マイナポイント利用意向に関する調査、「内容を把握している」はわずか14%—ICT総研調べ

2020年6月29日 12時07分更新


 株式会社ICT総研は6月29日、「マイナポイント利用意向に関する調査」の結果をまとめた。
 マイナポイント制度は総務省が推進する事業・制度であり、マイナポイントの活用により、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤が構築されることを目的とされている。マイナンバーカードにキャッシュレス決済を登録することで、チャージや決済によって「マイナポイント」を受け取ることができる仕組み。還元率は25%、還元金額は5,000円が上限となる見込みであり、2020年7月1日からの開始が予定されている。
 今回の調査では、制度が開始される前の現時点におけるマイナポイントについての消費者の認知度や利用意向の実態を把握することを目的とした。調査手法はインターネットユーザー10,754人へのWebアンケートであり、調査期間は2020年6月19日~22日。

■ マイナポイントを「聞いたことがある」は合計53%。「内容を把握している」はわずか14%。

 マイナポイントの認知度・理解度について、Webアンケート形式でインターネットユーザーの声を聞いたところ、「内容を把握している」 14.1%、「聞いたことはあるが、内容把握していない」 38.6%、「聞いたことがない」 47.3%という結果になった。政府が積極的に広報しているため、「聞いたことがある」とした回答者は合計で52.7%と半数を超えているものの、内容を把握している回答者は1割強に過ぎない状況である。

■ マイナポイントの利用意向者は、現時点で34%。マイナンバーカード未取得者が消極的。

 次に、マイナポイント制度の内容について説明した上で、この制度の利用意向を聞いたところ、「利用したいと思う」 33.9%、「利用したいと思わない」 25.6%、「わからない・回答不可」 40.5%という結果になった。現時点での利用意向者は3人に1人程度に過ぎない。
 マイナポイントの利用には、「マイナンバーカード」が必要となるが、マイナンバーカードを既に取得した回答者のマイナポイント利用意向が58.2%であるのに対し、まだ取得していない回答者のマイナポイント利用意向は24.6%。マイナンバーカード未取得者の利用意向が、明らかに消極的な傾向にある。
 総務省は、マイナポイント制度の目的の1つとして、「マイナンバーカードの普及促進」を掲げているが、いかにマイナポイント制度の魅力・利点を消費者に理解してもらえるかどうかが、マイナンバーカードの普及にも大きく影響してくるとものと考えられる。

■ 「マイナポイントに登録したい」登録意向は、PayPayが23%でトップ。

 マイナポイントを利用するには、マイナンバーカード取得後に、任意のキャッシュレス決済を1つ登録する必要がある。そこで、現時点でマイナポイント制度の決済サービスとして登録されているキャッシュレス決済の一覧を見せた上で、「もし自分がどれか1つに登録するとしたら、どのキャッシュレス決済をマイナポイントに登録したいか?」という登録意向を聞いた。
 その結果、登録可能なキャッシュレス決済の中で、PayPayが登録意向 23.0%でトップとなり、楽天カードが21.8%でこれに続いた。以下、WAON 7.4%、楽天ペイ 6.3%、d払い 6.2%、楽天Edy 5.3%、Suica 4.8%、イオンカード 4.6%、dカード 4.2%、nanaco 3.9%と続く。
 電子マネーやクレジットカードなどの既存のキャッシュレス決済手段と比べて、ここ1年程度で急激に市民権を得たQRコード決裁の存在感が大きいことが読み取れる。
 自分のマイナポイントに登録できるキャッシュレス決済は任意の1つであり、登録後に別のキャッシュレス決済に変更することはできない。消費者は、それも踏まえて慎重に選択する必要がある。

 ICT総研では、「マイナポイント制度は、政府が目論むマイナンバーカード普及の切り札となり得るのか、制度の動向を注視していきたい。」として、今後もマイナポイントの動向、キャッシュレス決済の市場について、継続的に調査をしていく方針。

【参考】 マイナポイント登録サービス一覧
(2020年6月28日時点、総務省「マイナポイント」ホームページより抜粋)
 

 
 
 
 
 

関連カテゴリー