富士通、AIでシステム開発を自動化で作業時間100分1に
2026年2月18日 10時30分更新

富士通株式会社は2026年2月17日に、大規模言語モデル「Takane」を活用し、ソフトウェアの要件定義から設計、実装、結合テストに至る全工程をAIエージェントが協調して実行するAIドリブン開発基盤「AI-Driven Software Development Platform」を開発し、運用を開始したと発表した。このシステムは、企業や公共団体が保有する複雑な大規模システムをAIが理解し、複数のAIエージェントが連携することで、人が介在することなく全工程の自動化を実現するものだ。同社は、医療や行政分野の全67業種における法改正に伴うソフトウェア改修へ、2026年度中にこの基盤を適用することを目指している。すでに2026年1月からは、診療報酬改定に伴うソフトウェア改修において実際の適用を開始したという。

このAIドリブン開発基盤がもたらす効果は極めて大きく、システム開発の常識を塗り替えるものだ。事前に行われた実証実験では、従来の開発手法で3人月を要していた改修案件が、わずか4時間に短縮された。これは生産性が100倍に向上したことを意味しており、法改正や制度改定に伴うソフトウェア改修のスピードを劇的に高めることが可能となる。この基盤の中核には、日本語に強いLLM「Takane」と、富士通独自の「大規模システム開発向けAIエージェント技術」が据えられている。具体的には、法令文書を網羅的に理解して改修箇所を特定する技術や、開発ルールに基づき自律的に品質を監査する技術、さらに網羅的なテストコードを自動生成する技術が連携し、高品質な自動化を継続的に実行する仕組みだ。
富士通は、AIが既存システムを正しく理解するための準備工程「AI-Ready Engineering」を重要視しており、開発基盤と両輪で運用することでシステムの信頼性を確保する方針だ。また、エンジニアの働き方の変革も推進し、AIやデータを活用して高度な技術で経営課題を解決する「FDE(Forward Deployed Engineer)」を強化していく。これにより、従来の人月ベースによる労働集約型のシステム開発から、顧客へ提供する価値に基づいたビジネスモデルへの変革を目指すという。2026年度中には、この基盤の適用範囲を金融、製造、流通、公共といった幅広い産業分野へ拡大する計画だ。将来的には、顧客やパートナー企業に対してもこのサービスを提供し、利用者が自らビジネス環境の変化に即座に対応できる環境の構築を支援していく構えだ。
この革新的な開発基盤は、単なる作業の効率化に留まらず、IT業界全体が直面している深刻な人材不足の解消や、複雑化する社会課題への迅速な対応を可能にする。IDC Japanや日本マイクロソフトなど、多くのパートナー企業からもこの取り組みに対する期待が寄せられており、特にレガシーシステムの保守に悩む企業にとって、現実的かつ強力な解決策となることが予測される。AIエージェントが、熟練エンジニアの頭の中にある暗黙知を形式知化し、次世代へとノウハウを継承する役割を果たす点も、産業全体の競争力を維持する上で極めて重要な意味を持つだろう。富士通は、このAIドリブンな手法を業界のスタンダードへと昇華させ、社会の持続可能な発展に大きく貢献しようとしている。
複雑な法令対応やシステム改修をAIが自律的に担うことで、IT人材不足の解消と社会インフラの迅速な進化が期待される。





