ドコモ2018年度上期決算は増収増益、「2~4割値下げする」料金プラン見直しを発表

2018年11月1日 15時21分更新

 NTTドコモは、2018年度上期(4~9月)決算を発表した。営業収益は前年同期比4.1%増の2兆3895億円、営業利益は同9.0%増の6105億円となり増収増益を達成した。また、株主に帰属する四半期利益は同3.8%増の4071億円となった。
 
 セグメント別に見てみると、通信事業とスマートライフ領域のいずれも増収増益であった。
 通信事業は「docomo with」の対象端末拡大や新料金プラン「ベーシックパック・ベーシックシェアパック」の導入、ドコモ光契約数の増加や販売関連収支の改善により、営業利益は前年同期比7.2%増の5245億円となった。スマートライフ領域は、金融・決済サービスなどの拡大により、営業利益は同21.9%増の860億円となった。
 通年の業績予想は、営業収益を従来予想の4兆7900億円から4兆8600億円へと引き上げた。なお、営業利益は微増の9900億円と従来予想を据え置いた。
 
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 決算説明の後には、2017年4月に発表した中期経営戦略「beyond宣言」について、いくつかの数値目標が明らかにされた。基本方針として、「会員を軸とした事業運営への変革」と「5Gの導入とビジネス創出」の2つを掲げ、2021年度に金融・決済取扱高を現在の約3.2兆円から6兆円に拡大させるほか、決済・ポイントの利用場所も現在の約90万カ所から200万カ所に広げるとした。5Gについては、インフラ構築などに2019~2023年度で1兆円を投じる方針だ。なお、5G商用サービスの開始に伴い、3Gサービスを2020年代の半ばに終了する方針であることも明らかにした。
 さらに、「シンプルで分かりやすい料金プランへと大胆な見直しを行う」(吉澤社長)として、2019年度第1四半期に、2~4割程度安い新料金プランの提供を開始する方針を明らかにした。同社の独自調査では、約48%のドコモユーザーが「料金プランが複雑でわかりにくい」と回答しているという。吉澤社長は、「お客様の声を真摯に受け止め、真にお客様に選ばれ続けるドコモになるために見直しを行う」と語った。
 プランの詳細については、来年春に発表される予定だが、端末代金と通信料金を切り離す「分離プラン」の拡充を軸に検討するとのこと。新料金プラン実施による1年あたりのユーザー還元額の総額は4000億円程度になるという。
 
 携帯電話の料金については、菅義偉官房長官が「4割程度下げる余地がある」と繰り返し述べるなど、世論の逆風が高まっていた。そのような中で、今回ドコモが新料金プランの実施を発表したことに、記者からは、菅長官の発言との関係について問う声もあった。
 しかし、吉澤社長は、新料金プランの実施はあくまで「料金のマーケットリーダーにコミットするために自主的に行うもの」であり、また「19年度下期から新規事業者(楽天)が参入する。競争力と顧客基盤を強化できるのがこのタイミングだった」と語り、今後の市場環境の変化を見越した戦略上の理由であることを強調した。
 
 大幅な値下げは業績への打撃も大きく、来期は5期ぶりに営業減益に転じ、18年度の営業利益水準に回復するには5年かかるとのこと。吉澤社長は、今後の展開について、金融・決済といったスマートライフ領域や法人ビジネス、5Gの成長に向けて舵を切り、2023年度には営業利益9900億円に回復させるという見通しを示した。
 
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