KDDI増収増益、端末販売数落ちるも「終わってみると好決算」―KDDI 2017年3月期決算

2017年5月19日 13時07分更新

 KDDIは、2017年3月期決算を発表した。2016年度通期の連結売上高は前年同期比6.3%増の4兆7482億5900万円。営業利益は前年同期比でプラス9.7%となる9129億7600万円で増収増益。1株当たりの配当金は期初見通しに対して5円増配して同21.4%増の85円を予定。15期連続の増配となる。

KDDI

 EBITDAは同3208億4400万円増の1兆5242億2070万円、設備投資額は2224億5400万円だった。モバイル通信料収入は通年で1.8%と向上しつつも鈍化傾向は変わらず。au契約のほかUQ mobile、J:COM MOBILE、BIGLOBEも加えたモバイルID数は2602万契約と今期は増加トレンドに。ただしその内訳ではMVNOが87万4000契約と顕著な伸びを見せており、登壇したKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏は「MVNOへの流出が顕著でauのユニークユーザー数と端末の総販売数は落ちてきている」と語った。

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 モバイル通信量収入は308億円(前年比1.8%)増だが、内訳として、減少を続けているau契約者数推移がありながら、特に「UQ mobile」「J:COM MOBILE」「BIGLOBE」の3つのMVNO事業の拡大が増収を牽引している」とコメントした。au契約者数の減少には、総務省の指導によるキャッシュバックの禁止の影響によって、ユーザーは通信会社を乗り換えるメリットが少なくなり、この結果、同じキャリアにとどまるユーザーが増え、新規ユーザーが獲得しにくくなったという。

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 今後KDDIの方針としては、au契約者数の数字だけを追う「純増」主義から離れ、MVNO事業も含めた状況を成長指標に組み入れていくとのこと。

 「モバイルID数」というものがその指標で、KDDIのネットワークを利用するMVNO利用者数も増えているため、KDDIでは今後、au契約者数とMVNO契約者数の合算である「モバイルID数」の拡大に努めていくとし、目標としてはUQmobileにてMVNO市場で30%のシェア獲得を目指していくと、田中氏は述べた。

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 販売コストの低下が増益要因になっていることから、ユーザー還元策は2017年度も拡大していく方針を示す。ユーザー還元施策の中心は「au STAR」などの取り組みになるとし、料金プランの値下げは、「考えないといけないが、現時点での回答は控える」とした。

 なお、2017年度は500億円の戦略的投資があるとし、このうち250億円は「au STAR」などのリテンション施策に投資し、150億円を店舗改装などを含めたライフデザイン事業での改革に、100億円をauショッピングモールをリニューアルしたサービス「Wowma!」などの販売拡大に投資するとしている。

 今後は通信サービスだけに留まらず、EC事業、エネルギー、生保損保、住宅ローン、IoTなど幅広い分野で、「ライフデザイン戦略」を推し進めていく方針だ。

 EC事業として「au WALLETカードの出荷は順調に伸びており、黒字になっている。Wowma!とセットでやっていく」とこの2サービスをライフデザイン事業の柱にしていくという。なお、2016年末にKDDIが買収したBIGLOBEの利用者にもライフデザイン商材を売り、全体の売上増を確保していくといった考えも明らかにした。

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 設備投資は2017年度で5300億円を予想しており、これは700MHz帯や3.5GHz帯への投資などが中心になる見込み。5Gへの設備投資は、2019年から本格化させるとしている。

 4月26日に発表された、月20/30GBのデータ定額でテザリングを利用する際に必要なオプション料金(税抜月1000円)が2018年3月末まで無料とするキャンペーンの延長に関して田中氏は「テザリング料金に関してはあまり深く考えていなかった」とコメント。2018年3月末のキャンペーン終了時の対応もその時点で改めて検討すると語った。

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減少が続くauユニークユーザー数に関しては、IoTを含めたマルチデバイス化やIoTビジネスで補う考えを示した。

 
 
 
 
 
 
  

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