パナ「暖房機器業界初 独IoT空調制御のtado°と提携」

2025年3月20日 10時30分更新


 パナソニック株式会社 空質空調社は2025年2月27日、ドイツのIoT空調制御プラットフォーマーtado°社と資本業務提携契約を締結した。暖房機器メーカーとしては初の試みで、パナソニックはtado°社の第三者割当増資を引き受け、約48億円(3,000万ユーロ)を出資。さらに、役員1名を含む社員を派遣し、経営参画を通じた協業強化を図る。

 パナソニックが欧州で展開するヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water、A2W)は、大気中の熱を利用して温水を作り、建物内を暖房するシステム。化石燃料を使用する暖房機器に比べCO2排出量が少なく、環境負荷の低さから注目を集めている。2008年に欧州市場で販売を開始し、寒冷地でも高い暖房能力を維持できる独自技術を導入。2023年5月には日系メーカーとして初めて、温室効果が極めて低い自然冷媒R290(プロパン)を採用するなど、環境意識の高い欧州市場に対応してきた。

 tado°社は、欧州でスマートサーモスタットの製造・販売や再生可能エネルギー由来の電力販売を手掛ける企業で、約100万世帯の顧客を抱える業界有数のスタートアップ。欧州の有望企業リスト「Tech Tour Growth50 Listing」に選出されるなど、成長が著しい。

 両社の提携により、パナソニックのA2Wとtado°社のスマートサーモスタットが連携。室温や利用者の設定温度、天候、電気料金などのデータを基に、A2Wの温水温度や水量を最適制御し、消費エネルギーを最大20%削減できる見込み。さらに、製品・サービスの仕様を相互開示し、運転データの分析を通じて高効率な制御を実現する専用ソフトウェアを共同開発。2025年9月のアップデートで、最大30%のエネルギー削減を目指す。

 tado°社の2024年8月の調査では、欧州の約75%の家庭がガス・石油を使用した暖房システムを利用していることが判明。パナソニックは、tado°社のアプリに専用デザインを導入し、共同マーケティングやインストーラーの紹介サービスを展開。A2Wへの置き換え提案を推進する。

今回の提携により、パナソニックはIoTを活用した空調制御の分野で存在感を高め、環境負荷の低減と快適な暮らしの両立を目指す。

参照元:https://news.panasonic.com/jp/press/jn250317-2

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