スマートスピーカー所有者はスマートフォンを使用する頻度が低下ーアクセンチュア
2018年4月3日 15時38分更新
アクセンチュアの最新調査によると、家庭向けデジタル音声アシスタント端末を所有する消費者の間では、エンターテインメントやオンラインショッピングにスマートフォンを使用する頻度が低下してきていることが判明したとのこと。
スマートスピーカーとは、人工知能を搭載し、音楽の再生、冷暖房や照明のオンオフ、ニュース、天気、スポーツ結果など、さまざまな消費者向けサービス向けに音声インターフェイスを活用した独立型ハードウェア機器を指す。
世界19か国の消費者21,000人を対象にアクセンチュアがオンラインで実施した「2018年デジタル消費者調査」によると、スマートスピーカーのユーザーの66%は「家庭でスマートフォンを使う頻度が低下した」と回答したほか、64%が「エンターテインメント用にスマートフォンを利用する頻度が低下した」と答えている。また、「オンラインショッピングや通常の情報検索のためにスマートフォンを利用する回数が減った」と回答したユーザーはそれぞれ58%、56%と過半数を占めた。
アクセンチュアのハイテク グローバル統括 シニア・マネージング・ディレクターであるデイビッド・ソヴィー(David Sovie)は次のように述べている。「スマートスピーカーは、家庭内におけるあらゆる活動のハブとしてのスマートフォンの地位を脅かす存在になりつつあります。これらの低コストの端末が実用価値のあるメリットを比較的使いやすい形で提供し、急速に人気が高まっていることはハイテク業界で最も印象的なトレンドのひとつです。」
同調査によると、スマートスピーカーの所有率(インターネットに接続可能なオンライン人口ベース)は2018年末までに前年比で2倍以上に上昇する見通し。このうち、日本の消費者の所有率は16%にとどまる見込みである一方、インドでは39%、米国では37%、ブラジルでは34%、中国では33%と全体の3分の1以上に達すると予想されている。
これらの製品については単に需要が高まっているだけではなく、消費者のニーズを満足させている点でも注目される。全体の回答者の63%がスマートスピーカーを「すでに使用している」または「関心を持っている」と答えており、また現在ユーザーの94%が製品に対して「満足している」または「非常に満足している」と回答している。
アクセンチュア株式会社 常務執行役員 通信・メディア・ハイテク本部 統括本部長 中藪 竜也は次のように述べている。「日本でも2017年秋以降、各社が日本語に対応したスマートスピーカーを市場に投入するなど、本格的な普及に向けた動きが活発化しています。本調査では、日本のユーザーの約9割が家電との連携にも期待を示すなど、デジタルとリアルを融合した新たな体験をリードする接点として、スマートスピーカーに注目していることが明らかになりました。こうした消費者の新たなニーズを確実にビジネス機会につなげるために、企業はデジタル時代に対応したパーソナライゼーション戦略の策定を進め、より価値ある顧客体験の創出に注力していかなければなりません。」
また、同調査ではスマートスピーカーに加え、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)を活用したサービスに対する消費者の関心の高さも示されており、その利用範囲はゲームの枠にとどまわらず、より実用的なニーズにまで拡がっていることが明らかになった。例えば、回答者の67%が行き先を確認したり、新たなスキル手法を学んだりするための手段として、「ARやVRに関心を抱いている」と述べている。ほかにも、「自分に似合う服を視覚的に確かめること」(回答者の61%)や、「生中継のスポーツイベントを体感すること」(同52%)などの項目で関心の高さが示された。
【調査方法】
2017年10月から11月にかけて、Harris Interactiveがアクセンチュアからの委託を受け、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、オランダ、イタリア、メキシコ、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、アラブ首長国連邦、英国、および米国の計19か国の消費者21,000人を対象に調査を実施。各国のサンプルはそれぞれのオンライン人口を代表するよう選定され、回答者の年齢は14歳から65歳以下となっている。同調査とそれに関連したデータ・モデリングは、デジタル機器に対する消費者の認知度やコンテンツとサービス、購買パターン、各サービス事業者に対する好みと信頼度、およびコネクテッド(インターネットに接続された)なライフスタイルの未来などを数量化したもの。
関連カテゴリー