MVNO認知度・利用率は着実に上昇も、利用端末の不満改善に課題――格安SIMカードに関する調査

2014年12月26日 16時00分更新


 株式会社インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、NTTコム リサーチと共同で、MVNO(仮想移動体通信事業者)の格安SIMカードに関する調査を実施し、その結果を発表した。インプレス総合研究所は2014年6月にも同テーマでの調査を実施しており、この半年の変化を中心に発表されている。

 調査はNTTコム リサーチの保有する消費者モニターを対象にウェブアンケートの方式で実施され、調査期間は2014年12月8日から12月10日までの3日間。有効回答数は1,112サンプルを得ている。

 まず格安SIMの認知度についてだが、「よく知っている/人に説明できる」が8.1%、「だいたい知っている」が23.2%で両者を合わせた認知度は31.3%となっており、2014年6月からは3.9ポイント増加している。また「現在利用している」との回答も1.0ポイントの増加しており、格安SIMの認知度、利用率ともにゆっくりとだが確実に増加しているようだ。性年代別に見ると、男性30代~40代での認知度が5割を超えており、利用率も男性30代が12.4%で最も高く、男性40代が10.9%で続いている。

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 次に格安SIMカードの利用者に利用状況を聞いたところ、格安SIMカードを挿して利用している端末は、「スマートフォン(Android)」が64%と高く、以下、「iPhone」、「モバイルWi-Fiルーター」と続いている。また利用している端末の購入は「過去に携帯電話会社との契約で利用していた端末」が38%で最も高く、「SIMフリーの端末を新規に購入」が31%で続く。
 一方、格安SIMカード利用者が普段持ち歩いている端末をみると「スマホ・フィーチャーフォン」の組み合わせが33%で最も高く、通話用とデータ通信用の端末を分けているのが主流なようだ。

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 月額の利用料金を見てみると、49%が「501円~1000円」と回答している。現在ではこの価格帯で月間2GBまで使用できるので、格安SIMの用途としては充分なデータ容量であると思われる。1500円以下の合計の比率は半年で8ポイント増加して70%となり、ユーザーの料金は低下傾向にあるのが分かる。またデータ通信以外の機能やサービスで利用しているものは、SMSと音声通話が25%となっている。

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 格安SIMカードサービスのシェアを見ると「OCN」が36%で最も高く、「IIJmio」が28%、「BIGLOBE」が11%の順で続いている。更に格安SIMカードで事業者を変更したり追加したりした経験かの問に対しては、3割のユーザーは変更や追加経験があると回答している。大手キャリアと違い、事業社を変更するハードルが低い特徴が表れていると思われる。
 格安SIMカードを選ぶ際のポイントでは「料金プラン」が86%で突出して高く、「高速通信のデータ量(1か月)」と「高速通信のデータ量(1日)」が36%で続いており、価格と通信量が主要なポイントとなっているようだ。

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 一方「検討したが利用していない」と回答した人にその理由を聞いたところ、「携帯電話会社との契約が残っている」が36%、「利用できる端末を新たに入手する必要があった」が35%で並んで高いことから、半年前と比較すると漠然とした要因ではなく、より現実的な要因が上位にランクインしていると指摘できるだろう。
 また格安SIMカードの認知者に端末の入手に対する不満を聞いたところ、「対応する端末がわかりづらい」が34%、「SIMフリーで魅力的な端末が少ない」が32%、「SIMフリーで魅力的な端末が高い」が23%となっており、半年前と傾向は変わっていないところから、まだまだMVNO事業社側の努力が必要な部分のようだ。

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 格安SIMカード非利用者に対して興味・関心の有無を聞いたところ、「非常に興味・関心がある」が6.5%、「興味・関心がある」が22.7%となり、格安SIMカードに興味・関心度は合わせた29.3%となっており、2014年6月の調査からは1.2ポイントの微増に留まっている。

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 インプレス総合研究所は総括として、格安SIMカードの認知度はこの半年でみると着実に増加しており、また検討したが利用に至らなかった人の理由もより現実的な理由が上位となっていて、認知者の理解も深まっているといえると述べている。
 一方で料金プランは低価格化傾向にあり、また格安SIMカード利用者のうち事業者を変更・追加したことがあるユーザーが3割いることから、新規ユーザーの獲得に加えて、既存利用者の維持もより重要となり、そのため事業者間の競争も激化してくると予想している。
 他方、利用していないユーザーの興味関心度は29.3%となり、サービスの認知が広がることにより利用率も上がる可能性があるとしつつも、利用する端末についての課題は依然として残っているようだ。

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