アプリ不要で通話をリアルタイム翻訳、T-Mobileがベータ版登録開始
2026年2月16日 10時49分更新

米通信大手T-Mobile USは2月11日、音声通話をリアルタイムでAI翻訳するサービス「Live Translation」を発表した。同社のネットワーク側で処理を行うため、専用のアプリや端末の買い替えを必要とせず、利用者は通話中に「87」をダイヤルするだけで、50以上の言語で双方向のリアルタイム翻訳を利用できるのが特徴だ。ベータ版への登録受付はすでに開始されており、一部ユーザーへのアクセス提供は今春を予定している。
AIをネットワークに内蔵、端末・OSに依存しない新アーキテクチャ
従来の翻訳サービスは、専用アプリやデバイス、サブスクリプション契約などが必要なケースが多く、プライバシー面でも懸念が指摘されてきた。T-Mobileが今回打ち出したLive Translationは、翻訳処理をアプリ側ではなくネットワーク側で完結させる点が最大の特徴だ。
具体的には同社の5G Advancedネットワークに処理基盤を持たせることで、フィーチャーフォンからスマートフォンまであらゆる端末に対応する。通話の片方がT-Mobileネットワーク上にあれば翻訳が機能するため、相手方は他キャリアの利用者でも問題ない。
Live Translationが対応する言語は50以上。日本語、中国語、韓国語、スペイン語、アラビア語など主要言語のほか、スワヒリ語やマオリ語など地域言語も含む。米国内での通話はもちろん、215以上の国・地域への発信時や、VoLTE(音声通話をLTEデータとして伝送する技術)が有効な国際ローミング中も利用できる。ただし911および988への緊急通報には非対応だ。
T-Mobileは米国内に推定6,000万人の多言語世帯が存在することを訴求の背景として挙げている。世代間の言語の違いで日常会話が困難な家族、海外旅行中の手配、中小企業のカスタマー対応など、幅広いニーズへの対応を想定する。
ベータで実用性を検証、通信インフラ×生成AIの商用モデルを模索
ベータ版の概要
対象:T-Mobileの一部の後払い会員
料金:ベータ版の期間中は無料
利用方法:通話中に「87」を入力して起動
提供時期:今春より選ばれたユーザーへ順次提供
商用ローンチ:2026年後半を予定。
登録はT-Mobileウェブサイトまたはアプリ「T-Life」から可能だが、登録しても選考に漏れる場合がある点は注意が必要だ。
Live Translationのベータ版は、2026年春から一部の後払いプラン契約者を対象に開始される予定だ。ベータ版でのテスト期間中は無料で提供され、得られたフィードバックをもとに、年内の正式な商用展開を目指すとしている。なお、現時点での対象は一般消費者向けアカウントに限定されており、プリペイドやビジネス用アカウントへの対応は今後の展開が待たれる。
翻訳AIをクラウドアプリではなく通信インフラ側に組み込むアプローチは、端末依存からの脱却とセキュリティ向上を両立させるモデルとして注目されるだろう。

参照URL:
・T-Mobile Newsroom
・T-Mobile Live Translation 特設ページ
・T-Mobile Live Translation サポートページ
・Pew Research Center(米国多言語世帯の統計)





