【第21回東京国際ブックフェア】BoolLive!とTSUTAYAによる新たな電子書籍販売――凸版印刷ブース
2014年7月10日 11時09分更新
7月2日から5日にかけて、東京ビックサイトにて国内最大の本の展示会「第21回東京国際ブックフェア」が開催された。電子書籍の最新サービスなどを展示する「第18回国際電子出版EXPO」など5つのイベントも併催されており、過去最多の1500を越える出展ブースが並んだ。DenpaNewsでは本イベントにおいて展示されていた電子書籍・出版に関するブースについて紹介していきたい。
本記事においては国内大手印刷会社である凸版印刷のブースについて紹介する。
・BookLive
「BookLive!」は凸版印刷グループの子会社が運営する電子書籍サービスだ。他の電子書籍サービスと同様、パソコン、スマートフォン、タブレットで閲覧できる他、電子書籍専用リーダーの「Lideo」も備え、国内の電子書籍市場では最大規模を誇る。ブースでは先日発表されたのTSUTAYAとの連携サービスなどが展示され、賑いをみせていた。
「AirBook」はTSUTAYAで本を購入する際にTカードを提示すると、購入後に無料、もしくは割引価格でBookLive!でも読めるようになるというもの。TカードとBookLive!のアカウントを紐付けすることで実現し、ブースのデモンストレーションでは購入した瞬間には自動的にBookLive!の本棚に並び、購入した冊子がスマートフォンで閲覧できるようになっていた。またTSUTAYAで本を注文すると、到着までの間はBookLive!で電子版が見られるという「FastRead」というサービスも予定されている。TSUTAYAとBookLive!で共通本棚を作成し、それぞれで購入した電子書籍と紙の本を一元管理できるサービスも用意しているという。
ブースでは「BookLive! SPOT」の展示も目を引いた。TSUTAYAの「BOOK&CAFE」スタイルの店舗に設置する予定の無料Wi-Fiスポットサービスだ。BookLive!の電子書籍を格納した小型サーバーに手持ちの端末を接続させるだけで、アプリや会員登録を必要とせずにブラウザにて電子書籍を手軽に読めるサービスだ。「BOOK&CAFE」はくつろぎと読書の関係に着目したサービスであり、本サービスはその中で如何に電子書籍に触れてもらうかを目的としている。そのためBookLive! SPOTのコンテンツは試し読みなどではなく、1冊の内容を丸々読めるようになっている。また読んでいる書籍が気に入れば、BookLive!への登録が必要なものの、その場で購入することができる。
TSUTAYAとの連携は出版社からの許諾が必要な部分が多く、交渉はまだ途上だが年内には開始させたいという。TSUTAYAの利用層は若年層という点と、レンタルサービス等でのモノへの所有感の考えなど、電子書籍のユーザーと重なる部分も多いとみている。電子流通は広まりつつあり、ニーズは確実にあると踏んでおり、紙と電子、TSUTAYAとBookLive!と、お互い長所を生かしたサービス展開を目指していくとブースの担当者は語ってくれた。
・Toppan Contents Station
近年書籍の発行部数が落ちていると言われて久しいが、特に雑誌に顕著だと言われる。凸版印刷ではそうした業界の状態を踏まえ、電子媒体にて雑誌を記事単位で配信するコンテンツビジネスに取り組んでいる。今春に「中吊りアプリ」という雑誌コンテンツを記事単位で購入できるスマートフォン向けアプリを国内初公開した他、「中吊りアプリ」の経験を活かし、さらなるエンターテイメント性を加えたiPhone向けコンテンツ配信プラットフォーム「マガ・ジーン」、人気のあるキュレーションマガジン「Flipboard」等へのコンテンツ供給によるプロモーション効果を狙った集客モデルの構築など、雑誌の新たな売り方に取り組み続けている。
数ある雑誌をデーテベースに記事単位で保存することでユーザーへも届きやすくし、記事コンテンツをスマートデバイスならではの見せ方にすることでより訴求性を高めていくことを目指す。またこの際コンテンツ配給の出口を固定せず、ユーザーごとに多様な伝え方を用意するのが重要だとブースの担当者は語る。既存のデータベースから如何にユーザーへダイレクトへ届けるか、業界の今後のためにも凸版印刷の取り組みに期待していきたい。
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