経産省、「IoT活用おもてなし実証事業」10月からスタート、訪日外国人の旅行者数・消費額の増大目指す

2016年9月29日 11時08分更新


 経済産業省は、訪日外国人旅行者に対して、様々な事業者や地域の連携により、高度で先進的なサービス、決済等を提供できる仕組み「おもてなしプラットフォーム」の構築に向けて、10月より実証(「IoT活用おもてなし実証事業」)を開始することを発表した。
 
 「明日の日本を支える観光ビジョン」では、従来の政府目標を大幅に前倒しして、訪日外国人旅行者数を2020年に4,000万人、2030年に6,000万人とし、訪日外国人旅行消費額を2020年に8兆円、2030年に15兆円としている。経済産業省では、この新たな目標の達成に向けて、ITを活用し、サービス事業者同士が連携して質の高いサービスを提供できる仕組み「おもてなしプラットフォーム」の構築に向けて、10月より実証を開始し、2020年の社会実装を目指していく。
 
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 具体的には、訪日外国人旅行者が、買い物や飲食、宿泊、レジャー等の各種サービスを受ける際に求められる情報や、スマートフォンアプリに登録する情報等について、本人の同意の下、当該情報を「おもてなしプラットフォーム」に共有・連携することで、「おもてなしプラットフォーム」を介して、様々な事業者や地域が情報を活用した高度で先進的なサービスを提供できる仕組みを実証する。
 
 これにより、例えば、訪日外国人旅行者が、一度登録した情報については、「おもてなしプラットフォーム」に参加する様々な事業者や地域のスマートフォンアプリの活用やサービスを受ける際に、同じ情報を登録することが不要になるほか、予め使用言語を登録しておけば、使用言語による接客やサービス、給仕などを様々な事業者や地域で受けられたり、宿泊先や自宅の住所を登録しておけば、毎回送り先の記載手続き等を経ることなく、簡便に荷物の配送サービスを受けることが可能になるという。
 
 また、サービス事業者等にとっても、1事業者や1地域では収集困難な、多くの訪日外国人旅行者の趣味・嗜好や行動履歴、購買履歴等の情報を収集・解析することで、新たなサービス開発やマーケティングへの活用が可能になる。

 「おもてなしプラットフォーム」の実証実験は、2020年までの社会実装を目指し、まずは関東・関西・九州の3地域で行われる。
 
 
<関東実証(湯河原・箱根・鎌倉)>
JTBコーポレートセールスを中心に、箱根・湯河原・鎌倉等で、生体(指紋)認証を使って、手ぶらでの決済、ホテル・旅館のチェックイン、各種体験プログラムへの参加など新しいサービス提供の実証を行う。
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<関西実証(大阪)>
パナソニックグループを中心に、大阪の商業施設等で、ユーザーのスマートフォン等で利用登録が可能な生体(手のひら)認証を用いた決済、LED光源を利用したスマートフォン等への情報提供などの実証を行う。
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<九州実証(福岡)>
ジェイティービーを中心に、福岡で、プレミアム付カード型商品券を発行するとともに、既存の訪日外国人向けスマートフォンアプリと連携をすることで収集される業種横断的な情報を活用した実証を行う。
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 上記3地域での実証のほか、デロイトトーマツコンサルティング、大日本印刷を中心に、様々な事業者や地域の連携を可能にする「おもてなしプラットフォーム」の構築に取り組んでいく。
 
 経済産業省では、今後、2020年までの社会実装に向けて、上記事業者・地域以外の様々な事業者・地域との連携にも取り組んでいくとしている。
 
 
 

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