韓国の科学技術情報通信部(MSIT)は7月1日、国家的な研究開発支援策「K-ムーンショット」の一環として、フィジカルAI中核競争力確保戦略を発表した。2028年までにフィジカルAI分野で世界市場をリードする国となることを目標に掲げ、今後3年間を競争力確立の重要期間と位置付けた。データ、技術、普及、エコシステムの4分野で具体的な施策を打ち出し、フィジカルAIのフルスタック技術の確立と産業化を進める。
グローバルな技術覇権争いが激化する中、韓国は強みである製造現場のデータやAIに対する高い受容性を武器に、海外先進国への技術依存を脱却し独自の競争力を確保する構えだ。戦略の柱となるのは、国産のフィジカルAIフルスタックの構築だ。具体的には、自ら計画を立て精密操作を行うファウンデーションモデル、現実世界を予測・シミュレーションするワールドモデル、高性能AI半導体を基盤とした、超低遅延・低消費電力で動作するコンピューティングプラットフォームの3大共通基盤技術の開発に注力する。すでにLG電子やMAUM.AI、KT、KAIST、ソウル大学などが参加するコンソーシアムでは、ワールドモデルを中心とした基盤技術の研究開発に着手している。
一方、日本においても6月30日、NEDOが「フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」の実施予定先を決定し、産業技術総合研究所などが開発に乗り出したばかりだ。製造業に強みを持つ日韓両国が、それぞれフィジカルAIの基盤モデル開発や産業実装に向けた取り組みを本格化させており、ほぼ同時期に実行フェーズへと舵を切った形となる。