と考えられる。
日本では官民一体となって東京五輪や訪日観光客対策としてWi-Fiスポットの増設を進めており、その結果、利用者数は2020年度に6,720万人、2021年度には7,013万人へ増加する見通しだという。
キャリア系ではNTTドコモが満足度1位、キャリア系以外ではスターバックスがトップ
公衆無線LANサービスは、通信キャリア(事業者)が提供しているものや、施設を運営する企業等のブランド名で運営されているものがある。固定系通信キャリアは、宅内のブロードバンド回線利用者が屋外でも利用できるようにするために公衆無線LANサービスの拡大に注力。一方、移動系通信キャリアは、LTE(4G)などの無線ブロードバンドの混雑状況回避のために公衆無線LAN基地局を増設している。また、通信キャリア以外では、喫茶店やコンビニ、交通機関などでも利用者の利便性や満足度の向上を目的として、公衆無線LAN基地局を設置している。
ICT総研が実施したWebアンケートの結果では、通信キャリア系のサービス満足度は、NTTドコモが運営するdocomo Wi-Fiが61.7ポイントでトップ、ソフトバンクWi-Fiスポットが58.6ポイントでこれに続いた。KDDIのau Wi-Fi SPOTが57.0ポイント、NTT東西のフレッツ・スポットが54.7ポイントとなった。フレッツ・スポットは既に新規受付を終了しておりサービス縮小が見込まれることから満足度が低下傾向にある。
一方で、通信キャリア以外が運営するもののサービス満足度は、スターバックスの「at_STARBUCKS_Wi2」が64.9ポイントでトップとなり、羽田空港のHANEDA-FREE-WiFiが63.4ポイントで続いた。流通系事業者が展開するイオンWi-Fiは54.6ポイント、コンビニエンスストアが提供するWi-Fiサービスは、53.0ポイントで満足度は低い結果となっている。
移動系事業者の無線LANの利用場所は、「カフェ・飲食店」が49.4%でトップ
移動系通信事業者が提供する公衆無線LANの利用場所は、「カフェ・飲食店」が49.4%でトップとなった。「コンビニ・ショッピングセンター」(40.5%)、「駅・空港・SA/PA」(36.1%)、「その他」(26.5%)と比較して、利用率が高い傾向が見られる。通信キャリアが提供する公衆無線LANは、喫茶店やファーストフード店などで利用できることも多いことが、この要因になっていると考えられる。
海外旅行先で利用したい場所は空港が86.4%、ホテルが83.3%
海外に渡航した日本人に対するアンケートの結果では、海外旅行先で公衆無線LANサービスを利用したい場所は、空港が最も要望が高く86.4%、以下、ホテル内での利用が83.3%、カフェ・飲食店が56.6%、観光地・レジャー施設が43.4%と続いた。
日本国内での利用と海外旅行先での利用傾向には大きな違いが見られるが、日本を訪問する外国人利用者も同様の傾向であると言える。ICT総研は、今後の公衆無線LANサービスについて、「訪日外国人のニーズに応えるために空港、ホテル、カフェ・飲食店でのWi-Fi環境をさらに整備していくことが重要である」としている。