国内ネットワーク機器市場、企業ユーザー動向調査結果を発表―IDC Japan調べ

2018年11月5日 15時36分更新


 IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、国内企業ユーザーのネットワークに関する「2018年 企業ネットワーク機器利用動向調査」の調査結果を発表した。同調査は、国内企業795社を対象に、企業ネットワークの利用実態や変化、企業活動におけるネットワークの寄与と課題に関して調査したもの。

 今回の調査から、パブリッククラウドサービスの利用が、企業ネットワークを見直す重要な機会になっていることが明らかになった。パブリッククラウドを利用している企業の68.2%は、導入時に何らかのネットワークの変更を行っていて、インターネット接続環境の見直しだけでなく、クラウド利用と直接的な関係が薄いLANの見直しも3分の1の企業が実施していることが分かった。また、パブリッククラウドの利用においては、ネットワークの速度とゲートウェイ機器の負荷増加が共通する課題になっていることも明らかになった。

 さらに、パブリッククラウドの利用は、企業のインターネットトラフィックの増加にも関係していることがあらためて分かった。1年前と比べてインターネットラフィックが増加している企業の割合は、パブリッククラウドを利用していない企業では37.2%に留まっているのに対して、SaaS(Software as a Service)利用企業ではその割合は74.1%にまで達している。また、インターネット接続環境の見直しに関する取り組みでは、追加コストの少ないゲートウェイの設定見直しを行う企業が最も多く、30%弱の企業がルーター、ファイアウォールのリプレイスをしていることも分かった。一方で、新しい対策と言えるIPv4 over IPv6は、調査時点では8%程度に留まっている。

 また、企業ネットワークにおいて、無線LANの存在感が高まっていることも明らかになった。新規に無線LANを導入する企業は頭打ちになりつつあるものの、1年前からアクセスポイントを増やした企業は40%近く存在している。家庭での無線LAN利用経験が増す中で、従業員からのボトムアップによる導入の要望も、無線LAN環境整備の推進力になっている。今後も利用拡大は続く見通しで、3年後には平均で45.4%の従業員が無線LANを利用しているという結果も出ている。

 企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを進める中で、経営層の自社ネットワークに対する要求はいっそう厳しくなり、企業ネットワークには変革が強く求められているとIDCでは考えている。一方で、同調査ではネットワーク管理者の60.1%は、現状で経営者や事業部門の要求に応えられていると考えていることも明らかになった。「企業のネットワーク管理者は、現状に満足することなく、経営層や事業部門の要求に対して敏感であるべきである。ネットワークの運用効率化や迅速性向上を図り、DX実現に向けた経営層や事業部門の要求に十分に備えておく必要がある」とIDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野 賢一は述べている。

IDC
n = 431
Note: 複数回答。インターネット環境の見直しを実施したまたは実施予定がある回答者が対象
Source: IDC Japan, 11/2018
 
 
 
 
 
 
 

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