埼玉県とNTT東、光ファイバで道路下の空洞を検知。予防保全へ協定締結

2026年3月27日 09時30分更新


 NTT東日本株式会社埼玉支店は2026年3月25日、埼玉県県土整備部との間で「DX推進による建設・維持管理プロセスの変革に関する連携協定」を締結したと発表した。モービルマッピングシステム(MMS)を使った道路空間の3D点群データと、既存の通信用光ファイバを活用した地中の空洞検知センシング技術を組み合わせることで、従来は現地での目視確認に依存していた道路や地下埋設物の状態を見える化する。協定期間は2029年3月31日までの約3年間。

道路陥没は年間約1万件、地下の見えないリスクが顕在化

 この取り組みの背景にあるのは、全国で深刻化する道路陥没の実態だ。国土交通省が公表している*1「路面陥没発生状況」によると、令和6年度に全国で発生した道路陥没は9,866件、令和5年度は1万2,209件と、年1万件前後で推移している。
要因の内訳を見ると、令和6年度データでは、市町村管理の道路における側溝などの道路排水施設に起因するものが3,038件と最多で全体の約3割を占めており、老朽化した地下埋設管が陥没リスクを高めている構図が浮かび上がる。さらに「要因未確定」が2,185件と全体の約22%を占めており、地中の状態が見えないことが問題の根幹にあるとも見られる。

MMS+光ファイバの2技術で「机上での現場把握」を実現

 今回の取り組みで中核となるのは2つの技術だ。
NTT東日本がすでに自社の通信設備保全業務で活用しているMMSは、レーザスキャナとカメラを搭載した計測車両が道路上を走行しながら周辺の三次元位置情報を高精度に取得するシステムだ。取得した3D点群データにより、道路幅員や構造物の寸法・断面形状などを現地に赴かずに机上で把握できる。

もう一方の光ファイバセンシングは、埼玉県内に張り巡らされた既存の通信用光ファイバを流用し、地中の振動や変化を広域かつ連続的に検知する技術だ。路面下や地下埋設物の異常の兆しをリモートで常時監視できるため、従来の定期的な現地調査では把握が難しかった変化を先手で捉えることが期待される。

埼玉県が管理する県管理道路は路面延長約2,800kmに及ぶ。これを少数のスタッフが効率よくモニタリングするためのデータ基盤として、両技術の組み合わせを活用する。

技術主な用途特徴
MMS+3D点群データ道路・河川・砂防・構造物の状態把握走行しながら高密度な三次元データを取得。机上で寸法・断面確認が可能
光ファイバセンシング路面下空洞・地下埋設物の異常検知既存通信用光ファイバを活用。広域・常時監視による予防保全型管理に対応

協定では、行政側の埼玉県が道路行政における維持管理業務での活用検討や関係機関との調整を担い、NTT東日本が3D点群データの提供・更新支援と光ファイバセンシング技術の実装を主導する。

この仕組みは行政内での活用にとどまらず、道路の建設や修繕を担う民間事業者への波及も想定される。事前にインフラの状態を詳細なデータで把握できれば、施工計画の精度向上や予実管理の効率化、さらには現場の安全性向上が期待できる。ライフライン事業者など、インフラ維持管理に携わる関係者全体でデータを共有・活用するエコシステムの構築も、この取り組みの狙いうちの一つとも見られるかもしれない。

初年度は道路インフラ管理の高度化を中心に具体的な活用策を検討し、将来的には地域全体の社会インフラ管理への展開を目指すとしている。

NTT東日本:リリース
*1: 国土交通省 令和6年度 路面陥没発生状況「路面陥没発生状況

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