総務省はガイドラインを改正、2015年5月からSIMロック解除は原則義務化へ

2014年12月24日 10時00分更新


 総務省は12月22日、「SIMロック解除に関するガイドライン」について改正を行なったと発表した。この改正によって2015年5月以降に新たに発売される端末に関してSIMロック解除を原則義務化され、キャリアは利用者の要望に応じてSIMロックの解除を無料で行わなければならなくなる。

 従来も総務省はキャリアの自主的な取組によるSIMロック解除の実施を求めたいた。しかし効果はかなり限定的であり、NTTドコモは有料で受け付けていたが、ソフトバンクは一部機種のみ、KDDIでは対応していないという状況にあった。
 この状況に対して総務省は10月にガイドラインの修正案を発表。11月1日から12月1日までの1ヶ月間で意見募集を実施し、提出された計97件の意見をまとめ、それらを踏まえてガイドラインを改正した。そもそも総務省がSIMロック解除を求める目的は、海外渡航時に手軽に現地のSIMカードへの差し替えが行えるようにするなど利用者の便宜を図れるようにするための他、端末のSIMロックがユーザーのキャリア変更する際のスイッチングコストが押し上げ、競争の阻害する要因になっているためである。さらにその状況が高額キャッシュバックの一因となって頻繁にキャリアや端末の変更を行うユーザーと長期利用者との間の不公平性も助長しており、これらの状況を打破するためでもある。

 この改正により、2015年5月以降に新たに発売される端末に関してキャリアは「可能な場合には利用者がインターネットや電話により手続を行えるようにするなど、迅速かつ容易な方法により、無料でSIMロックの解除を行うもの」と定められる。一方で特殊な端末や、キャリア固有の仕様になっている端末などは、この限りではないとしている。また端末の割賦代金等を支払わない、端末の入手のみを目的としている等の不適切な行為を防止するために、キャリアは最低限必要な期間はSIMロック解除に応じないなど必要最小限の措置を講じることができるようになっている。
 この他ガイドラインではキャリアに対して、SIMロックを解除した端末の故障・修理などに関する窓口を設けることや、SIMロック解除の条件や端末が対応している周波数帯と通信方式についてユーザーに周知するよう努める必要があるとしている。

 この度のガイドライン改正によって、例えば2年間の分割払いを終えた段階でSIMロックを解除し、その端末を使って他の違うキャリアと契約するといったことが可能になる。しかし現状において、キャリアから発売される端末は他キャリアの周波数帯に対応している場合は少なく、更にKDDIなどは異なる通話方式をとっているため、ある端末をそのまま他キャリアで100%活用できるかと言ったら難しい状況だ。更にキャリア側も新しく「囲い込み」を測り、現状の携帯電話販売のスタイルも見直される可能性もある。ユーザー側の理解など課題は多くあるものの、とりあえずはMVNOも含めた業界の活性化に向けて今回の改正については歓迎したい。

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