AI連携を安全に制御 ソフトバンクが新技術開発
2025年7月30日 10時30分更新
ソフトバンク株式会社は2025年7月24日、AIエージェント同士の安全で柔軟な連携を実現する新技術「Agent Firewall(仮称)」のプロトタイプを開発したと発表した。企業や組織ごとに異なるデータの管理基準や取り扱いルールがある中で、この技術はデータ主権を維持しながら、AI同士の連携をセキュアに実現する仕組みを提供する。開発はすでに特許出願中で、同社は2026年度の実用化を目指している。
背景には、マルチAIエージェントの連携が進む中、データの取り扱いやアクセス権限の違いが課題となっている現状がある。「Agent Firewall(仮称)」は、動的ガバナンス制御やAIエージェント同士の認証・認可、契約やポリシーに基づく通信制御、監査ログ管理といった機能を備え、従来のネットワーク境界型では対応できないセキュリティ課題に対応する。ゼロトラストの考え方に基づき、すべての通信を前提にチェックする設計となっている。
AIエージェント間の安全・安心な連携を実現

この仕組みにより、通信時のリスクレベルに応じた検査強度の調整や、不正通信のブロック、リアルタイム監視による情報漏えいの防止などが可能になる。また、プロトコルに依存しない形でセキュリティ方針を一貫して適用できる点も特徴だ。これにより、大規模かつ複雑なネットワーク環境においても、柔軟かつ安全にAIエージェント同士の連携が図れる。
今後は、ソフトバンク社内での実証実験や共創パートナーとの連携を通じて、実用化に向けた検証を進める方針だ。さらに将来的には、同社が進める「ソブリンクラウド」や「ソブリンAI」との連携も視野に入れており、企業や自治体、研究機関が持つ高度な機密情報を保護しながら、次世代社会インフラの構築を目指す。このような取り組みは、今後のAI社会における信頼性と透明性を担保する基盤として注目されている。安全性と効率性を両立させたAIインフラの実現に向けて、今後の展開に期待が高まる。
さらに、Agent Firewallは今後のグローバル市場におけるデータ連携の在り方にも影響を与える可能性がある。特に欧州GDPRや日本の個人情報保護法など、各国・地域の厳格なデータ規制に対応するための柔軟な設計は、国際的なデータ連携を支える重要なインフラとなり得る。今後は標準化団体や業界横断の連携も視野に、オープンな仕様への発展も期待される。
参考URL:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2025/20250724_01/