米Apple「iPhone 8/ 8 Plus」と「iPhone X」発表、iPhone次の10年へ
2017年9月13日 18時18分更新
米アップルは現地時間9月12日、新世代のiPhoneとなる「8」と「8 Plus」、そしてiPhone発売10周年記念モデルの「X(テン)」を発表した。「8」と「8 Plus」は、9月15日から世界25以上の国および地域で予約の受け付けが始まり、店頭での販売も9月22日から開始する。また、「X」は、世界の55を超える国と地域で10月27日より予約注文を開始し、11月3日より店頭での販売を開始する。
iPhone 8/8 Plus
iPhone 8/8 Plusは、これまでにスマートフォンに採用されたものの中で最も耐久性のあるガラス、Retina HDディスプレイ、そしてA11 Bionicチップで構成され、美しい3色の新しいガラスとアルミニウムのデザインを特長としている。ガラス仕上げは7層のカラープロセスを使って正確な色調と不透明度を実現したもので、深みのある色と、航空宇宙産業で使われているものと同じグレードの色を合わせたアルミニウム製のフレームを特長とし、耐水性能と防塵性能を備えている。
■Retina HDディスプレイ
新しい4.7インチと5.5インチの「Retina HDディスプレイ」は、True Toneテクノロジーが加わったことで、ディスプレイのホワイトバランスを周囲の光に合わせ、より自然な視覚体験を実現する。Retina HDディスプレイの鮮やかな広い色域は業界最高の色精度を提供。再設計されたステレオスピーカーはこれまでより最大25%大きな音を出すことができ、より深みのある低音を出すことで、より豊かな音で音楽、動画を再生し、スピーカーフォン通話を可能にしている。
■A11 Bionic
これまでスマートフォンに採用された中で最もパワフルかつ高性能なチップである「A11 Bionic」は、A10 Fusionと比べて25%高速の2個のパフォーマンスコアと70%高速の4個のエフィシエンシーコアからなる6コアCPUデザインを特長とし、業界をリードするパフォーマンスおよびエネルギー効率を提供している。
新しい第二世代のパフォーマンスコントローラは6個のコアをすべて同時に管理することができ、マルチスレッドのワークロードで最大70%高速のパフォーマンスを提供、これまで同様のバッテリー駆動時間を保ちながら、より大きなパワーを提供する。
A11 Bionicはまた、Appleの設計による3コアデザインのGPUを組み込んでおり、前世代と比べ30%高速のグラフィックス性能を提供する。
■拡張現実
iPhone 8 Plusのカメラは究極のAR(拡張現実)体験を実現できるようにカスタムチューンが施されている。それぞれのカメラは個別に調整され、新しいジャイロスコープと加速度センサーの採用により正確なモーショントラッキングが可能となっている。A11 Bionic CPUが、ワールドトラッキング、シーン認識を担当し、GPUが60fpsというグラフィックス性能を可能にする一方、イメージシグナルプロセッサがリアルタイムで照明光推定を行う。
■カメラ
世界中で人気のカメラは、より大きく高速なセンサー、新しいカラーフィルターそしてより深みのあるピクセルを持った12メガピクセルのカメラに進化した。Appleの設計による新しいイメージシグナルプロセッサが、高度な画素処理、広色域キャプチャー、暗所でのより速いオートフォーカス、そしてより優れたHDR写真を提供し、スローシンク機能の付いた新しいクアッドLED True Toneフラッシュがより均等に光の当たった背景と前景を実現している。
新しいカメラはまた、改良されたビデオ手ぶれ補正、最大60fpsの4Kビデオそして最大240fpsの1080pスローモーションなど、これまでスマートフォンで採用された中でも最高品質のビデオ撮影を可能にしている。Appleの設計によるビデオエンコーダーはリアルタイムイメージおよびモーション解析を行うことで最適な品質のビデオを提供。iOS 11環境では、iPhone 8およびiPhone 8 PlusはHEIF(High Efficiency Image Format)およびHEVC(High Efficiency Video Codec)をサポートして最大2倍の圧縮率を実現し、同じストレージに2倍の容量の写真とビデオを保管することができる。
iPhone 8 Plusはデュアル12メガピクセルカメラを搭載し、ポートレートライティングを使ったポートレートモードを初めて採用。ドラマチックなスタジオ照明エフェクトを可能にしたことで、5つの異なる照明スタイルで浅い被写界深度エフェクトを使ったポートレートを撮影することができる。
