KDDIがシダックス・ポニーキャニオンと連携、「自由視点VR」技術採用の実証事業開始
2016年10月13日 13時02分更新
KDDIとKDDI総合研究所は、2016年10月19日から2016年11月18日まで、カラオケ店でのVR事業の展開を目指し、シダックスおよびポニーキャニオンと連携した実証事業を開始する。
本実証事業は、レストランカラオケ・シダックス新宿歌舞伎町クラブ店舗内においてVR対応の専用ルームを設置し、希望者が室内でVR機器を装着し、アーティストのライブや握手会などの交流イベントをその場にいるかのように体験することができるものである。
カラオケルームの音響、防音設備、複数人数集合可能という特性に着目し、ルームスケールVRを体験可能とするVR機器「HTC Vive」の貸し出しを通じてVRコンテンツ配信を行う試みは、日本初となる。
KDDI総合研究所では、これまで複数の高精細カメラ映像を用いて、高度な映像合成を行うことで、実写映像を基に、スポーツ観戦などでユーザーが自分の見たい位置の映像を見ることができる「自由視点映像」を実現してきた。そして、今回の「自由視点VR」技術は、これまでの「自由視点映像」技術を「HTC Vive」のようなルームスケールVRに応用することにより、実写によるアーティスト映像を基に、ユーザーが移動しながら自由な視点でVR映像を楽しむということを、世界で初めて実現させたものである。
ルームスケールVRでは、ユーザー位置をセンサーによりトラッキングすることで、ユーザーの屋内移動に応じたVR映像表示を可能としている。一方、一般的な「実写のVRコンテンツ」は、VRカメラにより撮影された360度映像であるため、ある時刻に限定した場合、カメラ位置は固定されることになり、「実写のVRコンテンツ」をルームスケールVRに単純適用した場合、ユーザーが居る位置によっては、不自然な映像体験となる。その結果、臨場感を損なったり、いわゆる「VR酔い」の一因となっていた。
この課題を解決するためKDDI総合研究所は、2011年10月に開発した「自由視点映像」技術をVR映像に応用した「自由視点VR」技術を、この度の実証事業に採用。「自由視点VR」技術では、被写体、例えばアーティストライブ映像における人物を抽出し3Dモデル化し、3DCGで制作したバーチャル空間と合成することにより、実写映像とCG映像を組み合わせて映像表現することができるため、アーティストが登場する舞台設定を柔軟にカスタマイズできるとともに、ルームスケールVRでは必須となるユーザー位置に応じた自然な映像再現を可能とすることに成功した。
KDDIは、今後は事前に撮影・制作したVR映像だけではなく、KDDI総合研究所の「高画質VRリアルタイム映像配信」技術を利用したVR映像のリアルタイム配信も予定している。
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