【ワイヤレスジャパン2014】 東芝 FlashAir™/Transfer Jet™

2014年6月1日 16時00分更新


 株式会社東芝は、2014年ワイヤレスジャパン展示会において、 FlashAir™ および、 Transfer Jet™ の発表を行った。

FlashAir

 FlashAirとは、ケーブルなしで画像の転送ができる通信機能付SDメモリカードである。これを搭載したデジタルカメラやスマートフォンでは、SDメモリカードを取り出さなくても、PC/タブレットやほかのスマートフォンに画像を転送できる。容量は8GB、16GB、32GBの3種類がある。SDHCメモリカード規格に準拠しているため、通常のSDメモリカードに置き換えて使用することができる。

 デジタルカメラで撮影した写真など、メモリカードに入っているデータを、スマートフォンやPCにワイヤレスで転送できる、「ワイヤレスデータ転送」機能を搭載している。専用のアプリを使用するか、スマートフォンやPCの汎用のブラウザでもファイルにアクセスできるようになっている。画像ファイルのみならず、様々な形式のファイルに対応している。

 無線設定は、FlashAirとスマートフォンやPCを簡単に無線LANにて接続できるほか、1枚のFlashAirに複数台のスマートフォンやPCから接続ができる。また省エネの工夫もされており、必要なときだけ通信することにより、機器のバッテリー消費を抑えることができる。日本国内はもちろん、海外での利用についても、米国、カナダ、EU(欧州連合)などの世界49ヶ国(2013年9月現在)の無線認証を取得しており、旅先でもワイヤレスでデータ転送が可能である。

Transfer Jet(近接無線転送技術)

 USB/MicroUSBアダプタを差し込み、アプリ(PCの場合はソフトウェア)をダウンロードして設定する必要がある。
機器同士を直接かざすだけで通信を行う、直感的なインターフェースであるため、接続設定やアクセスポイントが不要である。また、ホストとターゲットの関係がないので、携帯電話―PC間の通信、携帯電話―携帯電話間の通信の、どちらにも対応している。

 また通信距離が数cmと短く、データ漏洩の可能性が低いため、セキュリティ設定も不要だ。あらかじめ登録した機器とのみ接続するように設定することもできるため、他人にデータを取られる可能性は比較的低い。もちろん設定を解除して、普段と違う機器とデータをやり取りすることも可能である。

 物理層の転送レートは560Mbps、最大実効レートで375Mbpsであるため、1時間のTV番組(MPEG4 170MB)を数秒で転送できる。通信状況に応じて最適な転送レートを選択する機能を有しており、通信状態が悪い場合には自動的に転送レートを落としながら通信を維持できる仕組みになっている。たとえば、3MBの写真30枚、もしくは100MBのビデオクリップなら、2~3秒で転送が完了する。微弱出力による近接専用の無線システムであるため、ほかの無線システムに干渉を与えることがほとんどなく、多数のユーザーが同時に使用しても性能が低下することはない。

 さて、Transfer Jetと、 Wireless LAN など通常の無線技術は、以下の事由から特徴に応じて使い分ける必要があるといえる。

 まず、Transfer Jetは、通信距離が短いため電波干渉の心配が少なく、帯域を占有した高速通信が可能である。1対1通信に限定されているが、SSIDやパスコード無しで利用可能である。接続に要する時間は0.1~1秒程度であり、また接続している機器同士が見え利用者に安心感を与える、といった諸特徴により、公共の場で、瞬時に情報やコンテンツを送受信するのに向いている。例えば、通勤時にデジタルサイネージ(電子看板)に端末をタッチして、ニュース情報を読み取り、そのまま電車に乗って読むということも可能になる。
 
 また一方で、Wireless LANなどの通常の無線技術は、通信距離が長く、帯域共有による複数台同時通信が可能だが、通信台数の増加に伴い実行速度は低下する。また、電波干渉による速度低下が生じることがあり、接続に要する時間は数秒から十数秒程度と、TransferJetと比較すると長めであることから、職場や家庭でのネットアクセスに向いているといえよう。

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