ポートレートライティングは、ポートレート撮影の芸術と科学、そして写真照明原理の核に分け入る広範囲におよぶ研究を基に実現。デュアルカメラとAppleの設計によるイメージシグナルプロセッサを用いてシーンを認識し、深度マップを作成し、被写体を背景から分離する。さらに機械学習を用いて顔を特徴づける目印を作り、顔の輪郭に沿って照明を加える。
■デザイン
ワイヤレス充電は、Belkinとmophieから出ている2つの新しいワイヤレス充電マットなど、既存のQi規格のQiエコシステムに対応している。
2018年発売予定の自社設計のワイヤレス充電アクセサリ「AirPower」により、iPhone、Apple Watch、新しいAirPods用のワイヤレス充電ケースなどを含む最大3台のデバイスを同時に充電することができる。
■iOS11
ポートレートモードを劇的に進化させ、Live Photosをもっと表現力の富んだものにする新しいエフェクトなどを特長とする「iOS 11」が搭載されている。
iOS 11はまた、ユーザーが現実シーンの上にバーチャルコンテンツを置くことを可能にするアプリケーションを開発するための新しいプラットフォームを提供し、iOSデバイスに拡張現実をもたらす。Siriには男性および女性による声が新たに追加されたほか、アメリカ英語のフレーズを中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語またはスペイン語に翻訳することができる。
iPhone X
「スマートフォンの未来形」として発表されたiPhone Xは、豪華な全面ガラスのデザインを採用している。5.8インチSuper Retinaディスプレイ、A11 Bionicチップ、ワイヤレス充電、デュアル光学式手ぶれ補正(OIS)を備えて機能向上した背面カメラを装備しているほか、新しいTrueDepthカメラを使って、ロック解除、認証、支払いを安全に実行できるようにする新たな方法であるFace IDを搭載している。
■オールスクリーン設計
デザインは、オールスクリーンディスプレイを採用し、デバイスの曲面に沿って、丸みを帯びたコーナー部分に滑らかにつながっている。全面ガラスで包まれた前面と背面には、これまでスマートフォンに採用された中では最も耐久性のあるガラスを、シルバーとスペースグレイであつらえたほか、ボディの周囲を、医療に使われているものと同じグレードのステンレススチール製のバンドで継ぎ目なく包み、強度を上げている。7層のカラープロセスにより、ガラス表面での正確な色調と透明度の再現が可能になり、反射光学層によって色がより深みを増した結果、デザインの優雅さと耐久性を兼ね備えながら、耐水·防塵性能も備えている。
■Super Retinaディスプレイ
5.8インチの「Super Retinaディスプレイ」は、iPhoneのために設計されたOLEDスクリーンで、深く美しい色、漆黒の黒、高いコントラスト比(1,000,000:1)、スマートフォンで最高レベルのシステムワイドのカラーマネジメントといった特長も備えている。このHDRディスプレイはドルビービジョンとHDR10に対応している。True Toneテクノロジーが加わったことで、ディスプレイのホワイトバランスが動的に調整され、周囲の光に合っていて、より自然な視覚体験を味わうことができる。
iOS 11は、Super Retinaディスプレイを最大限に活用できるように再設計されており、ホームボタンを素早く流れるようなジェスチャーに置き換えたことで、自然かつ直感的に操作できるようになっており、どこにいても、下側からスワイプするだけでホーム画面に戻ることができる。
■Face ID
生体認証機能「Face ID」は、ドットプロジェクタ、赤外線カメラ、投光イルミネータで構成される最高水準のTrueDepthカメラシステムにより認証を行う。
Face IDでは、30,000以上の目に見えない赤外線ドットを投射する。この赤外線イメージとドットパターンがニューラルネットワークに伝えられ、顔の数学モデルが作られると、そのデータがSecure Enclaveに送られて照合されると同時に、機械学習が外見の変化に常に適応する。保存された顔の情報はSecure Enclaveによって保護され、安全な状態で保持される。こうした処理はすべてデバイス上だけで行なわれる。Face IDは、端末を注視した時だけロックを解除し、写真やマスクを使ったなりすましを防ぐように設計されている。
■ポートレートライティング
Face IDに欠かせない、新しい7メガピクセルTrueDepthカメラは、広色域キャプチャ、自動イメージ補正、正確な露出コントロールを特長とし、前面カメラによるポートレートモードは、被写界深度エフェクトも相まって素晴らしいセルフィーの撮影に最適。
