KDDIと海上保安庁は「船上基地局」の運用訓練を開始、1人で運べる小型無線装置も開発

2015年11月5日 15時27分更新


 KDDIは第十管区海上保安本部(鹿児島県)の協力のもと、海上保安庁の船舶に携帯電話基地局のLTE対応の無線装置、携帯電話のアンテナ、衛星アンテナを設置し、それらの運用訓練を11月5日より実施すると発表した。

 今回の運用訓練で搭載される無線装置は新たに開発された小型無線装置で、人力での運搬が可能な約10Kgのものとなっている。従来は船上への設置にはクレーン等の重機が必要であったところ、この小型化により作業員による運搬が可能なため、設置に掛る作業時間を大幅に短縮を実現している。
 運用訓練では、船上基地局設営に掛る時間、アンテナの耐久性などを訓練によって測定し、より実用に近い形での運用を行う。また今回より新たにLTEによる音声およびデータ通信の試験も行うとしている。
 
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 海上の船舶に携帯電話基地局を設営する試みの背景には、2011年の東日本大震災ではケーブル切断などによって基地局の機能が停止してしまい、更に道路の寸断等によって修理もままならず、通信環境の復旧まで時間を要したことがある。そこで災害時の迅速な通信インフラの回復の手段として海上での基地局設営が考案され、KDDIは総務省の検討会に参加し、2012年から実証実験に取り組んでいる。

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