川崎重工、在宅支援AIロボ「Home LEO」試作機を公開

2026年10月8日 09時39分更新


 川崎重工業株式会社は2026年10月6日に、フィジカルAIを搭載して高齢者の在宅生活を自律的に支援するヘルスケア分野向けソーシャルロボット「Home LEO(ホーム・レオ)」の試作機を製作したと発表した。国内のヘルスケア領域では、少子化に伴う急激な人口減少と未曽有の高齢化が同時に進行しており、医療や介護における深刻な地域間格差、従事者の慢性的な人材不足、さらには膨らみ続ける社会保障費の増大といった構造的課題への直面が続いている。個別の医療機関や介護施設の現場努力だけでは抜本的な解決が困難となる中、住み慣れた自宅で高齢者が安心かつ安全に暮らし続けられる「在宅期間」をいかに延伸させるかが極めて重要な国家課題となっている。高齢者が自立した生活を長く維持できれば、地域社会とのつながりを保ち生活の質(QOL)を高められるだけでなく、逼迫する医療・介護関連の社会保障費抑制にも直結する。こうした社会変革の要請に応えるべく、同社はロボット技術と先端AIを融合させ、医療・介護・在宅をシームレスにつなぐ新たな生活支援基盤の具現化に踏み切った。

 このロボットは、人とロボットをつなぐ「Linking Life」、暮らしを進化させる力となる「Empowering You」、毎日の生活をスマートにする「Optimizing」の頭文字から命名された。試作機の寸法は全長640ミリ、全幅390ミリ、全高675ミリ(膝立ち時全高830ミリ)となっており、家庭内の狭い空間にも馴染むサイズ感を実現している。最大の特徴は、同社が培ってきた高度なロボット機構に現実世界の環境認識と物理行動を結びつける「フィジカルAI」を実装している点だ。センサーを通じて利用者の生活動線や周囲環境を正確に把握し、住居内の自律移動や探し物の探索サポートなど、日常の些細な身体的負担を能動的に軽減する。また、日々の会話を通じて個々の生活習慣や衣食住の好みを深く理解し、一人ひとりに最適化した寄り添う対話を行う。さらに、室内での転倒や急な体調変化、火の不始末、不審な来訪者といった日常生活の潜在的リスクを常時見守り、異常の兆候を検知した際には本人への注意喚起を行うとともに、家族や介護関係者へ即座に通報する見守りネットワークを確立する。収集された生活データは本人の同意のもとで安全に管理され、医療機関や介護施設と連携するヘルスケアプラットフォームとして機能することで、切れ目のない地域包括ケア体制の構築を目指す。

 同社はこれまでにも、手術支援ロボット「hinotori」をはじめ、施設内を自律走行する屋内配送ロボット「FORRO」、人と共存するセミヒューマノイドロボット「Nyokkey」、さらには屋内外位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki」などを相次いで市場へ投入し、病院や介護施設に向けたソリューションを展開してきた。今回の「Home LEO」の投入により、同社の支援領域は施設内から高齢者が暮らす在宅空間へと劇的に拡大し、ヘルスケア分野をワンストップで包括する包括的な体制が確立されることになる。今後は厚生労働省や経済産業省、自治体などの行政機関、医療・介護施設、AIテック企業との連携を推し進めながら実証実験を積み重ね、2028年度の市場投入を予定している。なお、同社はヘルスケア分野にとどまらず重工業の基幹現場においてもフィジカルAIの社会実装を猛烈なスピードで進めている。先日10月6日には造船分野においても、4足歩行で垂直な船体壁面や天井を登り、過酷な高所や立体曲面で溶接・塗装・品質検査を自律遂行する「次世代造船用AIロボット」を初公開したばかりだ。造船現場では米エヌビディア(NVIDIA)の基盤技術「NVIDIA Isaac」や「NVIDIA Omniverse」を取り入れたデジタルツインによる自動化を進めており、製造業の過酷な重労働現場から高齢者のパーソナルな生活空間に至るまで、同社はあらゆる領域で人と協調するAIロボットの社会実装を牽引している。

 先端のフィジカルAIとロボティクス技術を融合させ、医療・介護施設から日々の在宅生活までを包括的に支えるこの先駆的な取り組みは、超高齢化に直面する日本社会の安心・安全を持続可能な形で実現するための極めて力強い礎となる。

参考URL:https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20261006_1.html

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