2014年度は減収減益、中期目標では「競争」から「協創」への転換を目指す――NTTドコモ決算発表

2015年4月30日 12時50分更新


 4月28日、NTTドコモは2014年度通期決算を発表した。

DN20140430001_003 DN20140430001_002

 2014年度の営業収益は前年同期比1.7%減の4兆3833億9700万円、営業利益は同22.0%減の6390億7100万円と大幅な減益となっている。原因としては新料金プランの導入によるAPRUの減少や、月々サポートによる端末割引の負担影響が挙げられた。
 セグメント別にみてみるとスマートライフ事業の営業収益がマイナスとなっているが、これはNOTTVを運営するmmbiの資産について302億円の減損処理を行ったためとしている。

DN20140430001_004

 オペレーションの数値に関しては大きな改善がみられる。純増数は昨年度比2.2倍の349万件、MNP転出数は同70%減の38万件と大きく改善し、解約率も0.71%に抑えられている。ただしこれら数値の中にはドコモの回線を利用しているMVNOやスマートメーターのものも含まれており、その中身については「控えさせていただく」と発表はされなかった。

DN20140430001_005

 ARPUは第4四半期において5,240円と、3期の数字と合わせて考えると減少傾向は底を打ったようだ。またARPUに関しては、家族での複数台数の契約も増加しているため、より的確に事業の在り方を反映した新しい指標を考えたいともコメントされた。

DN20140430001_006

 新料金プランは1,800万件を突破、ドコモ光も申込件数が23万件と堅調な伸びをみせている。ドコモ光については申し込みのうち3割がモバイルの新規契約に寄与しているなど、プラスの効果を発揮してきているようだ。ただし申し込み件数のうち、工事の遅れなどで開通数は半数程度に留まっており、鋭意改善に努力しているとのこと。

DN20140430001_007 DN20140430001_008

DN20140430001_009 DN20140430001_010 DN20140430001_011 DN20140430001_012

 2015年度に関しては「特に結果にこだわる」という姿勢を示した。2015年度は営業収益4兆5100億円、営業利益6800億円の増収増益を見込み、モバイル通信サービスにおける収入増、スマートライフ領域の成長、コスト効率化の3つを柱に収益増を目指す。
 新料金プランとドコモ光によってARPUの反転、顧客基盤の拡大を目指し、スマートライフ事業では2014年度の332億円(減損損失は除く)から500億円の利益を、コスト効率化では前年度を上回る3,300億円の効率化の推進を図るとの目標が挙げられた。
 また更なるネットワークの高速化も掲げられ、2015年度内に300Mbpsを目指す計画も示された。
 
DN20140430001_013 DN20140430001_015 DN20140430001_016 DN20140430001_017

 中期目標に向けた新たな取り組みも併せて発表された。中期目標では「競争」から「協創」への転換を目指し、顧客獲得競争から付加価値協創を図るとしている。
 その中でドコモは他社とのパートナーシップを更に拡大し、「+d」の展開を目指す。まずドコモ側ではサービス名称を「d」ブランドに統一。ドコモポイントはdポイント、ドコモプレミアクラブはdポイントクラブ、クレジットカードのDCMXはdカード、docomo IDはdアカウントと、「d」を冠する名称へと変更される。ドコモポイントについては、今後はドコモ内サービスだけでなく、利用可能な箇所を増やしてオープン性をもたせていく方針も示された。

DN20140430001_019

 またブランドスローガンも変更。現在は「手のひらに、明日をのせて。」だが、「新しい技術や仕組みを、ドコモによって当たり前のものになることを目指して、そのようなイノベーションに挑み続けていきたい」という意図のもと、「いつか、あたりまえになることを。」へとリニューアルされる。

DN20140430001_018

 他者とのパートナーシップによる「社会価値の協創」では「IoT」「社会的課題の解決」「地方創生」「2020」の4つのテーマに推進していく。これらについて、「自社の展開で利益を確保しながら、今後はパートナーとの協創で取り組みを推進し、新たな収益基盤の成長につなげていきたい」とコメントされた。

 質疑応答ではSIMロック解除義務化、MVNO、フィーチャーフォンについても取り上げられた。

 まずSIMロック解除の義務化についてだが、ドコモは6ヶ月間の制限について「一部のユーザーが不正に利用して転売するという行為が散見されるため、その防止の観点からどうしても必要だと判断した」とコメント。6ヶ月という期間については「様々なシミュレーションを重ねたが、不正に対して最も適切だと思われたのが半年間」と説明。
 機種変更したばかりの人は海外へ持って行っても現地のSIMカードが使えないという問いに関しては「悩ましいところ」としつつ、「当面は様子を見ていく」という方針が示された。

 KDDIのように自社でMVNOを展開する予定はあるのかという質問に対しては「ドコモのネットワークを多く利用してもらっている。グループにMVNOを展開しているところもあるので、状況をみながら検討を深めていきたい」とコメントされるに留まった。またMVNOやSIMロック解除が与える市場への影響についても「注意深く見守っていきたい」と慎重な姿勢を示した。

 最後に、一部報道でフィーチャーフォンの生産停止について質問されると、「SymbianやLinuxを使ったOS搭載のものは部品の調達が物理的に難しくなっている」と認めた一方、「折りたたみでテンキー操作できる携帯電話はずっと投入し続けていく、なくなることはない」と断言した。

関連カテゴリー