また、再設計されたデュアル光学式手ぶれ補正(OIS)を備えたデュアル12メガピクセル背面カメラシステムも特長とする。広角カメラのƒ/1.8開口部と、改良された望遠カメラのƒ/2.4開口部を組み合わせることで写真やビデオの品質が向上。新しいカラーフィルター、深みを増したピクセル、改良されたイメージシグナルプロセッサにより、先進的なピクセル処理、広色域キャプチャ、暗所での高速なオートフォーカス、より美しいHDR写真が可能となっている。
新しいクアッドLED True Toneフラッシュは従来の2倍の均一性の照明を作り出せるほか、スローシンクロにも対応し、結果的に、背景·前景ともにより均一な照明が得られるようになっている。
搭載されたカメラは、究極のAR(拡張現実)体験を実現できるようにカスタムチューンが施されている。各カメラは、正確なモーショントラッキングのために用意された新しいジャイロスコープと加速度センサーに合わせて個別に調整される。
A11 Bionic CPUはワールドトラッキング、シーンの認識を担当し、GPUが60fpsの目を見張るような描画を可能にする一方で、イメージシグナルプロセッサはリアルタイムで照明光推定を行う。
新しいカメラはまた、手ぶれ補正、最大60fpsの4Kビデオ、最大240fpsの1080pスローモーションビデオなど、スマートフォンとしては最高品質のビデオ撮影にも対応。設計したビデオエンコーダは、イメージや動きをリアルタイムで分析することにより最高品質のビデオを生成する。
前面·背面どちらのカメラでも、ポートレートライティングを用いたポートレートモードでは、端末上でドラマチックなスタジオ照明エフェクトが可能になり、5種類の異なる照明スタイルを使って、浅い被写界深度エフェクトで印象的なポートレートを撮影することができる。
iOS 11環境では、HEIF(High Efficiency Image Format)およびHEVC(High Efficiency Video Codec)をサポートして最大2倍の圧縮率を実現し、同じストレージに2倍の容量の写真とビデオを保管できる。
■アニ文字
TrueDepthカメラでは、「アニ文字」という新しい方法で絵文字に躍動感を与えることができる。TrueDepthカメラでは、A11 Bionicチップと連動して、50以上の異なる表情筋の動きを撮影·解析することで、パンダ、ユニコーン、ロボットなど、12種類あるアニ文字のいずれかに表情を反映させることができる。この機能は、iPhone Xに標準インストールされている「メッセージ」アプリケーションで利用できる。
■A11 Bionicチップ
A11 Bionicは6コア設計のCPUを特長としており、A10 Fusionチップと比べて、2つの高性能コアは25パーセント高速、4つの省電力コアは70パーセント高速になり、業界屈指のパフォーマンスとエネルギー効率を提供する。新しい第2世代のパフォーマンスコントローラは、6つのコアをすべて同時に管理して、マルチスレッド化されたワークロードを最大70パーセントも高い性能を繰り出し、ユーザに対してより多くのパワーを与えながら、iPhone 7より2時間も長い駆動時間を実現している。
また、Appleが設計した3コア構成のGPUも内蔵しており、前世代よりも最大30パーセント高速な描画性能を実現している。
A11 BIonicのニューラルエンジンはデュアルコア設計で、リアルタイム処理時には毎秒最大6,000億回の演算処理を実行できる。A11 BIonicのニューラルエンジンは、特定の機械学習アルゴリズムを想定して設計され、Face ID、アニ文字、その他の機能を可能にしている。
■デザイン
ガラス製の背面デザインが、卓越したワイヤレス充電ソリューションを可能にしている。ワイヤレス充電は、Belkinとmophieから出ている2つの新しいワイヤレス充電マットなど、既存のQi規格のQiエコシステムに対応している。
初代iPhoneの登場から10年。その節目の年に発表されたiPhone Xについて、米アップルCDOのジョニー·アイブ氏は、「iPhoneの新しい時代、デバイスがユーザー体験に完全に溶け込む時代の幕開けを告げるものになる」と述べている。また、ワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデントのフィリップ·シラー氏も、「iPhone Xはスマートフォンの未来。これこそiPhoneの次の10年の始まりだ」と語り、iPhoneのさらなる進化に自信を見せた。
最新モデル投入で、米Appleにとっても“新しい時代の幕開け”となるのだろうか。
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