米Amazon、独自スマートフォン「Fire Phone」発表
2014年6月20日 16時56分更新
米AmazonはAndroidベースの“Fire OS”を搭載した独自のスマートフォン『Fire Phone』を発表した。キャリアはAT&T限定であり、2年契約で32GBモデルが199ドル、64GBモデルが299ドル。2年契約をしない場合は32GBモデルが649ドル、64GBモデルが749ドルとなっている。年額99ドルのAmazon Primeの1年間無料利用権も付く。既に米Amazonでは予約が始まっており、7月25日に発売予定である。
片手で操作できることが強調されており、液晶のサイズも4.7インチと、最新のGALAXYやXperiaと比べて小さめとなっている。フレームの外側はラバー素材となっており、片手でも滑りにくいようになっている。小さいとは言ってもスペック的にはクアッドコアを搭載し、十分ハイエンドモデルとなっている。
Androidベースの独自OSということもあり、他社のスマホにはない機能を幾つか搭載している。順に機能を見ていこう。
・「Dynamic Perspective」
Dynamic Perspectiveというセンサー技術は「Fire Phone」の片手での操作をより簡単にするものだ。本体の4隅に搭載した4つのカメラによってユーザーの頭の動きを捉え、また他センサーによって本体の角度を認識することで、様々な操作性を向上させる。
例えば本体を傾けるだけでメニューや通知を表示させたり、Kindleで本を呼んでいるときなどは自動スクロールさせるなど、指を使うことなく操作できるようになっている。
また「Dynamic Perspective」は操作性の向上だけでなく、画面の表示も奥行きと広がりのあるものにする。本体の傾きと4つのカメラでユーザーの視線・動きを捉えることで、ユーザーの見る向きや本体を持つ角度によって画面を動かし、奥行き感を与えることで3D画像を見ているような効果を実現する。これはマップアプリにも活かされており、地図を表示させて本体を傾けると建物の向きが変わったり、店の情報を表示させることが出来る。
なおサードパーティ向けにSDKが用意されており、「Dynamic Perspective」の機能を活かしたアプリを開発できるようになっている。
・「Firefly」
「Firefly」はカメラとマイクを活用した商品・コンテンツ検索機能だ。調べたい対象をカメラにかざして本体側面のボタンを押すと、1億以上のアイテムから検索され、情報が提供される。メールアドレス、電話番号、ウェブサイト、QRコードはもちろん、マイクによって音楽、映画やテレビ番組も認識可能だ。検索したものをそのままAmazonで注文するといったことも、もちろん可能である。
本体側面のボタンを押すだけでスリープ状態からでも素早く起動するので、思い立ったらすぐに使用できる点も魅力だ。この「Firefly」もサードパーティ向けSDKが用意されている。
・「Mayday」
Kindle Fire HDXにも搭載されていた、無料のサポート機能である。Maydayボタンを押すだけでAmazonのカスタマーサポートにビデオチャットでつながり、使い方をサポートしてくれる。24時間年中無休でサポートしてくれるというから驚きである。
・Amazon Primeとの連携
「Fire Phone」はAmazon Primeのアカウントに統合されているため、各種サービスとの連携も行える。例えばクラウドドライブと連携して、撮影した写真を無制限にクラウドへ保存できたりする。
また日本でのAmazonのPrime会員といえば「お急ぎ便」が無料で利用できるくらいの特典しかないが、アメリカのPrimeサービスは他にも特典がある。Amazonが提供するビデオ配信サービス「インスタントビデオ」の一部が見放題となる他、先日開始された音楽ストリーミングサービス「Prime Music」や月に1冊、本を無料で借りられる「Kindle Owners’ Lending Library」など、日本にはない特典が多い。
この「Fire Phone」ではこれらのAmazonのエコシステムを前提に作られているので、日本での発売が未定であるのも、このあたりの事情だろう。なお上記したように「Fire Phone」を購入すればAmazon Primeの1年間無料利用権も付いてくる。
3Dのような画像表現や、シームレスなAmazonのサービスとの連携は独自路線のスマートフォンとして面白いAndroidベースのOSなので、Amazon Appstoreで240,000個以上のAndroidアプリが登録されているのも強みだろう。日頃からAmazonのサービスを使用しているユーザーならば興味をそそられる端末となっている。
一方でコンテンツを消費することを前提として考えられているので、ここをどう考えるかがユーザーにとっての分水嶺となるだろう。通信料の他に、Amazon Primeの会員費や商品の購入代など、「Fire Phone」を使用するだけで出費がかさんでいく可能性もある。また全てのサービスをAmazonに依存することになるので、そのあたりも評価の1つになるだろう。
日本での発売は未定だが、Amazonというビッグプレイヤーが自社サービスで囲い込んでいくという手法をとった「Fire Phone」がスマートデバイス市場にどこまで影響を及ぼしていくのか、注目していきたい。
詳細なスペックは以下の通りだ。
・OS:Fire OS 3.5.0
・本体サイズ:139.2(H)×66.5(W)×8.9ミリ(D)
・重量:160グラム
・液晶:4.7インチ(1280×720ピクセル315dpi)Gorilla Glass 3液晶
・CPU:Snapdragon 800(2.2GHzクアッドコア)
・メモリ:2GB
・本体容量:32GB/64GB
・バッテリー容量:2400mAh (動画再生最大11時間、音楽再生最大65時間)
・・カメラ:13メガピクセル、F2.0レンズ(背面)、2.1メガピクセル(前面)
・ワイヤレス:Wi-Fi (802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 3.0、NFC等に対応
・通信:UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850, 900, 1700/2100, 1900, 2100 MHz)
Quad-band GSM/EDGE(850, 900, 1800, 1900 MHz)
LTE(1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 17, 20)
キャリアアグリケーション対応
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