【ワイヤレスジャパン2014】iBeaconによるO2Oビジネスの最先端
2014年6月1日 10時20分更新
今回の展示会では、「Beacon/iBeacon」などを利用したO2Oモジュールを各社が出展していた。ユーザーがスマートフォンなどにあらかじめ指定されたアプリをダウンロードしておくと、店舗の付近に立ち寄ったときにクーポン等の情報を自動で配信するシステムである。
スマートデバイスと周辺機器の通信において広く利用されているBluetoothの規格に2013年に追加された、BLE(Bluetooth Low Energy)を情報伝達に採用している「iBeacon」が、新たなサービス構築のインフラとしてモバイルマーケティング市場での注目を集めている。
iBeaconとは、米Apple社による技術で、センサー端末からBluetoothにて直接モバイル端末に情報を届けることができる技術のこと。iPhoneのiOS7から標準搭載されているほか、Android4.3以降からも利用可能である。従来はNFCがその役目を担っていたが、iPhoneが対応していないためNFCによるO2Oビジネスは伸び悩んでいた。今回の各社のiBeaconを利用したシステムが、O2Oの活性化の端緒となることを期待する。
店側から近距離にいる顧客(予備軍)に対し、おすすめ商品や店の地図を配信したり、店内の顧客にクーポンを配信したりといった活用の仕方が考えられている。システムを利用するには、ユーザ側は、iPhoneにあらかじめiBeaconアプリをダウンロードし、かつBluetoothをONにしていなければならない。
O2O Beaconモジュール
SMAPON(株式会社ワンゴジュウゴ/アルボス株式会社)
イメージとしては、例えばショッピングエリアの場合、1、入口で近くにいるユーザへの来店促進、2、対象商品前でクーポンを発行するなどして購買促進、3、出口でリピート要因(セール、キャンペーン情報など)の配信、などという利用の仕方が考えられる。これらによりユーザ(顧客)の行動履歴を把握し、サービス改善の参考にしたり、顧客に戦略的にアプローチするためのマーケティングデータとして活用できる。顧客の導線や滞在時間などを把握することによって、新たな集客策や効果的なプロモーション施策を打つことが可能になる。管理画面では、誰でも簡単に情報の書き換えが行え、リアルタイムに変更することができる。また、事前に情報を登録しておいてタイマーで更新することも可能であるし、データの集計も可能である。
将来的には、家の鍵や車の鍵などを、全てスマートフォンで管理できるようにしたり、財布やスーツケースなどの貴重品類などの紛失対策アプリとしても使用できるようにする予定だという。
Smart Push(株式会社ビーマップ)
特許出願済。スマートフォン向けO2Oプッシュ配信ソリューション
スマートフォンの接近を検知し、情報をプッシュ配信するサービス。主にWi-Fiの電波を活用することで、アプリケーションを起動することなく、屋内外を問わない狭小エリアでのジオフェンシングを実現している。Wi-Fi電波の入っているところなら、SSIDやパスワード等がわからなくても、通信が可能である。
仕組みとしては、スマートフォンの接近をWi-Fiセンサーが検知する方式を採用しており、スマートフォンがセンサーに接近するだけでメッセージが届くようになっている。アプリケーションの起動や操作は不要であり、また従来iPhoneでは実現が難しかった、Wi-Fiを活用したO2Oを提供することができている。
さらに、Wi-Fiスポットと組み合わせてより効果的なO2Oを実現し、CRMとの連携できめ細かなエリアターゲティングが可能に。また、BLE Beaconと組み合わせると、超極小マーケティング及び導線分析が可能である。
システムのイメージとしては、スマートフォンの電源が入っている状態(アプリケーションを起動しない)で、無線LANの設定がONにしておくと、Wi-Fi検知器がデバイスの接近を感知して、提携ネットワークよりメッセージを送信する。届いたメッセージをタップすると、店舗等からの情報が表示されるということだ。店舗等の販促に大いに活用できそうなシステムである。
また、顧客が来店した場合、来店頻度や滞在時間を把握することができる。例えば、何も買わずに帰ってしまった顧客に再度アプローチすることもできる。
Beaconモジュール
BLEAD™(株式会社芳和システムデザイン)
位置情報や近接通知などの単機能から、来店ポイントサービスや電子決済まで行える、BLEAD™はiOS 7以降およびAndroid 4.3以降で利用できる。電波の到達距離は約70m、到達距離約100m(出力は段階的に変更可能)に対応、直径5cm、重量50gと小型軽量。コイン型電池CR2450を使用して約1年バッテリ交換なしで動作するため、商業施設や交通機関などさまざまな用途に使用できる。また、Beaconモジュールが正規のものか認証するセキュリティサービスの提供も開始している。内蔵するBluetoothチップにはホシデン株式会社製 Bluetooth Low Energy Module HRM1017(技適取得済)を使用している。
BLEAD™-C(同社)
幼児/児童用製品。児童に持たせたBLEAD-Cが半径50~100mの範囲から離れると、スマートフォンのアラームがなり、圏内の児童の人数や、設定した順番(エリアから遠い順等)に名前を並べ替えて表示することなどができる。アプリケーションは無料で提供するため、BLEAD-Cを購入するだけで使用できる。
