NTT西日本の観光ポータル「みるなら」グッドデザイン賞受賞

2025年10月22日 10時30分更新


 NTT西日本は、グループ企業である株式会社地域創生Coデザイン研究所が奈良県観光局の委託を受けて構築した観光ポータルサイト「みるなら」が、2025年度グッドデザイン賞を受賞したと発表した。奈良県観光局としては今回が初の受賞となる。

 「みるなら」は、地域の観光事業者が持つ理想や課題を反映しながら、観光に関するさまざまなデータを“見える化”するプラットフォームとして開発されたものだ。観光客の動向や宿泊実績、交通データなどをわかりやすく整理・表示し、地域の観光事業者がデータに基づく意思決定を行えるよう支援している。セレクトショップのように直感的に選べる構成となっており、誰でも使いやすいインターフェースを備えている点も特徴だ。観光データを通じて地域が「考える」きっかけを生み出し、「行動」へとつなげる仕組みを目指しているという。

 グッドデザイン賞の審査委員は、「単なる情報提供にとどまらず、観光事業者がデータと向き合う契機をつくり、施策立案を促す仕組みが秀逸」と高く評価した。また、ユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンス(UI/UX)の設計だけでなく、操作説明会やフォローアップ窓口など、導入後の伴走支援までを一体的にデザインしている点が特筆されている。ツール導入後の定着・活用を意識した構成により、観光客の集中や地域消費の偏りといった構造的課題に対して本質的な解決策を示していると評価された。観光立国を目指す日本において、地域経済の循環や持続可能な観光地経営のモデルケースとして位置づけられると言える。「みるなら」は現在、奈良県観光局をはじめ、県内の観光協会、市町村担当課、観光関連事業者などで広く活用されている。今後は、奈良県観光局と連携しながら事業者視点でのデータ拡充を進め、より実用性の高いアップデートを予定しているという。サイトは公開中で、誰でもアクセス可能だ。

 この取り組みを支えるNTT西日本は、奈良県とICTを活用した観光・産業振興などに関する包括連携協定を締結しており、県民サービスの向上や地域経済の活性化を目指している。今後も地域との協働を通じて、ICTとデザインの力で地域課題を解決し、豊かで活力ある地域づくりに貢献していく方針を示している。なお、グッドデザイン賞は1957年に創設された日本を代表するデザイン評価制度で、生活の質の向上や社会課題の解決にデザインを生かすことを目的としている。受賞のシンボル「Gマーク」は、優れたデザインの象徴として広く親しまれており、今年も製品、サービス、建築、社会システムなど多様な分野から応募が寄せられた。

 NTT西日本による今回の受賞は、地域データ活用の新しい在り方を示す取り組みとして注目されている。観光を通じて地域住民と来訪者の双方に利益をもたらす構造を作り出し、持続可能な観光地域経営の実現を後押しするものであり、今後の地方創生モデルとしても意義が大きいと言える。

参考URL:https://www.ntt-west.co.jp/newscms/nara/14844/nara_n20251015a.pdf

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