来る5G社会に向けたKDDIの取り組みとは【通信放送Week 2019】

2019年8月6日 16時59分更新

 5Gや光通信などの通信技術、4K・8Kなどの映像技術など、通信から放送までを網羅した展示会「通信放送Week 2019」が、7月17日から19日までの間、東京ビッグサイトの青海展示棟で開催された。
 
 展示会場では、全50講演の専門セミナーが毎日開催され、初日にはKDDI株式会社の執行役員常務 技術統括本部 技術企画本部長・赤木篤志氏が基調講演に登壇し、「来る5G社会に向けたKDDIの取組み」と題して講演を行った。
 KDDIは、総務省の5G総合実証試験等を通じて、来る5G社会の実現に向けて、様々な異業種パートナーと連携して地域課題の解決と地方創生につながる取り組みを推進している。同講演では、5Gが実現する社会に向けた同社の取り組みが紹介された。
 
 講演冒頭、赤木氏は「酒造りとICTの共存」として、福島県の酒造と実施した実証実験を紹介した。酒造りは杜氏の暗黙知に基づく職人的判断が必要になる業務だが、現在、杜氏が高齢化し、後継者の確保・育成が急務になっているという。そこで、5Gを活用したもろみの遠隔監視を実現し、杜氏が自宅から後継者の業務支援を行い、撮影画像を蓄積・形式知化していくことで、酒造りの後継者伝承を目指すという。
 
 この事例に限らず、5Gは日本が抱える様々な社会課題の解決手段として活用できると考えられている。そこで赤木氏は、5Gが実現する社会に向けて、KDDIが今後どのような取り組みを行っていくのか、その方向性について説明を行った。
 
 赤木氏が1つ目に挙げたのは、社会全体の課題である「人口減少・高齢化への対応」である。KDDIは昨年、NECと共同で建機の遠隔操作の実証実験を実施した。その中で、2台の建機を1人のオペレーターが音声制御で操作することに成功したという。
 その他にも、工場の製造ラインにおいて、制御用有線回線の代わりに5Gを利用してロボットとセンサーを無線接続することにより、レイアウト変更を柔軟化し、工場の稼働率が上がったという事例を紹介した。
  
 続いて、赤木氏が2つ目に挙げたのは、個人に対する課題としての「豊かさの追求」である。たとえば、スマホのデータ容量上限なしの料金プランもそれに該当するとして、5Gを活用した料金プランが実現されることで、新たな体験価値を生み出し、より豊かな社会の創出を目指すという。
 そして、具体的にKDDIが提供を検討しているサービスとして、搭乗ゲートのタッチレス化や機体整備の遠隔支援といった空港サービス、自由視点映像のリアルタイム配信を使ったスタジアムでの新たなスポーツ観戦、ドローンからのリアルタイム4K空撮映像伝送によるバーチャル旅行の3つを挙げた。
 
 最後に赤木氏は、「日本は5Gで遅れをとっている」と言われていることについて、確かに米国や韓国と比べて「スタートのタイミングが遅れた印象がある」(赤木氏)としながらも、問題はスタートのタイミングではないと説明。「日本は光ファイバーの普及率が高い。したがって、大容量低遅延多接続という機能のためには、バックホールが非常に重要な要素となる。このファイバーの普及率が高いといったところから、デプロイを考えると決して遅いわけではない。そして、オペレーター同士のシェアリングモデルを積極的に進めることによって、地方創生を含めて、いち早く進めていくことができると考えている」(赤木氏)と語った。
 
 
 

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