IDC Japanは、AR/VRヘッドセットの2017年第1四半期(2017年1~3月)の国内/世界出荷台数を発表した。
2017年第1四半期の世界AR/VRヘッドセット出荷台数は、ARが前年同期比77.4%増の3.8万台、VRが同69.7%増の224.2万台となった。VR市場では、サムスンのGear VRやグーグルのDaydream Viewなどのスマートフォンをヘッドセットにはめ込む「スクリーンレス」タイプが141万台の出荷を記録したが、これは市場の62.1%に当たり、依然として市場を牽引していると言える。また、PlayStation VRやHTC Viveなどのケーブル型VRヘッドセットも前年同期に比べ、著しい増加を示している。
IDC Mobile Device Trackersのシニアリサーチアナリストを務めるジテシュ・ウブラニ氏は、ヘッドセットは既に十分な選択肢があり、もはやハードウェアは問題ではないとして、より大きな課題は、「多数の視聴者にアピールするようなコンテンツの進化が遅く、クロスプラットフォームのサポート不足に起因する混乱がそれに拍車を掛けていることである」と分析している。
ARは前年同期比77.4%の成長を示し、新たな製品の出荷が始まると同時に、既存の製品もより多くの国々に出荷されるようになってきている。AR/VR及び各種デバイスのプログラムバイスプレジデントであるトム・マイネリ氏は「大多数のARヘッドセットはデベロッパー向けの製品が市場に出荷され始めた段階であり、市場形成と呼ぶにはあまりにも時期尚早である」と述べる一方で、「多くの消費者がスマートフォンやタブレットなど既存のモバイル機器のカメラや画面を通じて、ARを最初に体験するのではないか」と今後の市場動向に対する期待を示した。
2017年第1四半期における日本国内のAR/VRヘッドセット出荷台数は合計で5.3万台となり、うちPlayStation VRが4.2万台だった。また、エンタープライズ用途でのGear VRの利用が目立つサムスンは約6千台を出荷した。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原啓氏は、日本のVRマーケットについて、「スマートフォンに装着するだけで簡易的なVRが体験できるスクリーンレスタイプが市場を牽引する海外と異なる」とする一方で、「日本のVRマーケットを主導しているのはPlayStation VRを擁するソニーであり、エコシステムの完成度の点で際立っているが、同時に手軽さの点で勝るスクリーンレスタイプのヘッドセットによるVR体験の裾野がさらに拡大することが期待される」と述べた。
2017年6月15日