カウンターポイントリサーチの最新レポートによると、2025年第2四半期の米国スマートフォン市場は、大手3キャリアの好調な業績に支えられ、販売実績が前年同期比で9%増加した。これにより、スマートフォンの総売上高は平均販売価格(ASP)の2%上昇と相まって、前年同期比11%増の175億ドルに達している。
特に、AT&T、T-Mobile、Verizonの大手3キャリアにおける夏季の強力なデバイスプロモーションが功を奏し、それぞれの店舗におけるスマートフォン販売実績は、AT&Tが16%増、T-Mobileが20%増、Verizonが12%増と大幅な伸びを記録した。各キャリアの経営陣は、積極的なプロモーションキャンペーンがデバイス購入増加と顧客の買い替え率向上に大きく貢献したと分析している。これらのプロモーションは、特にプレミアムデバイスセグメントの販売実績を前年同期比11%増加させる結果につながっただけでなく、iPhone 16eの販売を含む各ブランドのデバイス売上にも大きく貢献した。

第2四半期の米国スマートフォンの平均販売価格(ASP)は、前年同期の632.59ドルから上昇し、647.53ドルとなった。このASP上昇はプレミアムデバイスの売上増が主な要因であるが、iPhone 16eの堅調な需要や、2025年発売予定だったGoogle Pixel 9aの早期発売により、300ドルから599ドルの価格帯の売上が48%も増加したことで、一部相殺された形だ。
個別ブランドの動向を見ると、Appleの販売実績はiPhone 16eのマーケティングと販売に牽引され、前年同期比10%増加と好調を維持している。特にVerizonの「Red Hot Deal Days」やT-Mobileの下取りなしでiPhone 16 Proが無料といった強力なキャリアプロモーションがAppleの売上を大きく後押ししたと報告されている。一方、Samsungもフラッグシップモデルの需要増加とキャリアの強力なプロモーションに支えられ、前年同期比16%増と大幅な伸びを見せた。5月下旬に発売されたS25 Edgeの売上とマーケティングも、前年同期比で若干の増加を記録している。
その一方で、Nokiaブランドを展開するHMDは、米国市場からの撤退を発表したことにより、販売実績が前年同期比で41%もの減少となった。HMDの既存スマートフォン在庫は今後数ヶ月で完売し、同ブランドは米国市場におけるスマートフォン販売を停止する見込みだ。
カウンターポイントリサーチのリサーチディレクター、ジェフ・フィールドハック氏は、HMDの撤退がローエンドスマートフォン市場に残したシェアを獲得する新たなチャンスを生み出すと指摘している。同氏は、モトローラやTCLといったブランドが、現在HMDのターゲット顧客層のニーズを満たす上で最も有利な立場にあるとの見解を示しており、今後、この市場における新たなシェア獲得競争が注目される。
出典:Counterpoint Research
「米国スマートフォン販売実績、2025年第2四半期に前年同期比9%増 ― 大手3キャリアの好調が牽引」