NTT 2025年Q1は売上は過去最高も減益
2025年8月7日 10時25分更新
NTTは2025年度第1四半期決算を発表した。連結決算は、営業収益が前年同期比0.7%(220億円)増の3兆2,620億円、営業利益が7%減(306億円)の4,052億円、利益は5.3%減(144億円)の2,597億円で、増収減益となった。収益は過去最高を記録している。
収益が伸びた背景には、国内事業の安定的な成長があるが、利益が減少した要因としては、NTTドコモによる顧客基盤拡大のためのマーケティング費用の増加、グローバル事業における為替影響(約500億円の減収)が挙げられている。島田社長は「為替の影響は想定通りで、全体としては順調に推移している」とコメントしている。
NTTは今後の成長に向けて、2つの重点領域に取り組む方針を示している。1つは、独自開発の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」の強化だ。10月には新バージョン「tsuzumi 2」をリリース予定で、従来の7Bパラメータから30Bに拡張される。日本語に特化した性能を持ち、前モデルに比べ約4倍の回答精度を実現。企業内文書の解釈や業務効率化に貢献できるとしている。
もう1つは、光通信技術を活用した「IOWN光コンピューティング」の推進だ。現在、データセンターでは発熱対策に多くのエネルギーが費やされているが、NTTは光技術による低発熱かつ高効率な処理を実現し、省エネ化を図る計画。2026年度には、大阪・関西万博で披露したモデルの2倍の性能を持つ新バージョンの投入を予定している。
加えて、固定電話に使われるメタル回線の老朽化に対応し、2035年をめどに光回線やモバイル回線への移行を段階的に進める方針も明らかにした。詳細なスケジュールや支援策については、2025年9月下旬に公表される予定だ。
AIや次世代通信への投資を強化することで、NTTは今後の収益基盤の再構築と持続的な成長を目指している。
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