Beaconマネジメントプラットフォーム
Tangerine(Tangerine株式会社)
Tangerineは、Beaconを利用した屋内外のロケーションサービスを構築・提供することができるクラウドサービス。Tangerineビーコンファームウェアを搭載したビーコン及び、iBeacon準拠のビーコン1など様々なブランドのビーコン製品に対応。各企業のビーコンサービスに最適なビーコンブランド・製品を選択できる。
現在、Tangerineビーコンファームウェアは、以下のNordic Semiconductor社製のnRF51822 Bluetooth® Low Energy SoCを利用したビーコンにフル対応している。
– Braveridge Beacon BVMCN1001CR (Braveridge社製)
– RapiNAVI Air(丸紅情報システムズ社製)
– ホシデンビーコン HRM5011(ホシデン社製)
パートナーメーカ対応のBluetooth Low Energy ベースのビーコンプロダクトである。Tangerine BLEアプリ(ファーム)提供可能、iBeaconと互換性あり。
Tangerine SDKを搭載したスマホアプリ
ビーコン連動機能を簡単にスマートフォンのアプリに取り込むことができるSDKの提供により、新規アプリのみならず既存アプリにも簡単にビーコン機能を取り込むことが可能に(iOS及びAndroidに対応)。また、飲食、小売、イベント、観光などの様々な業種エリアに強いマーケティングソリューションパートナーと連係し、業種に最適化したビーコンO2Oソリューションを共同で構築していく予定である。
ビーコンの監視や管理、ユーザ管理は、Tangerineクラウドサービスによる。ビーコンサービスの運営で最大の課題となるのは、シンプルな運営管理の実施及び運営コストの抑制である。Tangerine では、ビーコン数十台の小規模なネットワークから数万台の大規模ネットワークまで対応し、直感的なUI画面で誰でも簡単にロケーション毎に設置したビーコンを、遠隔で一元監視・管理することが可能である。また、モニタリングや設定変更など、出来る限り人手を省くことにより運営コストの削減を実現できる。Beacon Script でクーポンや広告表示などを簡単に設定可能であり、また分析レポートも作成できる。
Beacon Action管理機能により、ビーコントリガーによる広告・クーポン、商品情報表示サービスを簡単に実現・管理が可能。近接距離、頻度など、自由にビーコントリガーを設定する事が可能である。また多言語によるコンテンツ提供にも対応している。
ビーコンの利用状況や広告・クーポンのエンドユーザーの反応状況など、ビーコンのログデータはすべてクラウドで蓄積され、分析レポートを提供。また、ビーコン経由でクラウドに蓄積されるエンドユーザーの滞留時間や回遊ルートのデータを測定することで、強力なマーケティング分析機能を提供する。更に、O2Oソリューションを提供するパートナー企業との連係により、様々なビーコントリガーのプロモーションも実施可能に。
Beaconシステム(Braveridge社製)
BVMCN1001CRHほか(加賀デバイス株式会社)
正確には、以下の3種の製品が登場している。
BVMCN1001CRH CR2032電池型Beacon
BVMCN1101AA アルカリ電池型Beacon
BVMCN1201AC ACアダプタ型Beacon
スマートフォンを使ったBeaconシステム構築のために、ボタン電池ホルダを実装したビーコンシステムを提案。Nordic Semiconductor社のSoC (nRF51822) を使った独自開発のBLEモジュール (BVMCN5102) を使用している。Device Firmware Updateに標準対応(iOS/Android) Bluetooth®認証・電波法・FCC・CE (EN 300 328) を取得しているため、無線認証の必要がない。
試作評価版(指定UUID/Major/Minor値/TxPower/Connection Interval値/32.768kHz (IRC/EXT設定))が準備されており、直ぐに評価が可能である。※未指定の場合は、評価用デフォルト設定値で出荷される。
サイズ PCB: 25.0mm×26.5mm×8.5mm、適合規格はBT認証。
無線規格:日本・FCC・CE
Beaconワイヤレスデバイス
RapiNAVI Air(丸紅情報システムズ株式会社、MSYS)
RapiNAVI Air(ラピナビ エアー)はスマートフォンやタブレットにBLE(Bluetooth Low Energy)通信を行う、小型のワイヤレスデバイスである。Bluetooth® Low Energy とは、Bluetooth®の拡張仕様のひとつで、極低電力で通信が可能なもの。自社が国内代理店であるNordic Semiconductor ASA社製チップを採用し、AppleのMFi (Made for iPod/iPhone/iPad) 認定を2014年4月に取得済みである。電池駆動による簡単設置、およびACアダプタによる常設運用のどちらにも対応可能である。
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