MVNO「格安SIM」利用者シェア、楽天モバイルが25.7%でトップ ―ICT総研調べ
2018年7月17日 13時10分更新
表1.MVNO「格安SIM」利用者シェア
表2.MVNO「格安SIM」利用者満足度
ICT総研は7月17日、2018年MVNO格安SIMの市場動向調査の結果をまとめた。同社では、市場実態や利用動向の把握を目指し、2018年7月10日から7月17日までの期間、Webアンケートを実施。10,679人に対するWebアンケートのうち、格安SIM利用者1,227人の回答結果を基に調査結果をまとめている。
なお、WebアンケートでMVNO格安SIM事業者として回答があった事業者は、OCNモバイルONE、IIJmio、楽天モバイル、LINEモバイル、BIGLOBEモバイル、mineo、b-mobile、nuro mobile、Nifmo、BIC SIM、FREETEL SIM、UQモバイル、U-mobile、Servers Man SIM(トーンモバイル)、エキサイトモバイル、DMM mobile、イオンモバイル、その他。ソフトバンクのサブブランドである「ワイモバイル」については、MVNOではないため回答対象外となっている。
MVNO「格安SIM」利用者シェアは楽天モバイルが25.7%でトップ
スマートフォンに格安SIMを挿して利用しているユーザーに対するアンケートの回答を集計した結果、現在利用している事業者は、楽天モバイルが25.7%となり、出現率ベースでトップとなった。ケイ・オプティコム(関西電力子会社)の「mineo」(マイネオ)が16.1%、UQコミュニケーションズの「UQモバイル」が12.1%、インターネットイニシアティブの「IIJmio」が8.6%、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」が7.7%で続いた。
OCNやIIJ、BIGLOBEなど、もともとネットワーク運営に強みを持つISP事業者が前年に続いてシェアを落とした。一方で、楽天モバイル、UQモバイル、mineoなど後発の事業者が、積極的なプロモーション戦略などで攻勢をかけた効果もあって、さらにシェアを伸ばした。特に楽天モバイルとUQモバイルのシェア拡大ペースが目覚ましい。この上位5事業者のシェア合計は70.1%であり、1年前時点の65.6%からさらに拡大。上位事業者による寡占が進んだことになる。
「料金面」に対する項目の満足度ポイントが前年同様に他の項目より高い
スマートフォンでの格安SIM利用者に対して、10項目の指標で、それぞれ満足度を聞いた。この満足度ポイントを100点満点換算したところ、「コストパフォーマンスの高さ」(平均76.8ポイント)、「最適な料金プランの有無」(平均74.8ポイント)など、料金面に対する項目の満足度ポイントが、前年と同様に他の項目と比べて相対的に高い数値となった。料金面に対する項目の満足度ポイントは、LINEモバイルが80ポイントを超えるなど、きわめて高くなっており、SNSのデータ消費量をカウントしない料金プランなどがユーザーに支持されていると見られる。
動画視聴の品質・安定性はUQモバイルが満足度トップ、事業者に対する信頼性はIIJmio
一方で、「ホームページ閲覧の品質・安定性」、「ホームページ閲覧の速度」、「動画視聴の品質・安定性」、「動画視聴の待機時間・速度」などの通信品質面についての項目や、「コールセンターのつながりやすさ」、「コールセンターの対応」など、サポート面の項目と言ったMVNO事業者にとって弱点とされている部分については、相対的に芳しくない結果となっており、1年前とその傾向は変わっていない。
「ホームページ閲覧の品質・安定性」についてはLINEモバイルが、「動画視聴の品質・安定性」についてはUQモバイルが満足度トップとなった。UQモバイルは類似項目の「データ通信の速度」で前年もトップとなっており、データ品質面で強さを見せている。
「事業者に対する信頼性」は、IIJmioが76.8ポイントでトップであり、3年連続のトップ。OCNモバイルONEがこれに続いており、老舗の2社がトップ2となった。
総合満足度はLINEモバイルが75.4ポイントでトップ、料金面などへの支持が寄与
10項目の満足度項目を総合した「総合満足度」は、LINEモバイルが75.4ポイントでトップとなり、IIJmioが71.0ポイントで次点、BIC SIMが69.0ポイントでこれに続いた。LINEモバイルは、全体的に際立って低い項目がなかった点、料金面やサポート面の項目が高かった点が、総合満足度に寄与している。
格安SIMも1,000万契約を突破、今後は通信モジュール向け需要に期待
総務省によると、MVNOサービスの契約数は、2018年3月末時点で1,840万契約と、1年間で16%伸長した。そのうち「格安SIM」(SIMカード型)の契約数は1,130万契約に到達。1年間で26.8%拡大し、MVNOサービス全体の61.4%を占めるなど、MVNO市場を引き続き牽引している。また、移動通信の契約数全体に占めるMVNOサービス契約数の比率は10.6%となった。(いずれもMNOであるMVNOを除いた定義)
楽天によるフリーテルの買収や、ぷららのサービス終了、ソフトバンクによるLINEモバイル子会社化など、MVNO事業者の合従連衡が始まっており、今後もその動きは加速すると見られる。
NTTドコモの「docomo with」、KDDIの「auピタットプラン」、ソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」による攻勢など、既存の3大キャリアによるユーザー流出防止策の効果もあり、個人ユーザーのスマホ向け用途に使われる「格安SIM」(SIMカード型)の増加ペースは鈍化。2016年度までのような急激な右肩上がりの状況ではない。一方で、通信モジュール向け需要などは今後も旺盛であると想定されている。
ICT総研は、今後のMVNOサービス市場の動向について、「まだ当面は拡大局面が続いていくだろう」としている。