ソフトバンクは、AI-RAN統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」を米国カリフォルニア州のNVIDIA本社ビル内に展開した。これにより、「AI and RAN」および「AI for RAN」の技術革新が進み、新たな「AI on RAN」向けアプリケーションの開発が可能となるようだ。
ソフトバンクとNVIDIAは、AIを活用した5Gおよび6Gに向けた次世代データセンターにおいて、NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipを含むNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームを活用する取り組みを進めている。2024年11月にはソフトバンク「AITRAS」を発表し、日本国内で屋外実証実験を実施した。
NVIDIA本社ビルでの「AITRAS」構築は、国外初の実装事例となり、ソフトバンクの技術がグローバル市場で展開される可能性を示す重要な一歩とされている。両社は今後、モバイルエッジAIアプリケーションの開発を推進し、NVIDIAエコシステムパートナーやサードパーティ企業と連携しながら、さらなる技術革新を目指すようだ。

エッジAIアプリケーションのエコシステム構築の第一弾として、ソフトバンクとNVIDIAはLLM(大規模言語モデル)を活用した「ポーターロボット」を開発し、NVIDIA本社ビル内で実証実験を開始した。AITRAS上で動作するLLMを活用し、来訪者の服装を認識して追従する機能を搭載し、状況に応じて荷物を運ぶ仕組みとなっている。20msの低遅延通信環境下で安定して動作し、従来のロボット制御と比較して高い追従性能を実現しているようだ。ソフトバンクとNVIDIAは、AITRAS上のモバイルエッジにおいて低遅延かつ高セキュリティなAIサービスの実現を目指し、モバイルエッジAIサービスの開発や実証実験、AITRASオーケストレーターとの連携によるGrace Hopper Superchipリソースの最適化など、共同開発を加速させる方針だ。
ソフトバンクの湧川隆次執行役員 兼 先端技術研究所 所長は、「ソフトバンクとNVIDIAは、AI-RANの発展と通信業界のイノベーションを推進する重要なパートナーであり、NVIDIA本社ビルでのAITRAS展開を通じてその関係がより強固なものとなる。AI-RANの実用化に向け、さらなる技術革新を進めていく」と述べた。
また、NVIDIAのSoma Velayutham氏は、「AI-RANは次世代のAIネイティブワイヤレスネットワークへの道を開く。NVIDIA AI Aerialを活用したソフトバンクのAITRASは、NVIDIA本社ビルでの展開を通じて、より多くのパートナーのエコシステムにアクセスし、RAN上の新しいAIアプリケーションを含むあらゆる分野でのイノベーションを加速する」とコメントした。
ソフトバンクとNVIDIAの協業により、5Gおよび6Gの発展とAI技術の進化が加速し、通信業界における新たな可能性が広がっていくようだ。
参照元:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2025/20250319_02/