10月の消費増税を機に利用し始めたキャッシュレス決済サービスで最も多いのはPayPay―ICT総研調べ
2019年11月28日 11時59分更新
ICT総研は11月28日、消費増税後のキャッシュレス決済利用状況調査の結果をまとめた。同調査は、インターネットユーザー4,190人へのアンケート調査の結果をまとめて分析したものである。アンケート実施時期は2019年11月8日から11月13日。利用環境の充実が進み普及が進むキャッシュレス決済市場において、消費増税後のユーザーの利用実態を把握することを目的としている。
経済産業省は10月からスタートした消費税の増税に伴い、中小・小規模事業者でのキャッシュレス決済手段を使った支払いに対し、ポイント還元を支援する「キャッシュレス・ポイント還元事業」を実施。11月21日時点で登録加盟店は約77万店、登録申請数は約94万店舗に上るなど、活況を見せている。特にスマホ決済は還元率の高さなどから利用者が急増しており、2020年には「JPQR」と呼ばれるキャッシュレス推進協議会が策定したコード決済の統一規格も登場する予定であるなど、スマホ決済が使える店舗のさらなる普及拡大も進むものと見られる。
今回の調査では、利用環境の充実が進み普及が進むキャッシュレス決済市場において、消費増税後のユーザーの利用実態を把握することを目的とした。
消費増税を機に利用し始めたキャッシュレス決済サービス 最も多いのはPayPay
ICT総研が11月に実施したWebアンケート調査では、4,190人のアンケート対象者のうち、「クレジットカード」、「電子マネー」、「QRコード決済・バーコード決済」などのキャッシュレス決済を普段利用していると回答したのは、全体の85.8% (3,596名)となった。
キャッシュレス決済を利用している人のうち、2019年10月の消費増税を機に利用し始めたサービスは、PayPayが15%で最も多い結果となった。PayPayは、消費増税後の10月1日から、「まちかどPayPay」と呼ばれるキャンペーンを実施。消費税還元事業から5%、PayPayから5%の合計10%を消費者に還元するキャンペーンを実施したほか、積極的なプロモーションが奏功したものと見られる。
楽天グループの楽天ペイが8%と、これに続いた。楽天ペイは、アプリの支払いで最大5%還元するキャンペーンを実施したことなどが貢献したものと見られる。
QRコード決済は、支払金額が高額になるほど、利用率が低くなる
次に、普段買い物をする際の支払い方法を、金額ごとに聞いたところ、1千円未満では現金の利用率が39%と最も高く、金額が上がるにつれて利用率は減少。一方で、クレジットカードは金額が上がるにつれて利用率が増加し、「3千円以上」から、クレジットカードの利用率が現金を逆転する結果となった。
また、QRコード決済・バーコード決済は、1千円未満での利用率が11%なのに対し、1万円以上では6%と、支払い金額が高くなるほど利用率が低くなる傾向を示した。この傾向は、現金と類似している。
QRコード決済の利用率が最も高い利用場所は、スーパー、コンビニエンスストア
普段利用している決済方法を利用用途別に聞いたところ、QRコード決済・バーコード決済の利用比率が最も高かった場所は、スーパー・コンビニエンスストア (21%)であった。一般的にスーパー(平均客単価1,900円)、コンビニエンスストア(平均客単価650円)での支払い金額は小さく、前述の表2のQRコード決済・バーコード決済の利用率の傾向とも一致する。
20代以下の若年層がキャッシュレス決済を利用しない理由は、制度への認知・理解の不足
キャッシュレス決済を普段利用していないとした回答者に、利用しない理由を聞いたところ、10代や20代などの若年層では、「ポイント還元の制度を知らない」、「ポイント還元の仕組みを理解できない」など、認知や理解の不足を理由とする回答が多い傾向となった。
一方で、60代以上は、「スマホを利用してないから」、「カードやアプリへの会員登録が面倒だから」などの理由が上位となっており、年代ごとに傾向の違いが見られた。
政府は来年度、マイナンバーカードを活用した消費活性策として、「マイナポイント」という制度を新たに開始するべく準備を進めている。マイナンバーの取得・マイナポイントの申込みをした上で、QRコード決済などを使って買い物をすることで、ポイント還元という流れになる予定だと言われているが、「制度の認知や理解の促進、手続きの煩雑さなど、現時点でも課題と見られている点をどのように解消していくか、引き続き注目していきたい」としている。