ソフトバンクロボティクスとマイクロソフトは、クラウドロボティクス分野において戦略的協業をすることを発表した。またその第一弾として、人型ロボット「Pepper」とクラウド基盤「Microsoft Azure」を連携させた小売店舗向けソリューション「未来の商品棚(仮称)」を共同で構築することも合わせて発表された。
今回発表された「未来の商品棚(仮称)」はPepperを販売員として活用し、あらかじめ接客スキルを備えた接客要員として店舗に配置可能なソリューションとなっている。Pepperは顔認識により来店客の性別、年齢だけでなく、来店回数なども含めて分析し、一人ひとりのニーズに合わせた最適な商品提案ができるようになっているだけでなく、インバウンド向けに自動翻訳機能も備えるとしている。
またPepperだけでなくマイクロソフトの2in1タブレットである「Surface」や、大型タブレット端末「Surface Hub」も活用。Pepperが提案する商品が画面上に表示され、来店客はそれを操作することで商品のデータを見たり、購入することができる。
PepperやSurfaceはクラウドプラットフォームであるAzureに接続されており、接客を通じて得た顧客行動やPOS売上といったデータはAzure上の「Azure IoT Suite」で解析され、スマートフォンやEコマースのデータとも合わせることで、オムニチャネルで顧客のニーズをリアルタイムで把握でき、商品の仕入れや事業計画の立案に役立てられるとしている。
またAzureはこうしたデータ解析だけでなくPepperとも深く連携しており、自動翻訳機能には「Microsoft Translator」が利用されている他、「Azure Machine Learning」によって接客データを蓄積し機械学習機能させていくことで、Pepperの接客もより改善されていく仕組みとなっている。更にPepperはマイクロソフトのパーソナルアシスタント「Cortana」との連携も検討しているという。
8日に都内にて開催された記者会見ではソフトバンクロボティクス 代表取締役社長の冨澤文秀氏と日本マイクロソフト 代表執行役社長の平野拓也氏が登壇。富澤氏は今回の「未来の商品棚」について、人材不足や環境変化といった小売店の課題をこのソリューション1つで解決でき、売上アップや顧客体験の向上に寄与できると述べた。
平野氏はマイクロソフトとソフトバンクの長い関係性があったからこそ実現でき、この規模でロボットとクラウドを合わせた小売業での試みは世界初であると紹介。また小売業のワークスタイルの革新を果たせるものだと期待を寄せる。
2016年秋を目処に提供予定だが、具体的な料金やサービス内容は未定。ただしソフトバンクが3月24日から30日の期間で実施する「Pepperだらけの携帯ショップ」にて今回のソリューションの実証実験を行うとしている。