デジタルトランスフォーメーションをパートナーと共に実現する―NTTコミュニケーションズ・庄司社長
2017年10月10日 16時07分更新
NTTコミュニケーションズは10月5日と6日の2日間、「NTT Comunications Forum 2017」を開催した。基調講演に登壇した同社代表取締役社長の庄司 哲也氏は、SDx+Mソリューションをはじめ、AI、IoTなどの最新ソリューションや取り組み事例を紹介し、デジタルトランスフォーメーションのさらなる推進をアピールした。
庄司氏は、今年のイベントテーマを「お客様が実現するデジタルトランスフォーメーションにどのようにお役に立てるか」として、デジタルトランスフォーメーションに対する同社の考え方を語り始めた。
企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する同社のサービス戦略「Transform.Transcend. Service Strategy 2017」では、2017年度の重点的な取り組みとして「高品質・高信頼なインフラストラクチャーの追求」「先進的な技術を用いた柔軟・迅速なサービスの開発・提供」「パートナリングの推進」の3つを掲げる。
1つ目の「高品質・高信頼なインフラストラクチャーの追求」は、ビジネス基盤となるインフラストラクチャーの品質や信頼性の重要性が増しているとして、海底ケーブル・ネットワーク・データセンターまで一元的に構築・提供し、品質や信頼性・強靭性を徹底的に追求するとアピール。最新のデータセンター例として、2017年に北米テキサスのダラス、ドイツのミュンヘンとライン・ルール、2018年には北米バージニアのアッシュバーン、インドのムンバイのオープンを予定している。
2つ目の「先進的な技術を用いた柔軟・迅速なサービスの開発」は、ソフトウエアで仮想化技術を拡張するSDx(Software Defined Everything)と、マネージドサービスを組み合わせた「SDx+M」を紹介。従来から提供しているクラウドサービスに加え、WAN・LANといったそれぞれの領域でラインナップを拡充し、一元的なシステム運用を可能にする全方位からのサポート体制を提供していく。
また、「Virtustream」の技術を活用したSAPシステム向けのメニュー開発・提供や、欧米で普及が進む運用ツール「servicenow」を活用したマネージドソリューションの提供を紹介。さらに、AI分野の取り組みとして、自然言語系AI「COTOHA」と分析系AI「時系列ディープラーニング」、IoT分野の取り組みとして、工場や自動車、ヘルスケア、生産などの業種のソリューションを拡充するとともに、スマートグラス、ビーコンなどのデバイスとの連携といった先進サービスの取り組みも紹介された。
3つ目の「パートナリングの推進」は、NTTコミュニケーションズの強みとパートナーの強みを組み合わせることで新たなビジネスモデルの創出を目指すとして、パナソニックシステムソリューションズジャパンとともに構築した「防犯・防災対策に最適な4K映像セキュリティソリューション」を紹介した。通常時は、VPN回線で低画質映像によって監視し、重要事案発生時はカメラの画質を4K映像に切り替えて重点監視する。4K映像通信を優先させ、その他のカメラ映像の通信をSD-WAN機能によって一時的にインターネット回線へ迂回させることで、VPN回線の帯域を増やさずに高画質映像の監視を実現するという。
また、横河ソリューションサービスと共同で取り組む「プラント制御高度化ソリューション」では、横河グループのIoTとNTTコミュニケーションズのAIを組み合わせることで、多品種少量生産への転換を支援する製造業向けのソリューションを創出。プラント制御を高度化し、柔軟かつ安定的な生産を可能とするための実証実験を開始する。
こうしたデジタルトランスフォーメーションを実現するため、NTTコミュニケーションズでは10月に、AIソリューションの取り組みを強化するための「AI推進室」、BtoBtoX型のビジネスを推進するための「ビジネスイノベーション推進室」を発足させたという。庄司氏は、最後に、「自身の強みを伸ばし、パートナーの優れた技術と組み合わせ、革新的なサービスを提供することで、顧客や社会の役に立ちたい」と語り、基調講演を締めくくった。